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令和5年度予算の編成等に関する建議 (13 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20221129/index.html
出典情報 財政制度等審議会 令和5年度予算の編成等に関する建議(11/29)《財務省》
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降にその傾向が顕著になっていたが、そうした中、拡張的な財政政策を掲
げて誕生したトラス内閣は、9月 23 日、エネルギー価格高騰対策や減税
等を内容とする「成長戦略」を公表した。しかし、インフレに直面して中
央銀行が金融引締めを進める中で大規模な財政出動・減税策をとること
について、金融政策と財政政策の整合性が疑問視されたほか、財源の裏付
けがなかったことや、OBR(財政責任庁)の経済財政見通しが示されな
いままでの公表だったこと 1も問題視され、結果的に、公表直後から国債
金利が急騰、ポンドは急落した 2。こうした混乱が市場心理を悪化させ、
イギリスのみならず各国の株式市場にも悪影響を与えた。IMF(国際通貨
基金)は、大規模でターゲットを絞らない財政措置の再考を求める異例の
声明を出し、大手格付け会社 3もネガティブな見方を示すなど、各方面か
ら厳しい反応が寄せられた。
10 月 14 日には財務大臣が交代となり、新任のハント財務大臣は、就
任当初から、中期財政計画の迅速な策定、ほとんどの減税案の撤回、納税
者負担を抑制するために財務省主導によりエネルギー価格高騰対策を見
直すことを明確化した。この頃には政権支持率が大きく低迷し、10 月 20
日には、トラス首相が、就任からわずか1ヶ月半で辞任を表明するに至っ
た。10 月 25 日に就任したスナク新首相は、就任演説で「経済の安定と信
頼を、政府の課題の中心に据える」
「次の世代、子や孫に、我々が弱すぎ
て支払うことができなかった負債を残さないようにする」との考えを示
した。その後 11 月 17 日に公表された計画では、
「成長戦略」の見直しが
反映されたほか、追加的な増税・歳出削減策も盛り込まれ、中期的に財政
健全化を図ることとされた。OBR による経済財政見通しも、同時に公表
された。〔資料Ⅰ―1―1~3参照〕
イギリス政府が予算を公表する際には、平成 22 年(2010 年)に設立された財政責任庁(OBR:
Office for Budget Responsibility)による向こう5年間の経済財政見通しも合わせて公表される
ことが通例となっている。
2 イギリスの 10 年物国債利回りは、年初は1%程度であったが、9月 22 日には 3.495%まで上
昇しており、さらに「成長戦略」公表を経て、27 日には 4.506%まで急騰した。
ポンドについても、年初は1ポンド 1.3 ドル程度であったが、9月 22 日には 1.1261 ドルまで
下落しており、さらに「成長戦略」公表を経て、26 日には、一時、過去最安値となる 1.0327 ド
ルまで急落した。
3 S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)
、Moody's Corporation(ムーディーズ)
、Fitch Ratings
Ltd.(フィッチ)
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