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07 参考資料 1-1 百日せきファクトシート[6.8MB] (21 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34803.html
出典情報 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第20回 8/29)《厚生労働省》
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(4)海外の疫学情報
WHO によると、
過去 20 年間の患者数の推移は 2005 年頃からやや増加傾向にある 88)。
ただし、開発途上国は適切なサーベイランスシステムを持たないため、正確な百日咳患
者数は明らかではない。また、先進国においても各国で診断基準やサーベイランス方法
などが異なるため、他国とのデータ比較はできない 89)。米国を中心に複数の先進国にお
ける状況についてまとめる。


米国:米国では 1930 年代に製造された全菌体百日せきワクチンは 1940 年

代から三種混合ワクチン(DTwP)の一部として使用され始め、3 回接種後の効果は 70〜
90%となり百日咳予防に大きく貢献した。しかし、ワクチン接種後に発熱や局所反応(接
種部位の発赤、腫脹)が約半数の小児に見られたため、日本で開発された無菌体百日せ
きワクチンの技術が取り入れられ、1996 年より新たに沈降精製百日せきジフテリア破
傷風混合ワクチン(DTaP)が使用されるようになった。DTaP は DTwP と同等の効果を
保ち、かつ副反応が少なく抑えられていたことから、米国 CDC はこのワクチンを小児
の定期接種として 5 回接種すること(初回:2、4、6 か月の 3 回、追加:15〜18 か月、
4〜6 歳の 2 回)を推奨してきた 90)。5 回接種が推奨される前の主な百日咳患者は、ワク
チン未接種の乳児や DTaP 5 回接種後数年経過した 7〜10 歳の小児にピークを認めてい
たが、2004 年頃より米国における百日咳患者の年齢分布は 10 代以降へとシフトすると
ともに、2004 年には患者数が 1959 年以降で最多となった。10 代を含む青年・成人層に
おける百日咳患者の増加の理由については、以下のように考えられている 91-93)。


小児の百日咳と異なり、青年・成人層の百日咳は典型的な症状を認めず、遷延す

る咳だけが症状として現れることが多い。しかし、百日咳が青年・成人層でも認めら
れるという意識の変化があったことから、百日咳が鑑別診断に挙げられ、百日咳の検
査を実施する機会が増えて、患者を探知することに繋がった。


検査診断技術(PCR 法等)、精度の向上が百日咳患者数の増加に関与した。

・ 自然感染やワクチン接種により獲得された百日咳に対する免疫力が年月の経過に
伴い減弱し、再び感受性者となることが最も重要であり、かつ問題視された。
以上により、米国では減衰した百日咳に対する免疫増強効果を目的として、2005 年
に Tdap の使用が認可され、2006 年から Tdap の推奨がなされている 94)。このワクチン
は DTaP と比較し破傷風成分については同量の抗原量が含まれているが、ジフテリア、
百日咳成分は減量されている。しかし、効果、安全性に関しては DTaP と変わらないと
の治験結果が報告され、米国で認可され、定期接種に導入された。米国 ACIP は Tdap
を 11〜18 歳の青年層に接種することを推奨した。11 歳時に米国では髄膜炎菌ワクチン、
ヒトパピローマウイルスワクチンを接種する。これらのワクチンと同じ時期に推奨する
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