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資料1-2-8診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (35 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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133 メビウス症候群
○ 概要
1.概要
メビウス(1888)が疾患単位として確立した疾患で、先天性顔面神経麻痺と先天性外転神経麻痺を特徴
とするが、他の脳神経麻痺や四肢形態異常を伴うこともある。先天性顔面神経麻痺と先天性外転神経麻
痺(片側性も含む。)を伴い、他の神経筋疾患を原因としないものとする。多くは孤発例であるが、30 家系ほ
どの家族例の報告がある。日本での発生頻度は、少なくとも生産児8万人に1人と推定される。全国の患者
数は 1,000 人前後と推定される。
2.原因
原因は不明である。脳幹(菱脳)の発生障害の原因として、遺伝要因や胎生期の虚血(流域梗塞)が考
えられている。病理学的には脳神経核の低形成あるいは欠損、脳神経核の虚血性病変などが報告されて
いる。CT・MRI では、脳幹の対称性点状石灰化、脳幹低形成を含む形態異常、第6・第7脳神経の欠損又
は低形成を認めることがある。多くは孤発例である。家族例では四肢形態異常を伴うことはまれであり、常
染色体顕性遺伝(優性遺伝)、常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)、X連鎖潜性遺伝(劣性遺伝)が推定されて
いる。遺伝子座は、染色体相互転座例から 13q12.2-q13、1p22 が推定されている。
3.症状
1)先天性顔面神経麻痺(第7脳神経:通常両側性):仮面様顔貌、閉眼障害、流涎。
2)先天性外転神経麻痺(第6脳神経:通常両側性):共同水平注視麻痺、デュアン(Duane)眼球後退症候
群、内斜視。
3)他の脳神経麻痺(第3・4・5・9・10・12 脳神経):
開口障害、小顎、口蓋裂、呼吸障害(喘鳴、低換気、多呼吸、高炭酸ガス血症など)、
哺乳・嚥下障害、舌低形成・線維束性攣縮。
4)四肢形態異常:内反尖足、外反扁平足、減数異常、指低形成、合指趾、ポーランド(Poland) 症候群。
5)その他:筋緊張低下、言語発達遅滞、開鼻声、協調運動障害、知的障害、自閉症、てんかん、難聴、
クリッペル・フェール(Klippel-Feil)症候群、側彎。
4.治療法
根本的治療法はいまだ確立していない。新生児・乳児期の哺乳障害、呼吸障害に適切に対応する。哺
乳・嚥下障害では、経管栄養・胃瘻造設を考慮する。呼吸障害には吸引器、気管切開を考慮する。全身管
理と共に眼科・耳鼻咽喉科・整形外科・形成外科・歯科等の専門科へのコンサルテーションをする。表情に
乏しく、コミュニケーション障害に対する心理社会的対応も必要となる。チーム医療による包括的な健康管
理を行い、家族支援を行う。

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