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資料4-1 感染症定期報告感染症別文献一覧表 (5 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26332.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会(令和4年度第1回 6/22)《厚生労働省》
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ID

感染症(PT)

出典

概要

14 ウイルス感染

[目的]ダニ媒介性病原体は、特にダニ‐ヒト相互作用が増加している農村地域におい
て、罹患率の重要な原因である。ヒトの発熱性疾患に関連して、最近中国で2つの新し
いTamdy orthonairovirusesが発見された。本研究では、北海道の患者におけるダニ咬
傷後の血小板減少、白血球減少、肝酵素及びフェリチンレベルの上昇を伴う急性発熱
性疾患の原因物質を同定することを目的とした。 [方法]患者サンプルは、ウイルス分
離のために、AG129マウス、インターフェロンa /fl及びy受容体の二重ノックアウトマウ
ス、及びVero E6細胞を順次継代した。単離したウイルスの全ゲノム配列を得るために
Illumina配列決定を行った。RT-PCR、RT-qPCR、及び酵素免疫測定法を確立し、ヒト、
Nature Communications. ダニそして野生動物におけるウイルス感染の遺伝的及び血清学的同定を行った。 [結
https://doi.org/10.1038/s 果]患者サンプルから、Yezoウイルス(YEZV)と命名された新規オルソナイロウイルス
41467-021-25857-0
を発見した。YEZVは、系統発生的にルーマニアのマダニから検出されたオルソナイロ
ウイルスであるスリナウイルス(Sulina virus)と分類され、これは当初ダニ特異的ウイ
ルスと考えられていた。2014年から2020年の間にYEZV感染が7例で確認され、そのう
ち4例がボレリア菌との同時感染であった。 YEZVに対する抗体は野生シカ及びアライ
グマから検出され、YEZV RNAは北海道のダニから検出されている。 [考察]これらの
成績は、YEZVが熱性疾患の原因病原体である可能性が高いことを示している。本稿
は、日本のダニによって伝播される可能性のあるオルソナイロウイルスに関連する日
本での初めての感染報告である。今後、エゾウイルスとボレリア菌による同時感染の
複雑な臨床的特徴を慎重に検討すべきである。

15 ウイルス感染

PLoS Negl Trop Dis.
15(11)(2021) e0009842

問題点:アルゼンチンにおいて、Alto Paraguay virusによる初めてのヒト感染例が確認
された。 【概要】新たにヒトにおいて感染することが認められた感染症に関する報告。
アルゼンチンで報告されたAlto Paraguay virus(APV)に感染した最初のハンタウイル
ス肺症候群(HPS)症例を報告する。これまでAPVはげっ歯類Holochilus chacarius
(H.chacarius)にて同定されており、非病原性オルソハンタウイルスと考えられていた。
患者の病歴及び検査値は、届け出疾患に必須である臨床/疫学的フォームを介してサ
ンタフェ州医療機関の診療記録から検索した。 COVID-19パンデミックの状況下で、
15歳男性は発熱、全身脱力、頭痛、咳嗽及び筋肉痛を呈し、来院した。COVID-19が
疑われたため、患者はサンタフェ州にある地域病院に入院した。入院時(症状発症2日
後)に血清検体及び上咽頭スワブ(NFS)を採取した。重度の呼吸器症状を伴わない軽
度の臨床症状を示し、それに加えて、コンピュータ断層撮影スクリーニングにおいて
COVID-19と一致する画像を示した。患者は急速に改善し、数日後に退院した。 NFS
検体におけるコロナウイルス及びハンタウイルスのRT-PCRはともに陰性であった。し
かし、NFSは日常的なハンタウイルス診断には適切でないため、血清検体をELISA及
びRNA抽出にかけた。血清検体はハンタウイルスに対するIgM及びIgG抗体の検出可
能レベルを有し、高IgM力価かつ低IgG力価であった。ウイルスの遺伝子特性づけのた
めに、2つの部分的断片をSセグメント及びMセグメントからそれぞれ増幅することに成
功した。最も高いヌクレオチド同一性は、Sセグメントで98.6%、Mセグメントで95.3%で
あり、かつてパラグアイ西部でH.chacariusに関連して報告されたオルソハンタウイルス
であるAPVに対して認められた。アミノ酸の比較では、同ウイルスとのNタンパク質及び
G2タンパク質の同一性がそれぞれ99%と100%であることが示された。 APVは、
COVID-19パンデミックの状況下で診断されたHPS症例からの部分的遺伝子解析によ
り特徴付けられた。興味深いことに、APVは現在までヒト疾患と関連付けられていな
かった。それはかつて、患者の地域から北に1200km以上の西パラグアイAlto
Paraguay県のH.chacariusから特徴づけられていた。本研究で報告されたHPS患者は、
サンタフェ州の農村地域でげっ歯類に曝露し、主にCOVID19パンデミックに関連した厳
しい移動制限のため旅行歴がなかった。H.chacariusは中央アルゼンチンに存在する
が、この地域でAPVを保有するげっ歯類保有宿主はまだ確認されていない。APVは以
前にH.chacarius一個体からのみ同定されており、APVが他のげっ歯類種に保有されて
いる可能性を除外すべきではない。 要約すると、25年前にアルゼンチンで報告されて
いたHPS及び得られた医療経験が致死率を有意に低下させることに役立ったにもかか
わらず、HPSは世界中での新しいウイルスの出現によって証明されるように、いまだ新
興感染症のままである。 本知見は、HPS流行地域の拡大及び中央アルゼンチンで流
行している新しいオルソハンタウイルスに関する疫学的警告並びに、今後、宿主と考
慮すべき新しいげっ歯類種を関連づけている。

PLoS Negl Trop Dis.
15(2021)e0009494

本稿では、2014年にアルファ-及びフラビウイルス流行に起因する急性熱性疾患を発
症したハイチの小児由来の血漿検体から、2つのオルソブニヤウイルスであるMelaoウ
イルス(MELV)及びOropoucheウイルス(OROV)を同定したことを報告する。MELVは、
これまでヒト病原体としては記載されていなかったが、5例の患者の血漿から細胞培養
で分離された。OROV RNAは、偏りのない配列決定アプローチを用いて、別の小児の
血漿中で検出され、系統発生学的推論からブラジル由来株との密接な関係が示唆さ
れた。腹痛はMELV感染患者4例で報告され、リンパ節腫脹が2例に認められた。我々
の所見は、カリブ海地域におけるこれらのオルソブニヤウイルスの発生を立証し、これ
らのウイルス及び他の新興ウイルスによって引き起こされるアウトブレイクを同定する
ためのウイルスゲノム配列分析によるサーベイランスの決定的な重要性を強調するも
のである。

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