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資料4-1 感染症定期報告感染症別文献一覧表 (3 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26332.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会(令和4年度第1回 6/22)《厚生労働省》
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ID

感染症(PT)

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出典

概要
患者の血小板と白血球を減少させ、まるでデング熱のように振る舞う「謎のウイルス性
発熱」の症例がカラチで目撃されているが、デング熱の検査では陰性であることが判
明したと、臨床医と病理医が木曜日(2021年11月11日)にThe Newsに語った。「この数
週間、血小板と白血球が減少し、他の臨床症状もデング熱に類似しているウイルス性
発熱の症例を診ている。しかし、これらの患者のNS1抗原検査を実施すると、その検査
結果は陰性になる。」と、ダウ健康科学大学の分子病理学部長のSaeed Khan教授は
述べた。カラチ市内の様々な病院の内科医や血液病理医など他の専門家も、デング
ウイルス様の病原体がカラチに蔓延しており、デング熱と同様の作用を示し同じ治療
プロトコルを必要とする疾患を引き起こしているが、デング熱ではないことを確認してい
る。デング熱の高い有病率と謎のウイルスにより、カラチ全土の病院や血液バンクは、
血小板のメガユニットとランダムユニットの急激な不足に直面していると臨床医らは述
べ、デング熱やマラリアのような節足動物媒介性疾患から身を守るための予防措置を
自ら講じるよう勧告した。謎のウイルスについてのコメントでKhan教授は、デング熱の
ような疾患を引き起こす、アルボウイルス科の別のウイルスである可能性があると述
べた。「デングウイルスかどうかを調べるためにPCR検査までも実施したが、デングウ
イルスではない。ジカウイルスは異なった振る舞いをするため、ジカウイルスでもない。
このウイルスがデングウイルスの未知の変異体である可能性もほとんどない。」と述べ
た。同氏は代表チームが新しいウイルスの研究を開始したと述べた。グラシャンイクバ
ルの小児病院に所属する分子科学者のMuhammad Zohaib博士は、デング熱ではない
がデング熱様症状を呈したウイルス性発熱の症例が、同病院及びカラチ市内の他の
数名の病理医によっても目撃されていることを確認した。「増え続けるデング熱症例に
加えて、この謎のウイルス性疾患により、血小板のメガユニットとランダムユニットが市
内で極端に不足している。人々は自身の大切な人のため、血小板のメガユニットとラン
ダムユニットを求めてあちこち移動している。」と同氏は述べた。 ある公共機関健康施
設に所属する上級血液病理医であるZeeshan Hussain医師は、幸運なことに、デング
熱に類似する謎のウイルス性発熱では現在までは1例も死亡に至っていないと述べ
た。同医師は、このウイルスに感染した患者らをデング熱に罹った患者と同様に治療
していると付け加えた。 「今のところこのウイルスは、出血を開始した患者において、
血小板減少によって出血熱を来すことはない。この未知のウイルスに感染した患者の
うち大多数は標準療法に反応している」とHussain医師は付け加えた。 アーガー・ハー
ン大学病院の感染疾患専門医であるFaisal Mehmood医師はこの謎のウイルスについ
て質問され、カラチの環境で伝播しデングウイルスのように振る舞うもう一つのウイル
スが存在する可能性があると答えた。しかし、同医師は自身の臨床ではそのような症
例を全く観察していないとも付け加えた。 血液内科医のSaqib Ansari医師は、しかし、
デング熱症状を呈するが検査ではデング陰性を示す人々の現象はカラチにおいては
新しいものではないと述べた。同医師はそうした症例が2008年以降観察され続けてい
ると主張し、何らかの結論に達する前にさらなる調査を求めた。 「私は血小板数が落
ちるとともにALTも上昇する患者の症例を診てきたが、そうした患者はデング熱の古典
的症状を呈するのにデング熱検査では陰性となる。偽陰性結果が報告されている可
能性があるため、この点についてさらに調査が必要である」とAnsari医師は述べた。

アルボウイルス感


ProMED-mail
20211113.8699641

アルボウイルス感


北海道におけるマダニ媒介性感染症としてこれまでライム病、新興回帰熱、ダニ媒介
性脳炎が報告されている。2019年、北海道でマダニと思われる虫刺咬後、発熱と下肢
痛を発症した患者より新規オルソナイロウイルスであるエゾウイルス(YEZV)が検出さ
れた。コッホの原則を満たしてはいないものの、既知の病原体による感染症は否定さ
れ、エゾウイルスによる感染症と診断した。患者は高尿酸血症、高脂血症の既往歴が
ある40代男性。2019年5月中旬山林にて山菜採取を行い、翌日右側腹部の虫刺咬に
気付き自己抜去した。刺咬後5日目39℃ 台の発熱にて発症し、両下肢痛が出現し歩
行困難となったため刺咬後9日目に入院となった。右下腹部に虫刺咬痕と思われる皮
膚所見を認めた。入院時、白血球1、600 /μL、ヘモグロビン15.2 g/dL、血小板87、
第53回日本小児感染症学
000 /μL、Dダイマー5.5 μg/mL、AST 3703 U/L、ALT 1783 U/L、LDH 4069 U/L、
会総会・学術集会
ALP 188 U/L、CK 5847 U/L、CRP 0.63 mg/dL、フェリチン55、200 ng/mL。尿検査に
(2021/10/09て潜血3+、赤血球1~4個/HPF、ミオグロビン尿を認めた。胸腹部骨盤造影CTにて明
2021/10/10)WS1-4
らかな感染源を認めなかった。入院5日目、著明な異型リンパ球増多(白血球8、200 /
μL、A-Ly 76.0%)が出現した。精査にて既存の感染症の診断に至らなかったが、入
院5日目より症状改善し後遺症なく入院15日目に自宅退院となった。入院日の患者血
清をVero細胞に接種し、この培養上清を次世代シークエンサーで解析したところ、オル
ソナイロウイルスの遺伝子断片が検出された。3分節RNAの塩基配列を解読し本ウイ
ルスをYEZVと呼称した。系統解析によりYEZVがTamdy血清群に近縁な新規ウイルス
であることが明らかとなった。2020年、2例日となる患者の検体からYEZVの分離に成
功した。YEZVは北海道に常在し、マダニ刺咬後の急性発熱性疾患の病原体であると
考えられる。今後、疫学、臨床経過などについての更なる研究が必要である。

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