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視神経の再生に新たな可能性DOCK3とHAUS7の連携が軸索再生を促進 (1 ページ)
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公開元URL | https://www.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/tosei/20250728_06_01 |
出典情報 | 視神経の再生に新たな可能性DOCK3とHAUS7の連携が軸索再生を促進(7/22)《東京都》 |
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<研究の背景>
私たちの視覚は、目から脳へと情報を伝える「視神経」によって成り立っています。しかし、
緑内障などの病気や外傷によって視神経が損傷すると、視機能が大きく低下し、場合によって
は失明に至ることもあります。現代の医療においては、こうした損傷を受けた視神経の回復は
極めて困難であり、その主な要因として、視神経の再生を促す仕組みが十分に解明されていな
いことが挙げられます。
このような背景のもと、東京都医学総合研究所の「視覚病態プロジェクト」では、長年にわ
たる研究の成果として、
「HAUS7(ハウスセブン)
」という遺伝子が視神経再生に重要な役割を
担っていることを発見しました。研究チームは、モデル動物を用いた実験により、そのメカニ
ズムを明らかにすることに成功しました。
本成果は、視神経の再生を分子レベルで制御するための新たな手がかりを提供するものであ
り、緑内障や視神経損傷といった難治性疾患の克服に向けた治療法の開発につながることが期
待されます。
<研究の概要>
研究グループは、神経の保護および再生に関わる新たな分子機構を発見しました。神経栄養
因子である BDNF(脳由来神経栄養因子)のシグナル伝達によって活性化されるタンパク質
DOCK3 が、視神経の再生において重要な役割を果たすことに関して、これまでに多くの報告
を行ってきました。
本研究では、DOCK3 と結合する新たな分子を探索した結果、HAUS7(HAUS augmin like
complex subunit 7)というタンパク質を新たに同定しました。HAUS7 は、微小管の分岐形成
に関与するオーグミン(Augmin)複合体の構成因子の一つであり、これまで主に細胞分裂の場
面で注目されてきた分子です。
研究グループの実験により、HAUS7 は DOCK3 と結合して神経細胞の軸索[注 1]内を移動
し、軸索の伸長に必要な微小管の分岐を促進することで視神経の再生を誘導することが明らか
となりました。
視神経は、網膜の神経節細胞から脳へと視覚情報を伝達する重要な経路ですが、一度損傷を
受けると再生が困難で、視機能の回復が難しいとされています。これまでに研究グループは、
BDNF/TrkB 経路によって活性化される DOCK3 が、網膜神経節細胞や視神経の保護・再生に不
可欠であることを報告してきました。
そこで本研究では、DOCK3 と連携して働く未解明の分子を明らかにすることを目的とし、
酵母ツーハイブリッド法[注 2]を用いて DOCK3 と相互作用するタンパク質を網羅的に探索
しました。
その結果、微小管の形成と分岐に関与する HAUS7 を、DOCK3 の新たな結合因子として同定
しました。HAUS7 は HAUS1~8 で構成されるオーグミン複合体の一員であり、微小管に結合
する TII と呼ばれる部分に含まれます(図 1a)
。オーグミン複合体は微小管の分岐構造を形成す
る働きを持つことが知られています(図 1b)
。
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私たちの視覚は、目から脳へと情報を伝える「視神経」によって成り立っています。しかし、
緑内障などの病気や外傷によって視神経が損傷すると、視機能が大きく低下し、場合によって
は失明に至ることもあります。現代の医療においては、こうした損傷を受けた視神経の回復は
極めて困難であり、その主な要因として、視神経の再生を促す仕組みが十分に解明されていな
いことが挙げられます。
このような背景のもと、東京都医学総合研究所の「視覚病態プロジェクト」では、長年にわ
たる研究の成果として、
「HAUS7(ハウスセブン)
」という遺伝子が視神経再生に重要な役割を
担っていることを発見しました。研究チームは、モデル動物を用いた実験により、そのメカニ
ズムを明らかにすることに成功しました。
本成果は、視神経の再生を分子レベルで制御するための新たな手がかりを提供するものであ
り、緑内障や視神経損傷といった難治性疾患の克服に向けた治療法の開発につながることが期
待されます。
<研究の概要>
研究グループは、神経の保護および再生に関わる新たな分子機構を発見しました。神経栄養
因子である BDNF(脳由来神経栄養因子)のシグナル伝達によって活性化されるタンパク質
DOCK3 が、視神経の再生において重要な役割を果たすことに関して、これまでに多くの報告
を行ってきました。
本研究では、DOCK3 と結合する新たな分子を探索した結果、HAUS7(HAUS augmin like
complex subunit 7)というタンパク質を新たに同定しました。HAUS7 は、微小管の分岐形成
に関与するオーグミン(Augmin)複合体の構成因子の一つであり、これまで主に細胞分裂の場
面で注目されてきた分子です。
研究グループの実験により、HAUS7 は DOCK3 と結合して神経細胞の軸索[注 1]内を移動
し、軸索の伸長に必要な微小管の分岐を促進することで視神経の再生を誘導することが明らか
となりました。
視神経は、網膜の神経節細胞から脳へと視覚情報を伝達する重要な経路ですが、一度損傷を
受けると再生が困難で、視機能の回復が難しいとされています。これまでに研究グループは、
BDNF/TrkB 経路によって活性化される DOCK3 が、網膜神経節細胞や視神経の保護・再生に不
可欠であることを報告してきました。
そこで本研究では、DOCK3 と連携して働く未解明の分子を明らかにすることを目的とし、
酵母ツーハイブリッド法[注 2]を用いて DOCK3 と相互作用するタンパク質を網羅的に探索
しました。
その結果、微小管の形成と分岐に関与する HAUS7 を、DOCK3 の新たな結合因子として同定
しました。HAUS7 は HAUS1~8 で構成されるオーグミン複合体の一員であり、微小管に結合
する TII と呼ばれる部分に含まれます(図 1a)
。オーグミン複合体は微小管の分岐構造を形成す
る働きを持つことが知られています(図 1b)
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