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難病「アミロイドーシス」に光を。-アミロイドの無毒化による治療効果を初めて実証- (4 ページ)
出典
公開元URL | https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/press/z0111_00087.html |
出典情報 | 難病「アミロイドーシス」に光を。-アミロイドの無毒化による治療効果を初めて実証-(8/7)《東京大学ほか》 |
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この「光酸素化」(注 5)反応は、正常なタンパク質を傷つけることなく、毒性のアミロイ
ドだけを選択的に毒性の低い状態へと変換することができます。この高い選択性は、治療にお
ける副作用のリスクを最小限に抑えるうえで重要な特長です。本反応は、ATTR アミロイドー
シス患者から実際に抽出された心臓アミロイド線維に対しても進行することが確認されており、
臨床的な有用性も示唆されています。さらに、アミロイドの持つ毒性だけでなく、その凝集性
(かたまりやすさ)を大幅に低下させることにも成功しました(図 2)。
図 2:光酸素化前後におけるアミロイドの凝集形態の変化
(左図)未処理の変性 TTR:太い線維状の塊が密になった、高い凝集状態を撮影した電子顕微鏡画像。
(右図)光酸素化処理後の変性 TTR:細い針状のものが疎らになった、低い凝集状態を撮影した電子顕微鏡画
像。
本研究の中でも特に注目されるのが、ヒトの TTR アミロイドを発現させた線虫(C. elegans)
を用いた実験です。ATTR アミロイドーシスの病態を再現できるモデル動物は世界的にも非常
に限られており、この線虫モデルは現在、本疾患を忠実に模倣できる唯一の実用的なモデル動
物とされています。この線虫は、ヒト患者と同様に運動機能の低下(末梢神経系の機能障害に
よる動きの鈍さやしなやかさの喪失)を示しますが、光と触媒による治療を行うことで、その
運動機能が有意に回復することが今回、明らかとなりました(図 3)。これはつまり「既に体
内に蓄積したアミロイドの毒性を除去する」ことによって病態を改善できるという、アミロイ
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ドだけを選択的に毒性の低い状態へと変換することができます。この高い選択性は、治療にお
ける副作用のリスクを最小限に抑えるうえで重要な特長です。本反応は、ATTR アミロイドー
シス患者から実際に抽出された心臓アミロイド線維に対しても進行することが確認されており、
臨床的な有用性も示唆されています。さらに、アミロイドの持つ毒性だけでなく、その凝集性
(かたまりやすさ)を大幅に低下させることにも成功しました(図 2)。
図 2:光酸素化前後におけるアミロイドの凝集形態の変化
(左図)未処理の変性 TTR:太い線維状の塊が密になった、高い凝集状態を撮影した電子顕微鏡画像。
(右図)光酸素化処理後の変性 TTR:細い針状のものが疎らになった、低い凝集状態を撮影した電子顕微鏡画
像。
本研究の中でも特に注目されるのが、ヒトの TTR アミロイドを発現させた線虫(C. elegans)
を用いた実験です。ATTR アミロイドーシスの病態を再現できるモデル動物は世界的にも非常
に限られており、この線虫モデルは現在、本疾患を忠実に模倣できる唯一の実用的なモデル動
物とされています。この線虫は、ヒト患者と同様に運動機能の低下(末梢神経系の機能障害に
よる動きの鈍さやしなやかさの喪失)を示しますが、光と触媒による治療を行うことで、その
運動機能が有意に回復することが今回、明らかとなりました(図 3)。これはつまり「既に体
内に蓄積したアミロイドの毒性を除去する」ことによって病態を改善できるという、アミロイ
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