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資料5-1 感染症定期報告感染症別文献一覧表[909KB] (2 ページ)
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| 公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64439.html |
| 出典情報 | 薬事審議会 医薬品等安全対策部会(令和7年度第2回 10/24)《厚生労働省》 |
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ID
感染症(PT)
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概要
ProMED-mail
20250112.8721280
中国北東部のセンチネル病院において潜在的な病原体を特定するため、最近ダニに刺された発熱患者
の積極的監視が実施された。2023年5月から7月にかけて発熱患者252例から採取した血清サンプルの
メタトランスクリプトーム配列解析を実施した。また、2例から採取した血清サンプルで特定された未知の
ウイルスのゲノムを構築するため、新規アセンブリを使用した。系統ゲノム解析により、本ウイルスはナ
イロウイルス科オルソナイロウイルス属に属することが明らかになったが、RNA依存性RNAポリメラーゼ
タンパク質のアミノ酸同一性はすべての既知のオルソナイロウイルス属種と75.6%未満であり、新種であ
ることが示唆された。この新種は最初に確認された牡丹江市の地名にちなんで、Xue-Cheng virus
(XCV)と暫定的に命名された。2022年から2024年の5月から7月にかけての期間を追加し、792例から採
取した血清サンプル中のXCVを検出するため、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)分析とサ
ンガー配列決定を実施した。この分析では、Rickettsia raoultii に重複感染していた1例を除き、PCR又は
RT-PCR分析で他のダニ媒介性感染症が陰性であった26例のXCV感染患者を特定した。血清サンプル
をペアにした15例では、ベースラインのIgG抗体価が4倍に増加した。26例の臨床症状は、非特異的な急
性発熱性疾患から入院に至る重度の疾患まで多岐にわたった。頻繁に観察される検査値異常として、
白血球減少症並びに肝アミノトランスフェラーゼ、乳酸脱水素酵素、αヒドロキシ酪酸脱水素酵素、アミ
ロイド蛋白A及び過敏性C反応性蛋白の血清レベル増加が含まれた。感染患者が確認された地域では、
イスカチマダニの6%とヤマトチマダニの3.2%からXCVが検出された。系統樹では、ダニ由来の4つの
XCVゲノムが2つのヒト由来ゲノムとクラスター化した。これらのデータは、発熱性疾患の原因としてダニ
媒介性オルソナイロウイルスの新たな種の存在を示唆している。
Vet Res. 56(2025)32
ペスチウイルスはフラビウイルス科に属するRNAウイルスで、広い宿主域を持つ。その病原性は非常に
多様で、畜産業において大きな経済的損失をもたらしている。2023年4~5月に中国四川省の養豚場で
原因不明の疾患が発生した。このアウトブレイクは最初に流産、死産、ミイラ化した胎児の出産を含む雌
ブタの生殖障害が、続いて仔ブタの先天性振戦と死亡が発生した。仔ブタの先天性振戦有病率は約
70%で、全体の死亡率は約20%であった。様々な広域抗生物質がブタに投与されたがいずれも効果が
なかった。流産胎児及び先天性振戦を呈した仔ブタから採取された臨床試料の分析が行われ、肺組織
及び脳組織から新規ペスチウイルスが検出された。この新たに同定されたウイルスはブタ流産関連ペス
チウイルス(PAAPeV)と命名された。系統解析の結果、PAAPeVはWenzhou Pipistrellus abramus
pestivirusに近縁だが異なる分枝でクラスターを形成し、新種であることが示唆された。病原性評価のた
めの動物実験の結果、PAAPeV感染は仔ブタとマウスの著しい病理組織学的変化を引き起こし、ウイル
ス血症と様々な臓器での高いウイルスゲノム量が認められた。in vitro 試験では、PAAPeVはブタ精巣細
胞で健全な複製を示し、ヒト細胞(A549、HepG2)では2世代まで、サル細胞(Vero)では6世代までの限定
された複製を示した。ブタサーコウイルス3型はin vitro では限定的な複製を示すが、ブタにおいては複製
能を有し疾患を引き起こすことが報告されている。したがってPAAPeVがヒトやサルに感染する可能性は
否定できない。全体的に見ると、PAAPeVはブタとマウスの両方に感染し、他の哺乳類にも感染する可
能性があり、種を超えて伝播する能力を示している。これは養豚業と公衆衛生に重大なリスクをもたら
す。新たに発見されたウイルスであるため、PAAPeVの有病率、発症機序、種間伝播能を明らかにする
ためのさらなる研究が必要である。
ProMED-mail
20241123.8720188
2024年6月21日、歴史的に本疾患が発生していなかったブラジルセアラ州においてOropouche virus
(OROV)感染1例が、積極的な検査サーベイランスを通じて遡及的に確認された。系統的な調査により
171例が特定され、その大半はBaturité山塊の農村部に集中していた。この地域の農地は、OROVのヒト
への感染に主に関与するベクターであるヌカカにとって好条件となっている。妊娠中のOROV感染により
死産に至った症例を報告する。2024年7月24日、40歳女性(妊娠3回、出産経験1回、24歳で妊娠初期の
妊娠喪失)において、妊娠30週3日に発熱、悪寒、全身性筋肉痛及び重度の頭痛が発現した。定期的な
妊娠管理を受けており、妊娠糖尿病に対してメトホルミンが投与されていた。定期的な産科超音波検査
を4回受けていたが、いずれも異常は認められなかった。2024年7月27日、軽度の膣出血と暗色膣分泌
物があったため受診した。超音波検査では胎児の推定体重が在胎週数の97.5パーセンタイルを超えて
おり、胎児性巨大児と判明したが、他の異常は認められなかった。2024年8月5日、持続する発熱と軽い
膣出血を呈し、2024年7月31日以降胎児の動きが減少していることに気づいた。超音波検査で胎児死亡
が確認された。初回評価時に採取された母体血液の分子診断検査により、急性OROV感染が確認され
た。デングウイルス、ジカウイルス、チクングニアウイルス及びマヤロウイルスは陰性であり、更なる検査
で死産を引き起こす可能性のある他の感染症や疾患はみられなかった。検査の結果、体重2190g、グ
レード3の軟化(推定死後8日以上経過)、明らかな奇形のない死産男児であることが判明した。胎盤に
は梗塞の兆候がみられた。OROV RNAは、脳脊髄液(サイクル閾値[Ct]値、21)、脳(Ct値、34)、肺(両
肺のCt値、33)、肝臓(Ct値、34)、臍帯(Ct値、33)、胎盤(Ct値、32)を含む複数の胎児サンプルで検出
された。これらの数値により垂直伝播の発生が確認された。胎児組織の病理組織学的解析は自己融解
によって制限された。IQ-TREEマルチコアソフトウェアバージョン2.1.1を用いて各OROVセグメントの連結
されたほぼ完全な配列を最大尤度推論により系統学的再構築した。これらの配列は最近報告された
OROVBR-2019-2024系統とクラスター化され、現在進行中のアウトブレイクで循環している株との系統
関係が確認された系統ゲノム解析の結果は、本症例における死産とブラジルで現在進行中のOROVの
アウトブレイクとの関連を裏付けるものであった。これらの調査結果は妊娠中のOROV感染のリスク、ま
た本ウイルスが流行している地域、新たに出現した地域に居住している、又は訪問し、発熱やその他の
疑わしい症状を呈する妊婦において本感染を考慮する必要があることを強調している。
8 カンピロバクター感染
Journal of infection.
89(2024)106265
米国におけるカンピロバクター感染源を特定するための全国調査データのレトロスペクティブ解析に関
する報告。米国における全国サーベイランス(2009~2019年)中に、ヒト感染症由来の8856のカンピロバ
クターの分離株を収集し、可能性のある感染源由来の16703のゲノム配列を決定した。機械学習と確率
論的モデルを用いて、宿主適応に関連する遺伝的変異を標的としてヒトの感染源を特定し、異なる疾患
保有宿主の重要性を推定した。ヒトへの感染の主な原因は家禽で、症例の推定68%であった。次いでウ
シ(28%)、野鳥(3%)及び豚肉源(1%)であった。また、特にニワトリ由来の分離株では、多剤耐性菌の
増加が確認された。ニワトリが感染源とされた症例の割合が最も低かった保健福祉省第8地域では、カ
ンピロバクター症例の感染源として、かなりの割合で、ウシ(Canpylobacter jejuni 症例の49%)及び豚肉
(Campylobacter coli 症例の26%)が占めていた。全国的なサーベイランスと感染源の特定が政策の指
針となり、家禽を対象とした介入が、米国におけるカンピロバクター症及び多剤耐性菌の蔓延を最も減
少させることを本研究は示唆している。
9 クラミジア性肺炎
Lancet Infect Dis.
25(2025)198-207
2022年12月、オランダで鳥類由来のChlamydia abortus 株が家族4人に呼吸器疾患のクラスターを引き
起こした。3人が市中肺炎で入院し、うち1人が集中治療室に入院した。野鳥の糞便が最初の感染源と考
えられた。家族2人についてはヒトからヒトへの感染経路が考えられた。過去に鳥類由来C. abortus 株が
確認された症例は10件あり、全患者が入院し、少なくとも5人が肺炎を発症し、1名が死亡している。
5 ウイルス感染
6 ウイルス感染
7 オロプーシェ熱
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感染症(PT)
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概要
ProMED-mail
20250112.8721280
中国北東部のセンチネル病院において潜在的な病原体を特定するため、最近ダニに刺された発熱患者
の積極的監視が実施された。2023年5月から7月にかけて発熱患者252例から採取した血清サンプルの
メタトランスクリプトーム配列解析を実施した。また、2例から採取した血清サンプルで特定された未知の
ウイルスのゲノムを構築するため、新規アセンブリを使用した。系統ゲノム解析により、本ウイルスはナ
イロウイルス科オルソナイロウイルス属に属することが明らかになったが、RNA依存性RNAポリメラーゼ
タンパク質のアミノ酸同一性はすべての既知のオルソナイロウイルス属種と75.6%未満であり、新種であ
ることが示唆された。この新種は最初に確認された牡丹江市の地名にちなんで、Xue-Cheng virus
(XCV)と暫定的に命名された。2022年から2024年の5月から7月にかけての期間を追加し、792例から採
取した血清サンプル中のXCVを検出するため、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)分析とサ
ンガー配列決定を実施した。この分析では、Rickettsia raoultii に重複感染していた1例を除き、PCR又は
RT-PCR分析で他のダニ媒介性感染症が陰性であった26例のXCV感染患者を特定した。血清サンプル
をペアにした15例では、ベースラインのIgG抗体価が4倍に増加した。26例の臨床症状は、非特異的な急
性発熱性疾患から入院に至る重度の疾患まで多岐にわたった。頻繁に観察される検査値異常として、
白血球減少症並びに肝アミノトランスフェラーゼ、乳酸脱水素酵素、αヒドロキシ酪酸脱水素酵素、アミ
ロイド蛋白A及び過敏性C反応性蛋白の血清レベル増加が含まれた。感染患者が確認された地域では、
イスカチマダニの6%とヤマトチマダニの3.2%からXCVが検出された。系統樹では、ダニ由来の4つの
XCVゲノムが2つのヒト由来ゲノムとクラスター化した。これらのデータは、発熱性疾患の原因としてダニ
媒介性オルソナイロウイルスの新たな種の存在を示唆している。
Vet Res. 56(2025)32
ペスチウイルスはフラビウイルス科に属するRNAウイルスで、広い宿主域を持つ。その病原性は非常に
多様で、畜産業において大きな経済的損失をもたらしている。2023年4~5月に中国四川省の養豚場で
原因不明の疾患が発生した。このアウトブレイクは最初に流産、死産、ミイラ化した胎児の出産を含む雌
ブタの生殖障害が、続いて仔ブタの先天性振戦と死亡が発生した。仔ブタの先天性振戦有病率は約
70%で、全体の死亡率は約20%であった。様々な広域抗生物質がブタに投与されたがいずれも効果が
なかった。流産胎児及び先天性振戦を呈した仔ブタから採取された臨床試料の分析が行われ、肺組織
及び脳組織から新規ペスチウイルスが検出された。この新たに同定されたウイルスはブタ流産関連ペス
チウイルス(PAAPeV)と命名された。系統解析の結果、PAAPeVはWenzhou Pipistrellus abramus
pestivirusに近縁だが異なる分枝でクラスターを形成し、新種であることが示唆された。病原性評価のた
めの動物実験の結果、PAAPeV感染は仔ブタとマウスの著しい病理組織学的変化を引き起こし、ウイル
ス血症と様々な臓器での高いウイルスゲノム量が認められた。in vitro 試験では、PAAPeVはブタ精巣細
胞で健全な複製を示し、ヒト細胞(A549、HepG2)では2世代まで、サル細胞(Vero)では6世代までの限定
された複製を示した。ブタサーコウイルス3型はin vitro では限定的な複製を示すが、ブタにおいては複製
能を有し疾患を引き起こすことが報告されている。したがってPAAPeVがヒトやサルに感染する可能性は
否定できない。全体的に見ると、PAAPeVはブタとマウスの両方に感染し、他の哺乳類にも感染する可
能性があり、種を超えて伝播する能力を示している。これは養豚業と公衆衛生に重大なリスクをもたら
す。新たに発見されたウイルスであるため、PAAPeVの有病率、発症機序、種間伝播能を明らかにする
ためのさらなる研究が必要である。
ProMED-mail
20241123.8720188
2024年6月21日、歴史的に本疾患が発生していなかったブラジルセアラ州においてOropouche virus
(OROV)感染1例が、積極的な検査サーベイランスを通じて遡及的に確認された。系統的な調査により
171例が特定され、その大半はBaturité山塊の農村部に集中していた。この地域の農地は、OROVのヒト
への感染に主に関与するベクターであるヌカカにとって好条件となっている。妊娠中のOROV感染により
死産に至った症例を報告する。2024年7月24日、40歳女性(妊娠3回、出産経験1回、24歳で妊娠初期の
妊娠喪失)において、妊娠30週3日に発熱、悪寒、全身性筋肉痛及び重度の頭痛が発現した。定期的な
妊娠管理を受けており、妊娠糖尿病に対してメトホルミンが投与されていた。定期的な産科超音波検査
を4回受けていたが、いずれも異常は認められなかった。2024年7月27日、軽度の膣出血と暗色膣分泌
物があったため受診した。超音波検査では胎児の推定体重が在胎週数の97.5パーセンタイルを超えて
おり、胎児性巨大児と判明したが、他の異常は認められなかった。2024年8月5日、持続する発熱と軽い
膣出血を呈し、2024年7月31日以降胎児の動きが減少していることに気づいた。超音波検査で胎児死亡
が確認された。初回評価時に採取された母体血液の分子診断検査により、急性OROV感染が確認され
た。デングウイルス、ジカウイルス、チクングニアウイルス及びマヤロウイルスは陰性であり、更なる検査
で死産を引き起こす可能性のある他の感染症や疾患はみられなかった。検査の結果、体重2190g、グ
レード3の軟化(推定死後8日以上経過)、明らかな奇形のない死産男児であることが判明した。胎盤に
は梗塞の兆候がみられた。OROV RNAは、脳脊髄液(サイクル閾値[Ct]値、21)、脳(Ct値、34)、肺(両
肺のCt値、33)、肝臓(Ct値、34)、臍帯(Ct値、33)、胎盤(Ct値、32)を含む複数の胎児サンプルで検出
された。これらの数値により垂直伝播の発生が確認された。胎児組織の病理組織学的解析は自己融解
によって制限された。IQ-TREEマルチコアソフトウェアバージョン2.1.1を用いて各OROVセグメントの連結
されたほぼ完全な配列を最大尤度推論により系統学的再構築した。これらの配列は最近報告された
OROVBR-2019-2024系統とクラスター化され、現在進行中のアウトブレイクで循環している株との系統
関係が確認された系統ゲノム解析の結果は、本症例における死産とブラジルで現在進行中のOROVの
アウトブレイクとの関連を裏付けるものであった。これらの調査結果は妊娠中のOROV感染のリスク、ま
た本ウイルスが流行している地域、新たに出現した地域に居住している、又は訪問し、発熱やその他の
疑わしい症状を呈する妊婦において本感染を考慮する必要があることを強調している。
8 カンピロバクター感染
Journal of infection.
89(2024)106265
米国におけるカンピロバクター感染源を特定するための全国調査データのレトロスペクティブ解析に関
する報告。米国における全国サーベイランス(2009~2019年)中に、ヒト感染症由来の8856のカンピロバ
クターの分離株を収集し、可能性のある感染源由来の16703のゲノム配列を決定した。機械学習と確率
論的モデルを用いて、宿主適応に関連する遺伝的変異を標的としてヒトの感染源を特定し、異なる疾患
保有宿主の重要性を推定した。ヒトへの感染の主な原因は家禽で、症例の推定68%であった。次いでウ
シ(28%)、野鳥(3%)及び豚肉源(1%)であった。また、特にニワトリ由来の分離株では、多剤耐性菌の
増加が確認された。ニワトリが感染源とされた症例の割合が最も低かった保健福祉省第8地域では、カ
ンピロバクター症例の感染源として、かなりの割合で、ウシ(Canpylobacter jejuni 症例の49%)及び豚肉
(Campylobacter coli 症例の26%)が占めていた。全国的なサーベイランスと感染源の特定が政策の指
針となり、家禽を対象とした介入が、米国におけるカンピロバクター症及び多剤耐性菌の蔓延を最も減
少させることを本研究は示唆している。
9 クラミジア性肺炎
Lancet Infect Dis.
25(2025)198-207
2022年12月、オランダで鳥類由来のChlamydia abortus 株が家族4人に呼吸器疾患のクラスターを引き
起こした。3人が市中肺炎で入院し、うち1人が集中治療室に入院した。野鳥の糞便が最初の感染源と考
えられた。家族2人についてはヒトからヒトへの感染経路が考えられた。過去に鳥類由来C. abortus 株が
確認された症例は10件あり、全患者が入院し、少なくとも5人が肺炎を発症し、1名が死亡している。
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6 ウイルス感染
7 オロプーシェ熱
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