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腸内細菌は樹状細胞を介して腸から離れたがんの免疫環境に影響する 免疫チェックポイント阻害薬の作用に関与する新たな腸内細菌を同定 (5 ページ)

公開元URL https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2025/0715/index.html
出典情報 国立がん研究センター プレスリリース(7/15)《国立がん研究センター》
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3.YB328 株は樹状細胞の分化・活性化を促進し、T 細胞応答を高める
これまでの結果から、YB328 株が樹状細胞を活性化する可能性が示唆されたため、自然免疫応答注
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におけるより詳細なメカニズムの解明を目的に、骨髄由来の樹状細胞(BMDC)を用いた実験を行いま

した。YB328 株または P. vulgatus で刺激した際の免疫応答を比較したところ、YB328 株で刺激した場
合に特に樹状細胞の分化マーカーである CD86 の発現が上昇することが確認されました(図 3a)。さら
に、YB328 刺激によって、抗原提示機能や T 細胞の遊走を促進するサイトカイン注 8 である IL-12p70
や CXCL9 の産生が顕著に亢進することも明らかになりました(図 3b)。また、YB328 株または P.
vulgatus で刺激した BMDC に、OVA (オボアルブミン) および OT-I マウス由来の CD8 陽性 T 細胞を
共培養したところ、YB328 株で刺激された BMDC はより多くの樹状突起を形成し、OVA 特異的 T 細胞
との相互作用が長時間維持されることが観察されました(図 3c)。加えて、TCR に対する親和性が異な
る OVA ペプチド(高親和性:N4、低親和性:Q4H7)を用いて刺激条件を変化させた実験では、高親和
性ペプチドでは YB328 株刺激下でごく低濃度でも T 細胞活性化に関わる転写因子 NFATc1 の核内移
行および PD-1 陽性 CD8 陽性 T 細胞の誘導が確認される一方、P. vulgatus では同様の反応は認め
られませんでした(図 3d,e)。一方で、低親和性ペプチドを用いた場合には、ペプチド濃度の上昇に応じ
て NFATc1 の核移行および PD-1 陽性 CD8 陽性 T 細胞の誘導がより強くなることも示されました(図
3d,e)。
以上から、YB328 株が自然免疫細胞である樹状細胞を高効率に活性化し、T 細胞応答の質と量の
両面において強化する能力を持つことが示されました。

4.YB328 株は CD103 陽性樹状細胞を誘導・活性化し、その抗腫瘍効果に Toll 様受容体(TLR)注 9 シ
グナルが不可欠であることを解明
YB328 株で刺激した骨髄由来の樹状細胞(BMDC)が、P. vulgatus と比較して著しく強力な CD8 陽
性 T 細胞応答を誘導する理由を明らかにするため、研究チームは RNA シークエンスによる網羅的な遺
伝子発現解析を行いました。その結果、YB328 株刺激群において、Batf3 や Irf8 など、conventional
type 1 dendritic cells(cDC1;CD103 陽性樹状細胞)の分化誘導に関わる特異的な転写因子の発現が
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