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06資料3-1HPVワクチンの男性への接種について (16 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63875.html
出典情報 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第31回 9/25)《厚生労働省》
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(参考)HPVワクチンの男性接種に係る費用対効果についての論文について


HPVワクチンの製造販売業者の職員が実施した、HPVワクチンの男性接種の費用対効果に係る論文として、4価HPVワクチンの
男性接種を導入した場合の費用対効果を、ダイナミックモデルを用いて分析した報告がある。

Palmer C et al.1) (J Med Econ. 2023)
研究方法:
・ 本研究においては、9価HPVワクチンの女性接種に加え、4価HPVワクチンの男性接種を小 HPVワクチンの定期接種実施なし・女性のみの定期接種
学6年相当~高校1年相当の男児に対して導入した場合の、100年間における、費用対効果に (FOV)・男女に定期接種(GNV) における、一人当たりの
ついて、「公的医療の立場」及びいわゆる「社会の立場」から、決定論的な動的伝送メタポ
・HPV関連疾患関連により損失したQALY
ピュレーションモデル(※)を用いて分析を実施した。
・HPV関連疾患の治療及びワクチン接種費用の合計である直接医療費
・ 分析に用いた4価HPVワクチンの価格については、税抜1万2千円とした。HPV関連疾病と
しては、子宮頸がん及びその前がん病変、膣がん、外陰がん、肛門がん、尖圭コンジローマ、
陰茎がん、中咽頭がんを含む頭頚部がん、再発性呼吸器乳頭腫症を含めた。性行動の頻度につ
いては、24歳以下は第8回青少年の性行動全国調査2)を引用し、25歳以上は1999年に実施し
たHIVや性行動等についての調査結果3)を引用した。割引率は費用・効果ともに2%とした。
・ 上記のモデルを用いて、4価HPVワクチンの男性接種を導入した場合の費用対効果について、
男性接種を導入しなかった場合と比較した。基本シナリオでは、女性の定期接種世代のHPVワ
クチン接種率は30%、キャッチアップ接種世代のHPVワクチン接種率は15%とした。男性は
キャッチアップ接種を実施せず、定期接種世代のHPVワクチン接種率は15%とした。また、定
期接種世代のHPVワクチンの接種回数は男性は3回、女性12~14歳は2回、15~16歳は3回
とした。
モデルに用いたパラメータを変動させた場合の、
結果:
ICERの変動について(感度分析)
・ 現行の、女性のみに対してHPVワクチンの定期接種を継続している場合と、男性に対して4
価HPVワクチンの定期接種を導入した場合の、一人当たりの直接医療費(ワクチン接種及び
HPV関連疾患に対する医療費の合計)及び 一人あたりのHPV関連疾病により失うQALYの差の
比として算出される、 ICER(Incremental Cost Effectiveness Ratio)は、「公的医療の立
場」からの分析では、473万円/QALYであった。
・ また、女性・男性それぞれの定期接種世代の接種率が50%、25%であり、キャッチアップ接
種世代の接種率が50%であった場合のICERは、829万円/QALYであった。
考察:
・ 本研究における限界として、モデル及びパラメータが不正確であること、HPVワクチン接種
率が変わりうること、医療費の変更等が起こりうることなどが記載されている。


本モデルは、「ダイナミックモデル」の一種である。

1) Palmer C, Tobe K, Negishi Y, You X, Chen YT, Abe M. Health impact and cost effectiveness of implementing gender-neutral HPV vaccination in Japan. J Med Econ. 2023 Jan-Dec;26(1):1546-1554.
2)日本性教育協会発行 第8回青少年の性行動全国調査
3)M,Ono-Kihara, et al. First nationwide sexual behavioral survey in Japan-results of HIV&Sex in Japan 1999 J,Asian Sexology 2,2001 (in press)

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