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【参考資料3】免疫アレルギー疾患研究10か年戦略 (14 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34044.html
出典情報 アレルギー疾患対策推進協議会(第17回 7/12)《厚生労働省》
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5 戦略3: 疾患特性 (ライフステージ等免疫アレルギー疾患の特性に注目した重点研究)
戦略3:疾患特性に係る研究を進める上で、次の目標を設定する。
目標3: ライフステージ等の疾患特性に応じた医療の最適化や、一部の重症免疫アレルギー疾患
における「防ぎ得る死」をゼロにするために、各疾患の特性に基づく予防法や治療法を、広く社会
に普及させることを目指す。

(1) 母子関連を含めた小児および移行期の免疫アレルギー疾患研究
免疫アレルギー疾患の発症には、遺伝学的要因に加えて、在胎中を含む環境要因等が複雑に絡
み合って発症すると考えられる。特に出生前後の環境要因、授乳・離乳を含む食物摂取、さらに乳児
期早期の皮膚の発達は、生涯に及ぶアレルゲンの経皮感作やアレルギー疾患の発症に影響を与え
る可能性がある。日本の小児科から提唱されたアレルギーマーチの概念もあり、乳児期早期での湿疹
やアトピー性皮膚炎と経皮感作の関係性が注目されている。日本と欧米からは、アトピー性皮膚炎の
ハイリスク群(親または兄弟がアトピー性皮膚炎)の新生児に対して早期から保湿剤でスキンケアを行
うことにより、アトピー性皮膚炎の発症率を低下したと報告されている。欧米諸国では、多くの出生コホ
ート研究が進行しており、疾患の発症やその予防法に関する様々な知見が報告されている。日本から
も、乳児期からのスキンケアによりアトピー性皮膚炎治療と鶏卵の早期少量摂取の結果、卵アレルギ
ーの発症が 8 割減少したといった、世界に先駆けた成果が報告されている。
こうした状況において、既存または新規のコホート研究のデータ・サンプルを活用し、免疫アレルギ
ー疾患の発症に関与する遺伝学的要因及び環境要因を、可能な限り、母体情報を含めて統合的に
解析する研究と、適切なモデル生物等を用いた病態解明研究を並行して推進する。さらに、それらの
情報を基に抽出された発症リスクが高い親子を対象として、前向き介入研究を推進する必要がある。
その上で、研究成果から生活の中で実施可能な免疫アレルギー疾患の発症予防・重症化予防及び
症状の軽減についての教育資材等を開発し、社会全体に普及させることで国民全体の免疫アレルギ
ー疾患の有症率低下に繋げる必要がある。

(2) 高齢者を含めた成人発症免疫アレルギー疾患研究
気管支喘息や鼻炎、副鼻腔炎、接触性皮膚炎、薬疹等は、高齢者を含め成人期に発症することが
少なくない。また、アトピー性皮膚炎においても成人発症群は、小児期発症群と異なる特徴を有して
いる。小児期のアレルギーと比較して、皮膚・粘膜バリア機能の加齢変化や免疫低下等の要因が重な
り、病態が複雑であることが特徴である。また、アスピリン喘息やアレルギー性気管支肺真菌症等、気
管支喘息を背景として発症する疾患は、小児に比較して成人で重症化や致死性が高まること、再燃を
繰り返すといった特徴を持つことからも対策が必要である。加齢や老化に関する研究は国内外で推進

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