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資料3-2 中長期の経済財政に関する試算(2025年8月)(内閣府) (5 ページ)
出典
公開元URL | https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2025/0807agenda.html |
出典情報 | 経済財政諮問会議(第10回 8/7)《内閣府》 |
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(1)潜在成長率
我が国の潜在成長率は1980年代に4.2%、1990年代に1.6%となった後、2000年代に
入ってからは1%以下で推移している。今後、少子高齢化の影響により、生産年齢人
口の減少が加速していく10中で、経済構造の変化やこれまで以上の生産性上昇がなけ
れば、経済成長は低下していくことが見込まれる。
直近の景気循環並みのTFP上昇率(0.5%程度)で推移する過去投影ケースでは、
内生的に計算される資本投入量の潜在成長率への寄与については、小幅ながらプラス
となるが、労働投入量については、労働参加は一定程度進むという想定を置いている
ものの、生産年齢人口の減少が大きく影響し、マイナスの寄与が拡大していくことと
なる。総じて、潜在成長率は中長期的に0%台半ばにとどまる姿となっている。
これに対し、賃上げと投資が牽引する成長型経済に移行する成長移行ケース及び高
成長実現ケースでは、最低賃金引上げ11、対日直接投資の推進12、人への投資、GX、
DX、科学技術・イノベーション等の重点課題における中長期の計画的な投資の推進
等によるイノベーションの活性化や生産の効率化等を通じて、TFP上昇率が今後3
年程度を経て1.1%程度13(成長移行ケース:過去40年間のTFP上昇率の平均)
、更に
は1.4%程度(高成長実現ケース:デフレ状況に入る前のTFP上昇率の平均)に到達
すると想定している。この想定の下、TFP上昇率の高まりや企業の収益環境の改善
によって、設備投資が促進され、内生的に計算される資本投入量の寄与が高まる結果
となっている。これは、各種投資促進により、民間の資本形成の増加が期待されるこ
ととも整合的な結果となっている。労働投入量については、経済成長に伴って労働需
要が高まるとともに、
最低賃金も含めた賃上げの効果や多様な働き方の拡大等により、
女性と高齢者を中心に過去投影ケースよりも労働参加が進むと想定している。それで
もなお、人口減少・高齢化の影響を相殺することはできず、労働投入量の寄与は小幅
のマイナスとなる。総じて、潜在成長率は、中長期的に1%台半ば~2%程度で推移
する姿となっている。
10
国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」
(令和5年推計)の出生中位(死亡中位)推計に
よれば、2031~2035年の総人口の変化は年率▲0.6%程度、15~64歳人口(生産年齢人口)の変化は同▲
1.0%程度。
11
政府は、最低賃金を着実に引き上げ、2020年代に全国平均1,500円という高い目標に向かってたゆま
ぬ努力を続けるとしている。
12
政府は、2030 年に対日直接投資残高を 120 兆円、2030 年代前半のできるだけ早期に 150 兆円とする
ことを目指すとしている。
13
2024年7月試算BOX1「潜在成長率について」では、先行研究を踏まえた生産性押上げ効果の例を
用い、政府が推進する施策のTFP押上げ効果を概算している。具体的には、企業の職業訓練や正規
化等による人への投資(0.1~0.3%pt程度)、GX・DX等の科学技術・イノベーション投資(0.2%
pt程度)
、スタートアップ推進等(0.0~0.2%pt程度)
、対内直接投資(0.1%pt程度)等の効果を、過
去投影ケースのTFP上昇率の想定(0.5%程度)に積み上げると概ね1%強となり、成長移行ケース
のTFP上昇率の想定である過去40年の平均と同程度である。なお、これは米国議会予算局(CBO)
における見通し期間(2025~2035年)のTFP上昇率(民間非農業部門)の平均と同程度である。
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我が国の潜在成長率は1980年代に4.2%、1990年代に1.6%となった後、2000年代に
入ってからは1%以下で推移している。今後、少子高齢化の影響により、生産年齢人
口の減少が加速していく10中で、経済構造の変化やこれまで以上の生産性上昇がなけ
れば、経済成長は低下していくことが見込まれる。
直近の景気循環並みのTFP上昇率(0.5%程度)で推移する過去投影ケースでは、
内生的に計算される資本投入量の潜在成長率への寄与については、小幅ながらプラス
となるが、労働投入量については、労働参加は一定程度進むという想定を置いている
ものの、生産年齢人口の減少が大きく影響し、マイナスの寄与が拡大していくことと
なる。総じて、潜在成長率は中長期的に0%台半ばにとどまる姿となっている。
これに対し、賃上げと投資が牽引する成長型経済に移行する成長移行ケース及び高
成長実現ケースでは、最低賃金引上げ11、対日直接投資の推進12、人への投資、GX、
DX、科学技術・イノベーション等の重点課題における中長期の計画的な投資の推進
等によるイノベーションの活性化や生産の効率化等を通じて、TFP上昇率が今後3
年程度を経て1.1%程度13(成長移行ケース:過去40年間のTFP上昇率の平均)
、更に
は1.4%程度(高成長実現ケース:デフレ状況に入る前のTFP上昇率の平均)に到達
すると想定している。この想定の下、TFP上昇率の高まりや企業の収益環境の改善
によって、設備投資が促進され、内生的に計算される資本投入量の寄与が高まる結果
となっている。これは、各種投資促進により、民間の資本形成の増加が期待されるこ
ととも整合的な結果となっている。労働投入量については、経済成長に伴って労働需
要が高まるとともに、
最低賃金も含めた賃上げの効果や多様な働き方の拡大等により、
女性と高齢者を中心に過去投影ケースよりも労働参加が進むと想定している。それで
もなお、人口減少・高齢化の影響を相殺することはできず、労働投入量の寄与は小幅
のマイナスとなる。総じて、潜在成長率は、中長期的に1%台半ば~2%程度で推移
する姿となっている。
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国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」
(令和5年推計)の出生中位(死亡中位)推計に
よれば、2031~2035年の総人口の変化は年率▲0.6%程度、15~64歳人口(生産年齢人口)の変化は同▲
1.0%程度。
11
政府は、最低賃金を着実に引き上げ、2020年代に全国平均1,500円という高い目標に向かってたゆま
ぬ努力を続けるとしている。
12
政府は、2030 年に対日直接投資残高を 120 兆円、2030 年代前半のできるだけ早期に 150 兆円とする
ことを目指すとしている。
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2024年7月試算BOX1「潜在成長率について」では、先行研究を踏まえた生産性押上げ効果の例を
用い、政府が推進する施策のTFP押上げ効果を概算している。具体的には、企業の職業訓練や正規
化等による人への投資(0.1~0.3%pt程度)、GX・DX等の科学技術・イノベーション投資(0.2%
pt程度)
、スタートアップ推進等(0.0~0.2%pt程度)
、対内直接投資(0.1%pt程度)等の効果を、過
去投影ケースのTFP上昇率の想定(0.5%程度)に積み上げると概ね1%強となり、成長移行ケース
のTFP上昇率の想定である過去40年の平均と同程度である。なお、これは米国議会予算局(CBO)
における見通し期間(2025~2035年)のTFP上昇率(民間非農業部門)の平均と同程度である。
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