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資料3-2 中長期の経済財政に関する試算(2025年8月)(内閣府) (18 ページ)
出典
公開元URL | https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2025/0807agenda.html |
出典情報 | 経済財政諮問会議(第10回 8/7)《内閣府》 |
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4.リスク・不確実性
これまで述べてきた中長期の経済財政の姿には、種々のリスク・不確実性が伴う。
短期的には、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクには留意が必要であり、
物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響なども、
我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、金融資本市場の変動等の影響
に注意する必要がある。さらに、中長期の時間軸を見据えると、例えば、以下(ⅰ)
~(ⅲ)のようなリスク・不確実性が考えられる30。
リスク・不確実性のうち、外的なインパクトが我が国の経済財政に及ぼす経路や定
量的な影響を把握するため、成長率の低下及び長期金利の上昇が生じた場合等の影響
について、機械的な試算による感応度分析を実施した。なお、本感応度分析は、機械
的な設定値を置いて実施したものであり、具体的なシナリオや特定の政策変更を念頭
に置いたものではない。
(ⅰ)中長期的な経済成長の変化
IMF「世界経済見通し」
(2025年4月)では、今後の世界経済の成長について、貿
易措置の拡大と貿易政策の不確実性の長期化、金融市場の変動、長期金利の上昇、社
会不安の高まり等による下振れリスクが挙げられている31。こうした世界経済の下振
れは、輸出の減少等を通じて生産と企業業績を下押しするが、この影響が長期化した
場合、投資の低迷等を通じ、
我が国の中長期的な経済成長にマイナスの影響を与える。
国内経済においては、足下で見られているように、賃上げの動きや高い投資意欲が
継続する場合など、中長期の成長パスを上振れさせる要因もみられる一方で、大きな
経済変動や、少子化、労働参加意欲の低下などによる期待成長率の低下が生じる場合
など、中長期の成長パスを下振れさせる要因も考えられる。
以下では、潜在成長率が低下した場合の影響について、機械的な試算による感応度
分析を実施した。ここではTFP上昇率について、過去投影ケース対比で継続的に
0.5%pt程度引き下がったと設定した。結果、資本投入量の減少も加わり、潜在成長率
は試算期間の最終年度(2034年度)で0.8%pt程度低下する。この成長率低下による歳
入減から、試算期間の最終年度において、国・地方のPB対GDP比は0.8%pt程度悪
化し、国・地方の公債等残高対GDP比は8.2%pt程度上昇する。
30
31
ここで挙げられたものは例示であり、これらに限られるものではない。
上振れリスクとしては、多国間貿易協定に向けた機運の高まり、紛争の緩和等による世界的な商品価
格の下落、構造改革の加速、AIによる生産性上昇等が挙げられている。また、世界銀行「商品市場
見通し」(2025年4月)では、今後の原油価格について、地政学的緊張に伴う供給の途絶、貿易摩擦の
緩和による世界経済見通しの改善といった価格上昇リスクや、世界経済の成長率低下に伴う需要の低
下、OPEC+(プラス)の想定を上回る増産といった価格低下リスクが指摘されている。
15
これまで述べてきた中長期の経済財政の姿には、種々のリスク・不確実性が伴う。
短期的には、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクには留意が必要であり、
物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響なども、
我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、金融資本市場の変動等の影響
に注意する必要がある。さらに、中長期の時間軸を見据えると、例えば、以下(ⅰ)
~(ⅲ)のようなリスク・不確実性が考えられる30。
リスク・不確実性のうち、外的なインパクトが我が国の経済財政に及ぼす経路や定
量的な影響を把握するため、成長率の低下及び長期金利の上昇が生じた場合等の影響
について、機械的な試算による感応度分析を実施した。なお、本感応度分析は、機械
的な設定値を置いて実施したものであり、具体的なシナリオや特定の政策変更を念頭
に置いたものではない。
(ⅰ)中長期的な経済成長の変化
IMF「世界経済見通し」
(2025年4月)では、今後の世界経済の成長について、貿
易措置の拡大と貿易政策の不確実性の長期化、金融市場の変動、長期金利の上昇、社
会不安の高まり等による下振れリスクが挙げられている31。こうした世界経済の下振
れは、輸出の減少等を通じて生産と企業業績を下押しするが、この影響が長期化した
場合、投資の低迷等を通じ、
我が国の中長期的な経済成長にマイナスの影響を与える。
国内経済においては、足下で見られているように、賃上げの動きや高い投資意欲が
継続する場合など、中長期の成長パスを上振れさせる要因もみられる一方で、大きな
経済変動や、少子化、労働参加意欲の低下などによる期待成長率の低下が生じる場合
など、中長期の成長パスを下振れさせる要因も考えられる。
以下では、潜在成長率が低下した場合の影響について、機械的な試算による感応度
分析を実施した。ここではTFP上昇率について、過去投影ケース対比で継続的に
0.5%pt程度引き下がったと設定した。結果、資本投入量の減少も加わり、潜在成長率
は試算期間の最終年度(2034年度)で0.8%pt程度低下する。この成長率低下による歳
入減から、試算期間の最終年度において、国・地方のPB対GDP比は0.8%pt程度悪
化し、国・地方の公債等残高対GDP比は8.2%pt程度上昇する。
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ここで挙げられたものは例示であり、これらに限られるものではない。
上振れリスクとしては、多国間貿易協定に向けた機運の高まり、紛争の緩和等による世界的な商品価
格の下落、構造改革の加速、AIによる生産性上昇等が挙げられている。また、世界銀行「商品市場
見通し」(2025年4月)では、今後の原油価格について、地政学的緊張に伴う供給の途絶、貿易摩擦の
緩和による世界経済見通しの改善といった価格上昇リスクや、世界経済の成長率低下に伴う需要の低
下、OPEC+(プラス)の想定を上回る増産といった価格低下リスクが指摘されている。
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