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07 参考資料 1-1 百日せきファクトシート[6.8MB] (23 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34803.html
出典情報 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第20回 8/29)《厚生労働省》
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いだけでなく、罹患の年齢層を高くし、女性の妊娠出産年齢に患者数のピークを移動さ
せる危険性がある。前述のとおり、百日咳に罹患して最も重症化する危険性が高い 0 歳
児が DTaP 接種可能となるのは生後 2 か月であり、効果が現れるには少なくとも 2 回接
種が必要とされている。Bisgard らの報告によると百日咳に罹患した 0 歳児の 32%が母
親から感染しており他の家族も含めると 75%が 0 歳児周囲の青年・成人層が感染源と
なっている 102)。
これらの点から ACIP は、
さらなる Tdap の追加接種を実施するよりも、
ハイリスク者である 0 歳児を守るために 0 歳児周辺の成人への対策を強化した。2011
年には Tdap 接種歴のない妊婦、0 歳児の世話をする機会がある成人、医療従事者への
Tdap 接種の推奨を行い 103)、2012 年には Tdap 接種歴にかかわらず、妊娠 27-36 週で 妊
婦への Tdap の接種を推奨した 104)。妊婦への接種に関しては、諸外国でも推奨されてお
り、イギリスやオーストラリア、ニュージーランドでは高い接種率の達成と、その効果
が報告されている 105,106)。
カリフォルニア州では 2014 年に再び百日咳が流行し、10,831 人(人口 10 万人あたり
28.35 人)の患者報告があった(2015 年 1 月 7 日時点)107)。0 歳の患者数が最も多く、
この年齢群では人口 10 万人あたり 174.6 人の発生頻度であった。2012 年のワシントン
州での百日咳流行と類似した患者年齢分布を示し、0 歳の次に 14〜16 歳、次いで 10 歳
の順で患者が多く発生した 108)。
年の流行以降、百日咳罹患のリスクが最も高い新生児を感染から守るため

2010

「cocoon strategy」
(cocoon は繭の意味)が対策として推奨されていた。これは、新生児
に接触する可能性のある両親や祖父母などに Tdap を接種し、新生児への家族内感染を
予防するという考えに基づく。しかし、成人が任意で Tdap 接種を受けることは難しく、
新生児は依然として百日咳感染の危険に晒されていると報告されている 108)。


オーストラリア: 2008〜2011 年に近年で最大規模の百日咳流行が発生し

た(人口 10 万人あたり 173.3 人)109)。2006〜2007 年は一時的に 15 歳以上の患者割合
が高くなったが、流行期を含む 2008〜2012 年は再び 15 歳未満の患者割合が高くなった
110,111)

。ただし、流行期の患者年齢分布は各州によって大きく異なった。

サウスオーストラリア州、ニューサウスウェールズ州ではともに 5〜9 歳、10〜12 歳
の年齢群で患者発生率が高かったが、サウスオーストラリア州では 2010 年に患者発生
のピークが認められたのに対し、ニューサウスウェールズ州では 2011 年に認められた。
これは、サウスオーストラリア州では他州に比べて小児期における DTaP ワクチン導入
が他州よりも 2 年早かったことが影響していると考えられている。
オーストラリアでは 2, 4, 6 か月齢に初回免疫、18 か月齢、4 歳に追加接種を行ってい
たが、2003 年、2004 年にワクチン接種プログラムを変更した。これにより、10〜15 歳
での Tdap 接種を追加する代わりに 18 か月齢での追加免疫を取りやめた。2008〜2011
年の流行では、1995〜2005 年の 10 年間と比較すると、2〜4 歳および 6〜9 歳で患者の
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