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医師の働き方改革を目前にした消化器外科医の現状-アンケート結果報告- (8 ページ)

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出典情報 医師の働き方改革を目前にした消化器外科医の現状-アンケート結果報告-(2/25)《日本消化器外科学会》
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り,対策を講じることで現実的であると想定される.
厚労省からも提案されている複数主治医制(チーム制)に関しては,アンケート結果では
半数にとどまっている.規模などの理由により,導⼊が困難な施設もあると思われるが,導
⼊後の体調管理やプライベートな時間の確保などの恩恵があり,⼀⽅で患者サイドからの
不満は少数であることから推進してゆくことで効率的な労働に資する可能性がある.
しかしながら,本アンケートの特筆すべき設問の⼀つは,
「最も不満に思うこと(項⽬9)」
であると考えている.複数回答不可,つまり1つのみを選択していただいたが,最も多い回
答は「給与」であり,1300 名(44.3%)であった.これは,
「労働時間」を最も不満に思っ
ていると回答した 328 名(11.2%)を⼤きく上回っていた.そして,給与そのもの(額⾯上
の数字)としてどのように感じるかとの設問(項⽬ 5)に対して「全く不満である」と回答
したものが 834 名(28.4%)にとどまっていた.つまり,ほとんどの消化器外科医は労働時
間そのものに不満を感じているわけではなく,リスクや労働内容の対価としての賃⾦が⼗
分に⽀払われていない現状を不満と感じていることが想像される.総収⼊からみれば決し
て低いとはいえない会員も⼀部に⾒られるが、アンケート結果をみれば収⼊の差は外勤と
⻑時間の超勤によると考えられることから、このような働き⽅によってプライベートな時
間を圧迫する結果となり、⼀⽅で仕事⾃体を正当に評価されていないという思いが強いの
ではないだろうか。
そして,もっとも衝撃的な結果であった設問は,
「次世代に向けて(項⽬8)」である.回
答者⾃⾝が再度診療科を選択できるとしたら,消化器外科を選択するという回答は 52.2%
であり,今後の消化器外科の将来を担うであろう後輩に消化器外科を勧めるかという設問
に対して「はい」と回答したものが 38.2%にとどまり,⼦供に消化器外科を勧めるかという
設問に対して「はい(そう思う)(強くそう思う)」と回答したものはわずか 14.5%であっ
た.
⼀⽅で,
「後輩や⼦供へ勧めるか?」の2つの設問に対して「どちらでもない.」という回
答が44%,46%と多く認められた.また,⾃⾝が再度消化器外科医を選択するという頻
度は半数を超えているのに後輩や⼦供に勧める頻度は殊更に低かった.次世代の医師に関
する設問において「どちらでもない.」という回答が選択された背景には会員の様々な思い
があるものと推察されるが,現状の労働環境のままで消化器外科を次世代の若者に引き継
ぐことへの疑問やためらいが反映されているとは読めないだろうか.いずれにせよ,「次世
代の医師」に対して消化器外科を「勧めない」ないしは「どちらでもない」という回答が「勧
める」という回答を⼤きく上回ったという結果は重く受け⽌めなければならない.このよう
な会員の思いがすでに消化器外科学会会員数の減少という形で表れているのではないかと
も感じている.
そしてアンケートの結果より,その不満は労働時間の問題だけよりも,仕事内容の対価と
して⼗分と感じられない収⼊(賃⾦)であり,それを補うために(⾃⼰研鑽に割ける時間を
削りながらも)兼業に頼らざるを得ない⽣活が要因なのかもしれない.
ワーク・イン・ライフ委員会でもこれらの問題を具体的な課題として取り組んでゆくべき
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