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資料1-3 初回ニーズ選定時の評価結果及び要望書 (2 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32363.html
出典情報 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会(第35回 3/31)《厚生労働省》
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(別添様式 1 )
【医療上の有用性に関するコメント】

肝悪性腫瘍は原発性肝がんと転移性肝がんに分けられるが、 原発性計がんについては
2016 年予測の必患数は約 4.5 万人、死亡者数は約 3 万人と、がん種別死因の第 5 位とな
っている。 転移性肝がんについては、 原発性肝がん以外のがんによる死亡者約 34 万人の
約 1/3 以上において肝転移が重大な予後規定因子となっていることから、相当数の患者
がいるものと推測される。

肝悪性腫瘍の治療法は主に(1) 外科的手術 (2) 化学療法 (3) 粒子線治療 (4) 放射線
照射治療 (5) エタノール注入療法 (6) ラジオ波焼和療法 (?⑦) 肝動脈化学塞栓術
(TACE) の 7 種が挙げられるが、 原発性計がんのみでも、がん種別死因の 5 位に位置し
ている。 原発性肝がんの 5 年生存率はステージ皿で 13.9%, ステージIWで 3.6%と、進行
期における既存療法の成績は良好ではない。

本品は、8線を放出するマイクロスフィアを肝動脈から投与することにより、腫瘍に
取り込まれたマイクロスフィアから腫瘍に対 し放射線照射を行うものであり、その作用
機序は従来の治療法とは異なる。TACE は肝動脈の夫栓を行うため、門脈塞栓を有する症
例は(肝臓の栄養血管が 2 種類とも塞栓され、肝障害を引き起こすため)TACE の対象とな
らないが、本品は動脈塞栓効果を有さないため、門脈塞栓を有する症例も対象とするこ
とが可能である。また、本品による治療が有効に作用するためには、腫瘍を栄養する動
脈が豊富であることが必要であり、腫瘍よりも正常肝部分への放射線照射量が多くなる
ことが想定される症例は、対象とならない。 対象患者は、既存の治療法が不適、あるい
は不応の症例であるが、本品が有効に作用する病態を十分に検討する必要がある。

なお、米国では本品の適用は、2002 年の承認時に実施 した治験の内容を反映し、大腸
がん肝転移とされており、原発性肝がんに対しては適応外使用されているが、各種の保
険償本を受けている。また欧州などでは、本品の承認当初は、本品が TACE と同様に構栓
効果を有すると考えられたことから、門脈血栓を有する症例が禁忌とされていた。 しか
しながら、本品は従来の塞栓物質とは異なり、マクロレベルの血管への塞栓効果が無い
ことが明らかになるに従い、門脈血栓を有する症例に対し使用されてきた実績がある。

文献的な治療成績と しては、外科切除、肝移植、放射線治療およびアルコール構栓の
適応外とされた肝細胞がんに対しY"マイクロスフィアを投与した 24 例の検討において、
RECIST 基準での評価が可能な 21 例のうち、標的病変のサイスズ減少は 20 例に認められた。
切除不能な肝細胞がん 45 例に対する本品の投与においては、フフォローアップ対象の 40
例のうち、 完全奏功 1/40 例、 部分奏功 18/40 例、 病期進行無 し 11/40 例、 病期進行 10/40
例であった。 平均生存期間は 27.7 ヶ月(標準療法では 6 ヶ月)、 3 年生存率 26%(標準療法
では 0-5%) の成績であった。 一方、 Grade 1I /IH の有害事象が 13/40 例に出現したが死亡な
どの重篤な有害事象は認められなかった。 外科切除不能で門脈構栓を有する肝細胞がん
25 例を対象とした本品の投与では、 平均生存期間は 10 ヶ月の成績で、 動脈究栓に関する
症状は認められなかった。

このように、Y” マイクロスフィアによる治療成績について、少数例の報告はあるもの
の、治療のエビデンスが十分に確立されているとは言えない。このため、本品の開発に
あたっては新たな国内治験の実施が予定されている。 治験の実施に当たっては、上述し
たように適応症例を十分に検討する必要がある。また、米国において禁忌とされている