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腸内細菌は樹状細胞を介して腸から離れたがんの免疫環境に影響する 免疫チェックポイント阻害薬の作用に関与する新たな腸内細菌を同定 (4 ページ)
出典
公開元URL | https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2025/0715/index.html |
出典情報 | 国立がん研究センター プレスリリース(7/15)《国立がん研究センター》 |
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2.免疫チェックポイント阻害薬の効果に関与する新たな腸内細菌「YB328」を発見
抗 PD-1 抗体の奏効例と非奏効例それぞれの患者便検体から、免疫原性に関与する可能性のある
ルミノコッカス科(Ruminococcaceae)の細菌を分離・同定することを試みました。その結果、奏効例の便
から、これまでに報告のない新規細菌株「YB328」の単離および培養に世界で初めて成功しました(図
2a)。電子顕微鏡による観察では、YB328 株が膜小胞を多数分泌している様子が確認され、免疫活性
化に関与する可能性が示唆されました。また、非奏効例の便からは Phocaeicola vulgatus(P. vulgatus)
を同様に単離し、本細菌株を以降の実験の比較対照として用いました(図 2b, 2c)。抗 PD-1 抗体との
併用効果を調べるために、抗生剤で腸内細菌を除去した SPF マウスに YB328 株と抗 PD-1 抗体を併
用投与したところ、YB328 株を投与した群でのみ腫瘍縮小効果が認められました(図 2d)。また、
YB328 株を投与したマウスでは、腸管内の PD-1 陽性 CD8 陽性 T 細胞が有意に増加し(図 2e)、加え
て樹状細胞の活性化マーカー(CD86 および MHC-I)の発現増加も確認されました(図 2f)。さらに、非
奏効例の便とともに YB328 株または P. vulgatus を投与した場合の治療効果を比較したところ、YB328
株を投与したマウスでは非奏効例の便を同時に投与しても治療効果を認められることが分かりました
(図 2g)。加えて、T 細胞受容体(TCR)のレパートリー解析では、YB328 投与群でより多様な TCR レ
パートリーが誘導されていることが分かりました(図 2h)。
以上の結果から、YB328 株が樹状細胞の活性化を介して PD-1 陽性 CD8 陽性 T 細胞の浸潤を促
し、腸内環境を免疫応答に有利な状態へと変化させることで、抗腫瘍免疫を強化している可能性を示さ
れました。
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抗 PD-1 抗体の奏効例と非奏効例それぞれの患者便検体から、免疫原性に関与する可能性のある
ルミノコッカス科(Ruminococcaceae)の細菌を分離・同定することを試みました。その結果、奏効例の便
から、これまでに報告のない新規細菌株「YB328」の単離および培養に世界で初めて成功しました(図
2a)。電子顕微鏡による観察では、YB328 株が膜小胞を多数分泌している様子が確認され、免疫活性
化に関与する可能性が示唆されました。また、非奏効例の便からは Phocaeicola vulgatus(P. vulgatus)
を同様に単離し、本細菌株を以降の実験の比較対照として用いました(図 2b, 2c)。抗 PD-1 抗体との
併用効果を調べるために、抗生剤で腸内細菌を除去した SPF マウスに YB328 株と抗 PD-1 抗体を併
用投与したところ、YB328 株を投与した群でのみ腫瘍縮小効果が認められました(図 2d)。また、
YB328 株を投与したマウスでは、腸管内の PD-1 陽性 CD8 陽性 T 細胞が有意に増加し(図 2e)、加え
て樹状細胞の活性化マーカー(CD86 および MHC-I)の発現増加も確認されました(図 2f)。さらに、非
奏効例の便とともに YB328 株または P. vulgatus を投与した場合の治療効果を比較したところ、YB328
株を投与したマウスでは非奏効例の便を同時に投与しても治療効果を認められることが分かりました
(図 2g)。加えて、T 細胞受容体(TCR)のレパートリー解析では、YB328 投与群でより多様な TCR レ
パートリーが誘導されていることが分かりました(図 2h)。
以上の結果から、YB328 株が樹状細胞の活性化を介して PD-1 陽性 CD8 陽性 T 細胞の浸潤を促
し、腸内環境を免疫応答に有利な状態へと変化させることで、抗腫瘍免疫を強化している可能性を示さ
れました。
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