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資料4-1 感染症定期報告感染症別文献一覧表[235KB] (1 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_70725.html |
| 出典情報 | 薬事審議会 医薬品等安全対策部会(令和7年度第4回 3/6)《厚生労働省》 |
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令和8年3月6日
令和7年度第4回
感染症定期報告感染症別文献一覧表(2025/8/1~2025/11/30)
医薬品等安全対策部会
資料 4-1
ID
2
3
感染症(PT)
出典
概要
1 アメーバ赤痢
赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica )はヒトだけでなくサル類にも感染すると考えられてきたが、演者らは
マカク属のサルから検出されるのは赤痢アメーバとは別種のE. nuttalli であることを報告している。しかし、
赤痢アメーバやE. nuttalli がヒトとマカク間で相互に伝播するのかについては明らかになっていない。本研
究では、ヒトとマカクが密接して生活している地域に着目し、Entamoeba 属虫体の異種宿主間における伝
第94回日本寄生虫学会 播の可能性について検討した。タイ最南端のナラティワート州において、住民と飼育下のミナミブタオザル
大会(2025/03/17(Mn)及びカニクイザル(Mf)の糞便検体を採取した。PCR法によってEntamoeba 各種の感染状況を明らか
2025/03/19)2206-09- にすると共に、赤痢アメーバやE. nuttalli についてtRNA関連反復配列(locusD-A)の多型解析を行った。1
02
回目の調査では、住民93、Mn122、Mf20個体中、赤痢アメーバ陽性数は住民で2(2.2%)、Mnで7(5.7%)、
E. nuttalli 陽性はMnで8(6.6%)であった。赤痢アメーバのlocusD-AはMnで5タイプみられたが、住民由来の
タイプとは異なっていた。2回目の調査では、住民72、Mn81、Mf25個体中、赤痢アメーバ陽性数は住民で3
(4.2%)、Mnで2(2.5%)、Mfで1(4%)、E. nuttalli は検出されなかった。赤痢アメーバのlocusD-Aは住民で2
タイプみられ、そのうちの1タイプはMn由来と同一であったことから、マカクからヒトへの伝播が示唆された。
インフルエンザ
インフルエンザA型ウイルスはウイルス糖蛋白質であるヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)の抗
原性に基づいて様々な亜型に分類される。H3亜型インフルエンザウイルスは自然界に広く循環しており、
H3N2はヒトで流行している他、ブタ、イヌ、野鳥、家禽にもよく見られる。H3N8はウマやロバで流行していた
が、過去数年間に中国の家禽で哺乳類系統とは異なる株が検出され、ヒトにおける感染症も引き起こして
いる。2022年9月~2023年5月の中国における定期的サーベイランスではH3N3ウイルスがいくつかの省で
検出された。本研究ではこれらのウイルスについて広範な分析を行った。定期的サーベイランスでは生家
禽市場、養鶏場、屠殺場で疾患のトリ又は死亡したトリのスワブ試料を収集し、ニワトリ、ハト、アヒルから
56株のH3N3ウイルスを分離した。これらのウイルスのゲノム配列、受容体結合特異性、ニワトリ・マウスに
おけるウイルス複製と病原性、モルモットにおけるウイルス複製と伝播を分析した。遺伝子型解析の結果、
Emerg Microbes Infect.
家禽で検出されたH3N3ウイルスには、過去に家禽で検出されたH3N8ウイルスとH9N2ニワトリウイルスの
14(2025)2509748
再集合ウイルスと、野鳥からアヒルに伝播した新しいウイルスが含まれていることが示された。SPFニワトリ
にニワトリウイルス3株、ハトウイルス1株、アヒルウイルス1株を感染させた結果、ニワトリウイルスとハトウ
イルスはニワトリの複数の臓器で複製され最長13日間排出されたが、疾患や死亡は引き起こさなかった。
マウスにおける複製と病原性を17株で試験した結果、ほとんどの株が効率的に複製されたが致死的では
なかった。モルモットで試験した6株のうち4株は飛沫を介して効率的に伝播した。結合特異性が試験された
6株はすべてトリ型とヒト型の両方の受容体に結合した。本研究は新しいH3N3鳥インフルエンザウイルスを
同定した。これらのウイルスの受容体結合特性と伝播特性は、これらの新興ウイルスがヒトにリスクをもた
らすことを示唆している。これらの知見は、動物におけるH3ウイルスの注意深い監視と制御の重要性を強
調する。
インフルエンザ
2021年に中国南部のニワトリ集団から新しい再集合体H3N8鳥インフルエンザウイルス(AIV)が分離され、
2022年にはヒトのH3N8株感染症例が、2023年には死亡例が報告された。新規H3N8株はヒト呼吸器上皮
細胞、マウス、フェレットにおいて高い病原性を示し、ヒト重症例由来H3N8株は呼吸器の飛沫を介した効率
的伝播をフェレットで示した。家禽におけるH3 AIVの継続的なサーベイランスと、新たなH3変異株の包括的
なリスク評価は、公衆衛生への準備にとって極めて重要である。本研究では家禽集団が高密度で存在す
る13の省で広範なAIVサーベイランスプログラムを実施した。2022年5月~2023年7月に生家禽市場の一見
健康な家禽から合計4,166点の鼻腔スワブ試料を、疾患の家禽から合計699点の気管又は肺組織試料を
採取し、ウイルス分離と亜型決定を行った。212株のH3株が同定され、このうち136株がニワトリ、76株がア
ヒル由来であった。注目すべきことに、2022年12月にニワトリ由来の新規H3N3株が同定され、この株はそ
れまで優勢であったH3N8株に徐々に置き換わり、ニワトリに蔓延した。遺伝子解析の結果、新規H3N3株は
ニワトリH3N8株由来のH3遺伝子断片、H10N3株由来のN3遺伝子断片、H9N2ウイルス由来の内部遺伝子
断片を有する三重再集合株であった。ニワトリH3N3株3株、アヒルH3N3株1株、ニワトリH3N8株1株を用い
て生物学的特性評価を行った結果、ニワトリH3N3株はヒト呼吸器上皮細胞においてアヒルH3N3株、ニワト
リH3N8株よりも高い感染能力・複製能力を有することが示された。マウスモデル、フェレットモデルを用いた
評価では、ニワトリH3N3株がマウスとフェレットの両方で効率的に複製し、気管支肺炎を誘発することが示
された。ウイルスの伝播性評価では、ニワトリH3N3株が直接接触により効率的にフェレット間で伝播される
が、H3N8株は伝播されないことが示された。この時採取した空気試料の分析で、ニワトリH3N3株はフェレッ
トから空気中に放出されるが、H3N8株は放出されないことが示された。本研究の結果はニワトリ集団にお
いてH3N3株が出現、蔓延し、哺乳類宿主においてニワトリH3N3株の伝播性と病原性が高いことを示した。
これらの知見はH3N3株が公衆衛生にリスクをもたらす可能性を示唆しており、家禽におけるH3再集合株
の蔓延に対する包括的サーベイランスと制御の必要性を強調している。
mBio.
16(2025)e0067725
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令和7年度第4回
感染症定期報告感染症別文献一覧表(2025/8/1~2025/11/30)
医薬品等安全対策部会
資料 4-1
ID
2
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感染症(PT)
出典
概要
1 アメーバ赤痢
赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica )はヒトだけでなくサル類にも感染すると考えられてきたが、演者らは
マカク属のサルから検出されるのは赤痢アメーバとは別種のE. nuttalli であることを報告している。しかし、
赤痢アメーバやE. nuttalli がヒトとマカク間で相互に伝播するのかについては明らかになっていない。本研
究では、ヒトとマカクが密接して生活している地域に着目し、Entamoeba 属虫体の異種宿主間における伝
第94回日本寄生虫学会 播の可能性について検討した。タイ最南端のナラティワート州において、住民と飼育下のミナミブタオザル
大会(2025/03/17(Mn)及びカニクイザル(Mf)の糞便検体を採取した。PCR法によってEntamoeba 各種の感染状況を明らか
2025/03/19)2206-09- にすると共に、赤痢アメーバやE. nuttalli についてtRNA関連反復配列(locusD-A)の多型解析を行った。1
02
回目の調査では、住民93、Mn122、Mf20個体中、赤痢アメーバ陽性数は住民で2(2.2%)、Mnで7(5.7%)、
E. nuttalli 陽性はMnで8(6.6%)であった。赤痢アメーバのlocusD-AはMnで5タイプみられたが、住民由来の
タイプとは異なっていた。2回目の調査では、住民72、Mn81、Mf25個体中、赤痢アメーバ陽性数は住民で3
(4.2%)、Mnで2(2.5%)、Mfで1(4%)、E. nuttalli は検出されなかった。赤痢アメーバのlocusD-Aは住民で2
タイプみられ、そのうちの1タイプはMn由来と同一であったことから、マカクからヒトへの伝播が示唆された。
インフルエンザ
インフルエンザA型ウイルスはウイルス糖蛋白質であるヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)の抗
原性に基づいて様々な亜型に分類される。H3亜型インフルエンザウイルスは自然界に広く循環しており、
H3N2はヒトで流行している他、ブタ、イヌ、野鳥、家禽にもよく見られる。H3N8はウマやロバで流行していた
が、過去数年間に中国の家禽で哺乳類系統とは異なる株が検出され、ヒトにおける感染症も引き起こして
いる。2022年9月~2023年5月の中国における定期的サーベイランスではH3N3ウイルスがいくつかの省で
検出された。本研究ではこれらのウイルスについて広範な分析を行った。定期的サーベイランスでは生家
禽市場、養鶏場、屠殺場で疾患のトリ又は死亡したトリのスワブ試料を収集し、ニワトリ、ハト、アヒルから
56株のH3N3ウイルスを分離した。これらのウイルスのゲノム配列、受容体結合特異性、ニワトリ・マウスに
おけるウイルス複製と病原性、モルモットにおけるウイルス複製と伝播を分析した。遺伝子型解析の結果、
Emerg Microbes Infect.
家禽で検出されたH3N3ウイルスには、過去に家禽で検出されたH3N8ウイルスとH9N2ニワトリウイルスの
14(2025)2509748
再集合ウイルスと、野鳥からアヒルに伝播した新しいウイルスが含まれていることが示された。SPFニワトリ
にニワトリウイルス3株、ハトウイルス1株、アヒルウイルス1株を感染させた結果、ニワトリウイルスとハトウ
イルスはニワトリの複数の臓器で複製され最長13日間排出されたが、疾患や死亡は引き起こさなかった。
マウスにおける複製と病原性を17株で試験した結果、ほとんどの株が効率的に複製されたが致死的では
なかった。モルモットで試験した6株のうち4株は飛沫を介して効率的に伝播した。結合特異性が試験された
6株はすべてトリ型とヒト型の両方の受容体に結合した。本研究は新しいH3N3鳥インフルエンザウイルスを
同定した。これらのウイルスの受容体結合特性と伝播特性は、これらの新興ウイルスがヒトにリスクをもた
らすことを示唆している。これらの知見は、動物におけるH3ウイルスの注意深い監視と制御の重要性を強
調する。
インフルエンザ
2021年に中国南部のニワトリ集団から新しい再集合体H3N8鳥インフルエンザウイルス(AIV)が分離され、
2022年にはヒトのH3N8株感染症例が、2023年には死亡例が報告された。新規H3N8株はヒト呼吸器上皮
細胞、マウス、フェレットにおいて高い病原性を示し、ヒト重症例由来H3N8株は呼吸器の飛沫を介した効率
的伝播をフェレットで示した。家禽におけるH3 AIVの継続的なサーベイランスと、新たなH3変異株の包括的
なリスク評価は、公衆衛生への準備にとって極めて重要である。本研究では家禽集団が高密度で存在す
る13の省で広範なAIVサーベイランスプログラムを実施した。2022年5月~2023年7月に生家禽市場の一見
健康な家禽から合計4,166点の鼻腔スワブ試料を、疾患の家禽から合計699点の気管又は肺組織試料を
採取し、ウイルス分離と亜型決定を行った。212株のH3株が同定され、このうち136株がニワトリ、76株がア
ヒル由来であった。注目すべきことに、2022年12月にニワトリ由来の新規H3N3株が同定され、この株はそ
れまで優勢であったH3N8株に徐々に置き換わり、ニワトリに蔓延した。遺伝子解析の結果、新規H3N3株は
ニワトリH3N8株由来のH3遺伝子断片、H10N3株由来のN3遺伝子断片、H9N2ウイルス由来の内部遺伝子
断片を有する三重再集合株であった。ニワトリH3N3株3株、アヒルH3N3株1株、ニワトリH3N8株1株を用い
て生物学的特性評価を行った結果、ニワトリH3N3株はヒト呼吸器上皮細胞においてアヒルH3N3株、ニワト
リH3N8株よりも高い感染能力・複製能力を有することが示された。マウスモデル、フェレットモデルを用いた
評価では、ニワトリH3N3株がマウスとフェレットの両方で効率的に複製し、気管支肺炎を誘発することが示
された。ウイルスの伝播性評価では、ニワトリH3N3株が直接接触により効率的にフェレット間で伝播される
が、H3N8株は伝播されないことが示された。この時採取した空気試料の分析で、ニワトリH3N3株はフェレッ
トから空気中に放出されるが、H3N8株は放出されないことが示された。本研究の結果はニワトリ集団にお
いてH3N3株が出現、蔓延し、哺乳類宿主においてニワトリH3N3株の伝播性と病原性が高いことを示した。
これらの知見はH3N3株が公衆衛生にリスクをもたらす可能性を示唆しており、家禽におけるH3再集合株
の蔓延に対する包括的サーベイランスと制御の必要性を強調している。
mBio.
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