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資料2 矢田構成員提出資料 (7 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_57904.html
出典情報 有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会(第3回 5/19)《厚生労働省》
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を備えているか否かが問題とされるところ、本件事故時の利用者の行動は、認知症の「一般的知
見に沿うものと認められるのであるから、通常予想される危険に属するものというべきであり、
本件窓はその設置又は保存に瑕疵があったものというべきである。


【住宅型有料老人ホームにおける転倒(東京地判令和 2 年 7 月 3 日:事業者の責任否定】
(事案の概要)
住宅型有料老人ホーム Y に入居し、併設された Y が設置した居宅介護事業所と居宅介護支援利用
契約を締結した要介護3の認知症高齢者 X(88 歳)が、自身の居宅内で転倒し、右大腿骨転子部
を骨折し障害を負い、歩行困難となった。そこで X は、Y が転倒を防止すべき義務を怠ったなど
と主張して、入居契約上または居宅介護支援利用契約上の安全配慮義務違反の債務不履行、不法
行為に基づく損害賠償を請求した。なお、
(X は口頭弁論終結時に死亡し、子が相続)
(判旨)請求棄却
Y は、
「本件入居契約に基づき、利用者である Y に対し、健康を保持し、日常生活を円滑に送るこ
とができるよう配慮すべき義務を負う。
」また、Y は、
「本件居宅介護支援利用契約に基づき、X の
能力に応じて具体的に予見することが可能な危険から、その生命及び健康等を保護するよう配慮
する義務も、負っているというべきである」

入居時作成された居宅サービス計画書には、「生活全般については自立傾向にあるが歩行の
フラツキや転倒・骨折の経緯がある」との記載があり、また、医師が作成した居宅療養管理指導
書にも、転倒への注意が喚起されていた。したがって、Y は「歩行時に介助又は補助を受けなけ
れば、転倒する可能性があることを認識し、又は認識し得たといえる。
」そうすると、Y には、
「X
が歩行する際には、転倒を防止するため、不均衡な荷重を補正できるよう介助又は補助を施す
義務を負っていたというべき」である。
「Y は、X に対し、必要なときにはナースコールを使うようにとの指導をしていたことが認められ
るところ、X 自身がこれを利用しなかったにすぎない」ため、Y には義務違反ないとした。

❸課題・疑問点
1⃣消費者側の住まいに対する認識・理解のずれについて
・本件の住宅型有料老人ホームの入居者全員、併設の訪問介護事業所のサービスを利
用しており、実質は介護サービスも一体的に提供し、また、ホームのパンフレット
等でも提携サービスがあることで安心であることを売りにしていたという実態が
あるにもかかわらず、裁判所は、居室という住宅内の事故ということで基本的には、
入居者の自己責任という判断であり、実態を考慮した判断はしなかった。しかし、
入居者(家族)は、一体的にサービスを受けられると思って契約を締結している。
・どの高齢期の住まいに入居するかの違いにより、介護事故が起きた場合、少なくと
も結論に開きがある現状については検討する余地があるのではないか。
・住宅型有料老人ホームという類型が想定していたような住まいとは異なる実態が
ある中、今回の裁判所の判断を踏まえると、3 類型自体についても見直してみても
よいのではないか(住宅型という分類だと介護の別がわかりにくい?、健康型の意義等)。
・複雑な有料老人ホーム契約を締結して入居する住まいがどのような性質をもつ住
まいなのかを脆弱な消費者である入居者及びその家族にいかにして正確に理解し
てもらうか。少なくとも、もう少し、わかりづらさ、理解しづらさを解消する必要
性があるのではないか(公表されている契約書のひな型の更なる活用。運営懇談会の利用)。
・有料老人ホームをめぐる契約関係は複雑なため、その契約上の結びつきかたや様々
な契約内容を入居者らに理解・納得してもらうことには困難が伴う。契約締結前の
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