よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


参考資料1-2  浜口班の議論における参考資料(令和3年10月25日開催) (192 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24719.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会血液事業部会安全技術調査会(令和3年度第6回 3/29)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

付2)脳静脈血栓症に対する治療
1)血栓溶解療法(局所および全身投与)[保険適用外]

頭蓋内出血を伴わず血小板数が 10 万/μL 以上を保っている TTS 関連脳静脈血栓症に対する
血栓溶解療法は、十分な科学的根拠がないことを踏まえ、出血リスク等患者の条件等を慎重に検討し
た上で考慮してもよい.TTS における脳静脈血栓症に関する AHA/ASA Stroke Council Leadership から
の報告に血栓溶解療法に関する記載はない[28]。また、渉猟した限りにおいて TTS 関連脳静脈血栓症に
対して血栓溶解療法を行った報告はない。血小板減少を伴わない脳静脈血栓症に対する血栓溶解療法
のエビデンスは十分ではない。血小板減少を伴わない脳静脈血栓症に対して血栓溶解薬の全身もしく
は局所投与の効果を検討した無作為化試験はなく、観察研究およびそのメタ解析では転帰が良好であ
ったとの報告もあるものの、出血合併症増加も示唆されている[31-33]。これらを踏まえ、本邦の脳卒
中治療ガイドライン 2015[追補 2019]では、通常の脳静脈血栓症に対してウロキナーゼもしくは t-PA
の局所投与を「考慮してもよい(グレード C1)」としている[34]。

2)血栓回収療法[保険適用外]

TTS 関連脳静脈血栓症に対する血栓回収療法の実施は、十分な科学的根拠がないことを踏ま
え、患者の条件等を慎重に検討した上で考慮してもよい。但し、ヘパリン使用を避けることに十分注
意する。TTS 関連脳静脈血栓症に対して血栓回収を行った症例が 1 例報告されているが転帰は不良であ
った[2]。AHA/ASA Stroke Council Leadership からの報告に血栓回収療法に関する記載はない[28]。血
小板減少を伴わない脳静脈血栓症に対する血栓回収療法に関して、本邦の脳卒中治療ガイドライン
2015[追補 2019]では記載がない[34]。血小板減少を伴わない脳静脈血栓症に対する血栓回収療法
は、観察研究を主体としたメタ解析でその有効性が示唆されたものの[35-36]、無作為化試験で転帰改
善効果は示されなかった[37]。最も留意すべき点は、HIT の治療時と同様に、ヘパリン使用を避けるこ
とである。シリンジでのフラッシュ時や動脈圧ライン内に使用するヘパリン添加生理食塩水等含め、
すべてのヘパリン類は避ける。HIT 症例において、生理食塩水に抗凝固薬は添加せず、アルガトロバン
を持続投与した状態での血管内治療が報告されている[38-39]。

3)開頭減圧術

脳ヘルニアを呈している大きな実質病変を伴うような重症の脳静脈血栓症においては開頭減
圧術によって救命及び予後改善が示されている[40-41]。またシステマティックレビューにおいても重
症例において救命のみならず良好な機能予後が得られる可能性が指摘されている[42]。エビデンスレベ
ルは高くないものの倫理的観点からランダム化比較試験(RCT)は困難であり、救命及び機能予後改善
効果が見込まれることから 2015 年の ESO ガイドラインにおいても強く推奨されている[43]。以上より
重症例において開頭減圧術は妥当である。しかし TTS と脳静脈血栓症を合併した場合の十分な科学的
根拠はない。

16

232