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ヒアリング資料18(書面) 全国医療的ケアライン (5 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66997.html
出典情報 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(第50回 12/11)《厚生労働省》
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令和6年度障害福祉サービス等報酬改定後の状況に関する意見等(詳細版)
2. 安心して大人になれるような通所サービスへの移行
【意見・提案を行う背景、根拠】
医療的ケア児者は成長とともに、医療的ケア・行動支援・身体機能の維持・意思疎通支援などの支援ニーズが減るどころか増大
傾向にある。しかし、児童期(児童発達支援・放課後等デイサービス)よりも生活介護の報酬単価が低いという制度設計のため
<障害福祉サービス費等の報酬算定構造参照>、必要な人員配置や医療安全体制が維持できず、通所・短期入所の受け入れおよ
び継続が困難になる事例が増加している。アンケートの自由記述より、「高校卒業後に医療的ケアがある子を受け入れてくれる
生活介護がほとんどない」「人工呼吸器の子は受け入れ先が非常に少なく選択肢がない」「報酬が低すぎて職員が増やせず、シ
ョート枠が縮小している」「大人になると活動の幅が狭くなり、挑戦や学びが途切れやすい」と受け入れ先が限られている事が
わかる。
また、将来の生活設計としても、20歳時点の希望:自宅+訪問看護・デイサービス(45.0%が最多)、40歳時点の希望:医療的
支援のあるグループホーム・入所施設の割合が上昇となっており、「いつまで地域で通えるか分からない」という不安が生活の
選択肢を狭めていることが示されている。<参考資料4>
制度の段差により、成人後に生涯学習や社会参加・挑戦の機会が途切れてしまう例が多く報告されている。アンケートでも「大
人になっても学び続けたい」「活動が続く環境がほしい」という声が多数寄せられており、生涯学習の機会を求めるニーズが非
常に高いことが明らかである。こうした現状は、障害者権利条約第30条が定める 「文化・余暇・レクリエーションへの参加の権
利」を、成人期においても確実に保障していく仕組みづくりの重要性を示している。<参考資料5>

【意見・提案の内容】
医療的ケア児者が年齢区分に関係なく通所サービスを継続できる制度とするため、生活介護の報酬単価を、支援実態に見合う
水準に調整する必要がある。

1)重度の医療的ケアが必要な利用者を受け止め続けられる報酬体系
医療的ケア・リスク管理・姿勢保持・発作対応等に必要な手厚い人員配置が維持できる単価、人工呼吸器等の利用者の受け
入れを断らなくて済む報酬構造、「重度=受け入れ困難」の構造を根本から改善

2)生活介護での「日中活動・生涯学習・社会参加」の実効性確保
余暇・訓練の枠組みにとどまらず、自分らしく生きるための挑戦と役割の保障、一貫した専門性(感覚運動・姿勢保持・意
思疎通支援・就労前活動等)を維持できる報酬設定

【期待される結果】
医療的ケアの有無にかかわらず、大人になってからも安心して通い続けられる場所が確保され、活動や挑戦、社会参加の機会が
途切れることなく、本人が成長し続け、役割を持って生きることができるようになる。家族にとっては、将来の生活を見通せな
い不安から解放され、安心して年齢を重ねられる生活設計が可能となる。また、事業所は重度の医療的ケアが必要な利用者を支
え続けられるだけの運営の安定性を確保でき、受け入れの縮小や断念を防ぐことができる。こうした変化は地域社会全体の包容
力にもつながり、「医療的ケアがあっても暮らし続けられる地域」という共生社会の実現に寄与する。(視点3)

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