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閉経前までの成人女性における低体重や低栄養による健康課題-新たな症候群の確立について- (7 ページ)

公開元URL https://www.jasso.or.jp/data/Introduction/pdf/academic-information_statement_20250416.pdf
出典情報 閉経前までの成人女性における低体重や低栄養による健康課題-新たな症候群の確立について-(4/17)《日本肥満学会》
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的な支援体制を検討することが求められる。したがって、本症候群を提案する一方で、心理
面での自責感情を高めることのないよう、本症候群の社会的要因も含めた本質的な課題に
対する理解を広め、個人を責めない配慮が不可欠である。

4. FUS の原因と対処法
4.1 FUS の原因
FUS の原因は多面的であり、個人の身体的特性や社会的要因、心理的要因が複雑に絡み合
って生じると考えられる。ここでは大きく三つの視点から整理する。


体質性痩せ(生来の体質によるもの)
体質性痩せとは、やせ願望や摂食障害、過剰な運動がなく、低体重状態が長期間持続す
る体質的特性を指す(24)。一般に、体重が増えにくいが、内分泌機能や月経周期は正常
に保たれている。日本人女性の痩せのうち、約 40%は特に食事制限を含む意図的減量
行動を行っていないという報告もあるが(3)、そのすべてが体質性痩せであるかは不明
である。



SNS、ファッション誌などのメディアの影響によるやせ志向
メディアによる影響で「痩せ=美」という価値観が浸透し、特に若年女性において、食
事摂取制限を中心とした減量行動(いわゆるダイエット)の志向が強まっている。過度
な食事制限や偏った食生活が長期化すると、低体重や低栄養状態に陥り、骨密度低下や
月経周期異常など、多彩な健康障害を招きやすくなると考えられる。



社会経済的要因・貧困などによる低栄養
貧困を背景として十分な食事を得られず、結果的に低 BMI や低栄養状態に陥るケース
も報告されている(25) 。このような場合、個人の努力だけでは解決が困難であり、社
会構造的な支援や政治的施策が不可欠となる。

これらの要因は相互に重なり合いながら、低体重や特定の栄養素不足、骨密度低下、月経周
期異常、体調不良などを引き起こし、FUS へと至る可能性がある。

4.2 FUS の対処法
FUS の対処には、
「原因に応じた個別的なアプローチ」と「社会・教育レベルでの包括的な
介入」の両面が必要となると考えられる。
4.2.1 体質性痩せへの対応