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資料2 矢田構成員提出資料 (5 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_57904.html
出典情報 有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会(第3回 5/19)《厚生労働省》
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使用して開閉幅を制限していれば転落を防ぐことできたとして、Y1、Y2 に対しては安
全配慮義務の債務不履行又は共同不法行為に基づき、Y1 に対しては工作物責任に基づ
き、損害賠償を求めた事案である。
❷本件施設の各窓には鍵付きストッパーが設置されており、これを使用すると窓は 15 セ
ンチメートル程度開き、人の出入りを防止することができるようになっていたが、本件
事故時、本件居室の窓にはストッパーが使用されていなかった。また、亡 B(事故当時
89 歳)には認知症の症状がみられ、本件施設内を徘徊して他の居室に立ち入ることを
繰り返しており、帰宅願望を示したこともあった。本件事故当時、本件居室の出入り口
は施錠されていた。
❸第 1 審(鹿児島地裁令和 2 年 10 月 30 日判例時報 2526 号 43 頁)は、請求棄却。
本件入居契約上の義務は、「本件施設や本件居室を利用させるほかは、生活サービスの
提供に留まるものであり、居室への立ち入りも、基本的には、入居者の承諾を得て行わ
れるとされている。そうすると、Y1が、本件入居者の身体の安全に配慮する義務を負
うとしても、あくまで生活支援サービスに付随する部分に限られるというべきであり、
その範囲を超えて、常時亡Bの動静を注視し、その身体等の安全への危害を予見してそ
れを防止するような注義務まで負うものとはいえない。

また、本件訪問介護契約も、「本件訪問介護契約のサービスが 365 日 24 時間提供
可能との趣旨は、」「コールボタンで呼出しがあった場合等には対応可能であるとい
うものにすぎず、」
「介護サービス提供時以外にY2が本件安全配慮義務を負うものと
はいえない。

「Yらの業務提携によっても、通常施設外に設置される介護サービスの拠点が施設内に
置かれることで入居者の利便性が高まるにすぎず、これによって、住宅型有料老人ホー
ムに外部の介護サービスが付加されたに留まる本件施設の性質が変容するものではな
いし、Y らが負うべき義務が加重されるということもできない。

要介護5の者にまで対応している点についても、
「要介護度が高い者を受け入れている
ことから直ちに、本件安全配慮義務が基礎づけられるものでもない。

ストッパーの鍵の管理を Y らは行っていたが、その鍵の管理の事実は、
「何ら本件のス
トッパーの使用に関する管理を引き受けたことを示すものではない。

本件窓にストッパーが使用されていない状況について、通常有すべき安全性を欠いて
いた旨の X の主張に対し、
「そもそも本件ストッパーが使用されているか否かは、それ
を人為的に使用するか否かの問題であり、工作物自体の瑕疵の有無の問題ではない」

②判旨(控訴棄却(確定)

「本件施設は、介護サービスが付いていない住宅型有料老人ホームであり、施設内に Y2
の訪問介護事業所が開設されることで入居者の利便性が高まっているとはいえ、その
性質が介護付き有料老人ホームに変容するものではないから、Y らが介護サービス提供
時以外にも一体として、居室内を含めた入居者の生活全般についてあらゆる危険を予測
し、入居者に対する安全を配慮すべき義務を負うということはできない。」
「亡 B には本件事故以前から徘徊や帰宅願望が見られたものの、窓から外に出ようとする
などの危険な行動を取ったことやそのような行動を取るおそれがあることを具体的に
うかがわせる事情は認められず、亡 B は本件事故当日にも自ら本件居室の出入口の鍵
を操作していたというのであるから、亡Bが本件居室の出入口から退室できず本件窓
から外に出ようとして転落することをYらが予見することができたとは認められない。」

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