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資料1-2-9診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (35 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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間代発作をきたす。発作焦点部位の移動に伴い、眼球・頭部の偏位、眼瞼のぴくつきや眼球の間代、上下肢
や顔面・口角の間代や強直、咀嚼、強直間代発作など多様に変化し、無呼吸、顔面紅潮、流涎などの自律
神経症状を高頻度に伴い、特に無呼吸発作は初期には半数で認められ、経過中には4分の3の症例で認め
られる。発作の部位と症状は、移動する脳波焦点に相応する。発作は次第に頻度を増し、2−5 日間群発して
頻発する。ほぼ持続的に頻発する発作は 1 か月から 1 歳くらいまで続き、発達の遅れが顕在化する。その後
は、発作は頻発しなくなる。わが国の例では群発型けいれん重積がほとんどの例で認められる。脳波では、
初期には背景波の徐波化のみだが、やがて多焦点性棘波が現れ、発作中に脳波焦点が対側または同側の
離れた部分に移動する。脳波上、連続する発作は一部重なり、一つの発作が終わる前に次の発作が始まる。
血液・生化学的検査には特異的所見はない。画像検査では初期には異常なく、進行すると脳萎縮を示す。
4.治療法
1) レノックス・ガストー症候群: バルプロ酸、ベンゾジアゼピン系薬剤、ラモトリギン、トピラマート、ルフィナミ
ドなどが使用されるが、極めて難治である。特殊な治療法として、ケトン食療法やてんかん外科手術も有効な
ことがある。関連する脳症の治療も同様である
2) ウエスト症候群:有効率の観点より第1選択薬は ACTH 治療であるが、特に結節性硬化症においてはビ
ガバトリンも第1選択薬となる。ACTH 治療は副作用も多いため、まず有効性は劣るがより副作用の少ないゾ
ニサミド、バルプロ酸、クロナゼパムやビタミン B6 大量療法が試みられている。また、ケトン食療法も選択肢
となる。頭部画像診断で限局性皮質脳異形性や片側巨脳症が存在し、切除可能な場合にはてんかん外科
治療も行われる。
3) 大田原症候群:根治的な治療法はない。フェノバルビタール、ビタミン B6、バルプロ酸、ゾニサミド、ACTH
などが試みられる。片側巨脳症などの脳形成異常を基盤とする手術可能な症例は早期にこれを考慮する。
4) 早期ミオクロニー脳症: 通常の抗てんかん薬やホルモン治療(ACTH など)、ケトン食療法などが行われ
るが、極めて難治である。代謝異常症が基礎にある場合はその治療で改善する場合もある。 Erratic
myoclonus は数週間あるいは数か月後に消失するが、焦点発作は持続し、治療抵抗性である。
5) 遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん: 極めて難治で、通常の抗てんかん薬、ステロイド、ケトン食、ビタ
ミン剤(ビタミン B6 など)は無効なことが多く、ビガバトリン、カルバマゼピンはけいれんを悪化させることがあ
る。有効の報告例が多いのは臭化カリウムである。KCNT1 遺伝子の異常に対し、KCNT1 の部分的な拮抗薬
である抗不整脈薬キニジンの有効例が報告されている。
5.予後
1) レノックス・ガストー症候群:完全に発作が消失する例は少なく、慢性に経過する。長期経過中にレノック
ス・ガストー症候群の特徴が消え、症候性全般てんかんや部分焦点てんかんに変容することがある。発作
は減少しても、知的障害や運動症状、行動障害などが残存する。し、ほぼ全例が自立不可能である。抗て
んかん薬は、生涯にわたって必要である。死亡率は不明だが、発作そのものよりも合併症や事故により死
亡する症例が多い。関連
2) ウエスト症候群: 発作の短期予後では ACTH 療法などにより 50~80%の症例が軽快する脳症が、長
期予後では約 50%の症例でてんかんが持続する。また 80~90%の症例で精神遅滞を呈し、自閉症の合
併も同様で、てんかん性スパスム、部分発作、全般高率である。

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