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閉経前までの成人女性における低体重や低栄養による健康課題-新たな症候群の確立について- (8 ページ)
出典
公開元URL | https://www.jasso.or.jp/data/Introduction/pdf/academic-information_statement_20250416.pdf |
出典情報 | 閉経前までの成人女性における低体重や低栄養による健康課題-新たな症候群の確立について-(4/17)《日本肥満学会》 |
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体質性痩せの場合にも、骨密度低下のリスクが指摘されている(26)ため、健康診断などでの
骨密度測定や血液検査、および必要に応じた栄養指導が重要である。総エネルギー摂取量と
ともに、ビタミン D、カルシウムなどの十分な摂取を意識することが推奨される。
4.2.2 痩身志向者への対応
若年女性に広く浸透している過度な痩身志向は、様々な健康上のリスクを伴うことから、
正しい理解を促進するための教育介入が必要である。具体的には、学校教育におけるボディ
イメージ教育やヘルスリテラシー教育の中で、以下の項目を重点的に取り入れることが望
まれる。
適正なボディイメージの形成と体型の多様性に対する理解
メディア情報を適切に評価・活用する能力の育成
過度な痩身行動が引き起こす健康リスクについての理解促進
バランスの良い栄養摂取の重要性と欠食が及ぼす健康問題への理解
その一方で、現代の親世代を含む成人の多くが、理想体重を痩せた体型に偏って認識して
いる実態があり、子どもの体型に関するネガティブな発言が痩身願望を助長する可能性も
指摘されている。したがって、子どもを取り巻く大人も含めた広い啓発活動を行い、本健康
課題や体型の多様性の理解、包摂的な価値観の普及を促すことが求められる。そのためには
企業や団体と連携し、本課題や体型に対する包摂性の認識向上に関する啓発活動を推進す
ることも重要である。
また、月経周期異常や骨密度低下などの健康リスクについては、健康診断などでスクリー
ニングを実施し、栄養士、医師、心理カウンセラーなどの専門家が連携するなどにより、早
期診断・介入を行う体制の整備が望ましい。加えて、エネルギー制限は身体活動低下を招く
ことも知られており(22)、それが二次的に FUS に特徴的な身体症状を作り出す可能性につ
いても留意する必要がある。実際に日本の低体重若年女性では摂取エネルギーと身体活動
量の両方が標準体重の者に比べて低く、
「食べずに動かない」パターンが多いことが報告さ
れている(12)。
4.2.3 社会・経済的要因への対応
経済的な理由で十分な食事が確保できない場合、健康格差が拡大し、低栄養状態や低体重に
陥るリスクが高まる。これに対して、自治体や社会福祉団体による支援を拡充し、フードバ
ンクの活用やこども食堂といった栄養バランスの取れた食事提供の場を増やすことが求め
られる(27)。なお、こうした貧困に起因する低栄養の問題は、FUS の対象とする 18 歳以上
の成人女性に限らず、成長期にある 18 歳未満の子どもたち等にも広く及んでいると考えら
れ、より深刻な影響を及ぼす可能性がある。FUS という疾患概念を提示することは、これ
骨密度測定や血液検査、および必要に応じた栄養指導が重要である。総エネルギー摂取量と
ともに、ビタミン D、カルシウムなどの十分な摂取を意識することが推奨される。
4.2.2 痩身志向者への対応
若年女性に広く浸透している過度な痩身志向は、様々な健康上のリスクを伴うことから、
正しい理解を促進するための教育介入が必要である。具体的には、学校教育におけるボディ
イメージ教育やヘルスリテラシー教育の中で、以下の項目を重点的に取り入れることが望
まれる。
適正なボディイメージの形成と体型の多様性に対する理解
メディア情報を適切に評価・活用する能力の育成
過度な痩身行動が引き起こす健康リスクについての理解促進
バランスの良い栄養摂取の重要性と欠食が及ぼす健康問題への理解
その一方で、現代の親世代を含む成人の多くが、理想体重を痩せた体型に偏って認識して
いる実態があり、子どもの体型に関するネガティブな発言が痩身願望を助長する可能性も
指摘されている。したがって、子どもを取り巻く大人も含めた広い啓発活動を行い、本健康
課題や体型の多様性の理解、包摂的な価値観の普及を促すことが求められる。そのためには
企業や団体と連携し、本課題や体型に対する包摂性の認識向上に関する啓発活動を推進す
ることも重要である。
また、月経周期異常や骨密度低下などの健康リスクについては、健康診断などでスクリー
ニングを実施し、栄養士、医師、心理カウンセラーなどの専門家が連携するなどにより、早
期診断・介入を行う体制の整備が望ましい。加えて、エネルギー制限は身体活動低下を招く
ことも知られており(22)、それが二次的に FUS に特徴的な身体症状を作り出す可能性につ
いても留意する必要がある。実際に日本の低体重若年女性では摂取エネルギーと身体活動
量の両方が標準体重の者に比べて低く、
「食べずに動かない」パターンが多いことが報告さ
れている(12)。
4.2.3 社会・経済的要因への対応
経済的な理由で十分な食事が確保できない場合、健康格差が拡大し、低栄養状態や低体重に
陥るリスクが高まる。これに対して、自治体や社会福祉団体による支援を拡充し、フードバ
ンクの活用やこども食堂といった栄養バランスの取れた食事提供の場を増やすことが求め
られる(27)。なお、こうした貧困に起因する低栄養の問題は、FUS の対象とする 18 歳以上
の成人女性に限らず、成長期にある 18 歳未満の子どもたち等にも広く及んでいると考えら
れ、より深刻な影響を及ぼす可能性がある。FUS という疾患概念を提示することは、これ