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資料4-1 感染症定期報告感染症別文献一覧表 (12 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26332.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会(令和4年度第1回 6/22)《厚生労働省》
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ID

感染症(PT)

43 細菌感染

出典

【症例】慢性心不全、大動脈弁狭窄症の既往のある酪農家の70歳男性が、呼吸困難、
左手関節痛を主訴に他院を受診、慢性心不全増悪の診断で当院へ紹介搬送された。
来院後の診察で左手関節の腫脹、熱感があり血液検査上CRPの上昇を認めた。手関
節の関節穿刺では膿汁が引け、化膿性手関節炎、慢性心不全増悪の診断で入院、血
液培養を採取してVCM、CTRXの投与を開始した。翌日に血液培養2セット、関節液か
ら院内で同定不能のグラム陰性桿菌が検出された。感受性試験ではCTRXに感受性
第70回日本感染症学会東
があり、VCMを中止しCTRXのみ継院した。入院後に腰痛の訴えがあり、腰椎MRIで第
日本地方会学術集会、第
4、5腰椎に椎体椎間板炎、両側腸腰筋脹瘍を疑う所見を認めた。第10病日に腸腰筋
68回日本化学療法学会東
膿瘍のドレナージ術を実施しCRPは順調に低下、第28病日に腰椎の後方固定術を実
日本支部総会合同学会
施した。感受性結果から抗菌薬の内服以降を目的にABPCへ変更したが薬疹の出現
(2021/10/27があり、LVFXへ変更した。起炎菌であるグラム陰性桿菌は質量分析でも同定がつか
2021/10/29)075
ず、16Sr RNA遺伝子解析でMannheimia varigena と同定された。 【考察】M.varigena は
ウシに呼吸器感染を引き起こすM.haemolytica から1999年に16Sr RNA遺伝子解析に
より分離同定され、仔ウシの肺炎、流産、髄膜炎、敗血症などの報告がある。患者は
仔ウシ業に従事する酪農家で仔ウシからの感染が示唆され、またM. varigena のヒトヘ
の病原性を持つ可能性が示唆される。本症例はM.varigena のヒトヘの感染の世界で
初めての報告である。

44 細菌感染

第70回日本感染症学会東
日本地方会学術集会第68
回日本化学療法学会東日
本支部総会合同学会
(2021/10/272021/10/29)037

45 細菌感染

第70回日本感染症学会東
日本地方会学術集会第68
回日本化学療法学会東日
本支部総会合同学会
(2021/10/272021/10/29)075

46 鳥インフルエンザ

ProMED-mail
20210716.8519755

47 B型肝炎

概要

Transfusion.
61(2021)2782-2787

【症例】69歳、女性 【主訴】腹痛、嘔気【現病歴】腹膜癌疑い(多発肺転移、恥骨部転
移、 大網腫瘤)で当院かかりつけ。開腹生検は希望されず、Best Supportive Careの
方針となっていた。3ヶ月前にPICCを挿入し、在宅で使用していた。来院1日前から腹
痛、嘔気を訴え、腹膜播種に伴う麻痺性イレウスの診断で入院とし、胃管挿入と補液
による保存的加療を行った。末梢静脈とPICCからの血液培養よりTsukamurella属菌が
検出され、PICCを抜去した。第7病目よりIPM/CS、 LVFXを計14日間投与し、血液培
養の陰性化を確認した。16SrRNA遺伝子解析では複数菌種が密接に関連し、菌種を
同定できなかった。3種類のハウスキーピング遺伝子(groEL、secA、rpoB)の配列を解
析し、Tsukamurella ocularis と同定 した。【考察】Tsukamurella属菌は土壌、水など環
境中に広く生息する偏性好気性弱抗酸性放線菌で、免疫不全者において血流感染症
を引き起こす。在宅患者でカテーテル関連血流感染症を確認した際は生活環境に生
息する菌も考慮する必要がある。またTsukamurella ocularis は結膜炎の患者の結膜
スワブより2018年に検出された新菌種である。本菌による菌血症は過去に報告されて
いない。今後の症例の蓄積により、臨床病態の解明が望まれる。
慢性心不全、大動脈弁狭窄症の既往のある酪農家の70歳男性が、呼吸困難、左手関
節痛を主訴に他院を受診、慢性心不全増悪の診断で当院へ紹介搬送された。来院後
の診察で左手関節の腫脹、熱感があり血液検査上CRPの上昇を認めた。手関節の関
節穿刺では膿汁が引け、化膿性手関節炎、慢性心不全増悪の診断で入院、血液培養
を採取してVCM、CTRXの投与を開始した。翌日に血液培養2セット、関節液から院内
で同定不能のグラム陰性桿菌が検出された。感受性試験ではCTRXに感受性があり、
VCMを中止しCTRXのみ継続した。入院後に腰痛の訴えがあり、腰椎MRIで第4、5腰椎
に椎体椎間板炎、両側腸腰筋膿瘍を疑う所見を認めた。第10病目に腸腰筋膿瘍のド
レナージ術を実施しCRPは順調に低下、第28病目に腰椎の後方固定術を実施した。
感受性結果から抗菌薬の内服以降を目的にABPCへ変更したが薬疹の出現があり、
LVFXへ変更した。起炎菌であるグラム陰性桿菌は質量分析でも同定がつかず、
16SrRNA遺伝子解析でMannheimia varigena と同定された。M.varigena はウシに呼吸
器感染を引き起こすM.haemolytica から1999年に16SrRNA遺伝子解析により分離同定
され、仔ウシの肺炎、流産、髄膜炎、敗血症などの報告がある。患者は仔ウシ業に従
事する酪農家で仔ウシからの感染が示唆され、またM. varigena のヒトへの病原性を持
つ可能性が示唆される。本症例はM.varigena のヒトへの感染の世界で初めての報告
である。
2021年2月、ロシアは鳥インフルエンザH5N8による初めてのヒト感染症を報告し、5月
にCDCは、人獣共通感染症の鳥インフルエンザA/H5N8をIRATリストに追加した。
〇NAT検査陰性のHBVウインドウ期の血液を輸血された患者におけるHBVの長期潜
伏輸血によるHBV感染(TT-HBV)は、血液スクリーニングの継続的な改善により大幅
に減少したが、いまだにごく少数例が報告されている。個別NAT陰性血による輸血後
HBV感染の特徴は明らかになっていない。急性骨髄性白血病に罹患した76歳女性
が、個別NAT陰性の成分採血による血小板製剤の輸血後に肝炎を発症した。供血者
及び受血者検体を用いてダイレクトシーケンス法によるHBV遺伝子の解析を行ったと
ころ、両検体間に塩基配列の相同性が認められ、輸血に起因するHBV感染と確定され
た。HBV-DNAが輸血後5か月近く潜伏したまれな症例である。(個別NAT導入後、日
本で報告された最も長い潜伏期間は84日であった。)HBV の遺伝子型 A2は複製速度
が遅く、本症例の長期の潜伏期間に寄与した可能性がある。また、血小板製剤が多量
の血漿成分を含むことや、血液腫瘍患者における免疫応答がHBV感染の成立に寄与
した可能性がある。このような状況は、過去に日本で確認された個別NAT陰性血液に
よる輸血後HBV感染3症例の分析結果と同様である。個別NAT陰性のHBV ウインドウ
期の血液に由来する血液を輸血した場合、3か月より長期間のHBV感染の継続的な
モニタリングを行う必要がある。

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