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医療的ケア児とその家族に対する支援に関する調査-小学校における医療的ケアの実施体制の構築を中心として-全体版 (28 ページ)

公開元URL https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/hyouka_240308000171690.html
出典情報 医療的ケア児とその家族に対する支援に関する調査-小学校における医療的ケアの実施体制の構築を中心として-(3/8)《総務省》
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(まとめ)
今回調査した市区町村教育委員会の個別事例では、保護者からの就学相談により医療
的ケア児を把握していた事例が多いものの、一部の教育委員会でみられたように、今回
調査した以外の地域においても保護者から就学相談の申込みがないことも考えられ、把
握が遅れるとその後の医療的ケア実施者の確保などのプロセスにも影響が生じることと
なる。特に医療的ケア児を初めて受け入れる教育委員会では前例がないため、把握が遅
れた場合、必要な財源や医療的ケア実施者の確保に苦慮することも想定される。一方、
医療的ケア児関係部署からの情報提供を端緒として医療的ケア児の情報を把握している
ケースでは、比較的早い段階で情報を把握している傾向があり、医療的ケア児の情報の
早期把握のためには、関係部署等と連携した取組が有効であると考えられる。
また、今回調査した個別事例においては、大半のケースで小学校就学時に医療的ケア
実施者を確保できていたものの、予算が確保できておらず看護師の確保日数が不足した
事例や看護師確保の動き出しの遅れにより就学時までに看護師の確保が間に合わなかっ
た事例がみられた。
医療的ケア実施者として看護師を確保できている場合においても、翌年度以降の看護
師の確保については不透明だとする市区町村教育委員会もあった。また、結果的に保護
者から付添いの希望があり小学校に就学したものの、看護師の確保が難しいことから、
保護者の付添いの合意が得られなかった場合は、小学校での受入れが困難であったと考
えられるケースもあり、小学校における看護師の確保は医療的ケア児の受入れに当たっ
て大きな課題となっている。小学校における看護師の確保が困難となっていることにつ
いては、看護人材の不足だけではなく、一部の教育委員会からも聴かれたように医療機
関等で勤務する場合と比較しての給与水準の低さや、小学校という医師が不在である勤
務環境に対する不安及び小学校で看護師として勤務するという働き方の認知度不足も要
因の一つとなっていると考えられる。
このほか、初めて小学校で医療的ケア児を受け入れた一部の市区町村教育委員会から
は、これまで小学校への就学を希望する医療的ケア児がいなかったため、医療的ケア児
は特別支援学校で受け入れることが一般的と認識していたとする声や、小学校への医療
的ケア児の受入れのために医療的ケア実施者を確保するという認識が不足していたとす
る声も聴かれた。
したがって、文部科学省は、小学校への就学を希望する医療的ケア児が今後一層増加
する見込みであることに鑑みると、市区町村教育委員会に対し、各地の取組実例を示す
などして、医療的ケア児関係部署や医療的ケア児支援センター等と連携した医療的ケア
児の早期把握及び保護者等に対する早期のアプローチを改めて促すことが必要である。
また、市区町村教育委員会における医療的ケア実施者の確保が困難となっている状況
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