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閉経前までの成人女性における低体重や低栄養による健康課題-新たな症候群の確立について- (6 ページ)

公開元URL https://www.jasso.or.jp/data/Introduction/pdf/academic-information_statement_20250416.pdf
出典情報 閉経前までの成人女性における低体重や低栄養による健康課題-新たな症候群の確立について-(4/17)《日本肥満学会》
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低 T3 症候群



脂質異常症

循環・血液の異常


徐脈



低血圧

精神・神経・全身症状





精神症状(抑うつ、不安、集中力低下、認知機能低下)



身体症状(全身倦怠感、睡眠障害、冷え性、頭痛、便秘、髪質・肌質の低下)



身体活動低下

FUS の定義は、
「低体重または低栄養の状態を背景として、それを原因とした疾患・症
状・徴候を合併している状態」、とする。本ワーキンググループで、低体重や低栄養が
もたらす健康障害の全体像を明確にし、診断基準の設定を試みた。しかし、基準を明確
に定めるエビデンスが不足していることもあり、現時点では疾患概念としての枠組み
を提示することに留める方針とした。



FUS の概念設定の本質的な目的は「明らかな他疾患では説明できない、主に低体重・
低栄養が背景となった多彩な健康障害」に着目し、早期発見・予防・介入の枠組みを構
築することである。さらに、原因疾患を持つ患者には適切な治療を優先する必要がある
ことから、摂食障害や二次性の低体重(甲状腺機能亢進症・悪性疾患など)は FUS と
して捉えるべきではなく、原疾患に対する治療を優先するべきである。



現時点の FUS は、主として 18 歳以上〜閉経前女性を対象に検討された概念であり、
この概念には閉経後の女性や男性は含まれない。これは、閉経後女性ではホルモン環境
や加齢要因が大きくなる可能性があり、疾患・症状・徴候の原因について議論を要する
からである。また、男性においても低体重や低栄養に伴う健康障害が生じ得ると考えら
れるが、時点では女性における有病率や影響の大きさが顕著であり、今回の概念に含め
なかった。ただし、将来的にこれらの集団における病態や健康障害に関するエビデンス
が蓄積されれば、FUS の適用範囲の拡張や疾患概念の再定義が検討される可能性があ
る。

3.3 スティグマに対する注意と対策
本症候群の提唱により、新たなスティグマを生む可能性がある点にも留意が必要である。例
えば、体質性痩せの女性に対する偏見を助長するリスクも存在する。また、日本社会におい
て痩せ志向が高まる社会的な要因を念頭に置く必要がある他、貧困を背景とした低栄養や、
社会的支援の不足による十分な食事摂取の困難といったケースも見過ごせない。そのため、
本症候群を提案するに当っては、低栄養を単なる個人の責任として捉えるのではなく、多面