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資料 令和5年度救急業務のあり方に関する検討会報告書(案) (43 ページ)

公開元URL https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/post-134.html
出典情報 救急業務のあり方に関する検討会(2/20)《総務省》
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1 背景・目的
高齢化等に伴う救急需要は増大の一途を辿り、令和4年の救急出動件数は約 723
万件となり、過去最多を更新した。さらに、現場到着所要時間は約 10.3 分(前年
約 9.4 分)
、病院到着所要時間は約 47.2 分(前年約 42.8)分と延伸を続けている。
また、救急搬送困難事案の増加については、119 番通報の契機となる救急需要の増
大に加えて、医療機関の受入体制も厳しい状況にあるとともに、入院患者の急性
期以降の医療提供等を担う施設への転院及び退院(いわゆる医療の「出口問題」)
についても解決すべき課題があることが示唆される。
こうした社会背景がある中、総務省消防庁では平成 17 年度に「救急需要対策
に関する検討会」を立ち上げ、救急需要対策について包括的な議論を開始した。
新たな視点に立った対策の一つに提言された「緊急度判定体系」は、緊急性の高
い傷病者を確実に選定し、直ちに適切な医療機関へ搬送することを目的として構
築が進み、適切な社会的サービス等に振り分ける機能も期待されるものである。
さらに、救急安心センター事業(♯7119)の全国展開、救急車利用マニュアル・
救急受診ガイド、普及啓発コンテンツの作成等により救急車の適時・適切な利用
(適正利用)も推進されてきた。
しかし、新型コロナウイルス感染症の流行では、
「救急ひっ迫」により救える
はずの命が救えない事態が懸念された。あらゆる社会システムに未曾有の影響を
与えたコロナ禍において、消防機関、医療機関、保健所等の関係機関を含めて業
務はひっ迫し、あらゆる 119 番通報に応えて社会のセーフティネットとして機能
を果たしてきた救急資源に過大な負荷が掛ったと言わざるを得ない。特に、本来
は救急以外の社会資源による対応が望ましい軽症の新型コロナ陽性者や低緊急・
非緊急の傷病者による 119 番通報が急増し、大きな負担であったとの現場からの
指摘もあった。従来、消防機関は 119 番通報を受電すれば救急搬送を行うことを
原則に活動しており、低緊急・非緊急まで確実に選定する体制、低緊急・非緊急
に対する救急搬送以外の選択肢が不十分であることが全国的な実情として明らか
となるとともに、消防以外の社会資源(電話相談窓口、代替移動手段、関係機関
との連携等)も充実させる必要性がこれまで以上に高まっている。
以上の問題意識を踏まえ、救急需要の適正化等に関する検討にあたっては、救
急需要の抑制策、搬送手段及び受入医療機関の体制強化、これらを繋ぐ緊急度判
定によるトリアージの体制強化、さらには国民理解の促進など社会基盤の整備に
ついて、総合的に検討する必要がある。
その足掛かりとして、まずは本年度、新型コロナウイルスの感染拡大による救
急ひっ迫時に行われた対応に焦点を当てて検討する。

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