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千葉大学 プレスリリース 大規模血清疫学調査から新型コロナウイルス再感染防御と血中抗体価の関係を解明 (7 ページ)
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公開元URL | https://www.chiba-u.ac.jp/news/research-collab/post_550.html |
出典情報 | 千葉大学 プレスリリース(6/19)《千葉大学ほか》 |
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【⽤語解説など】
注 1:Correlate of Protection
Correlate of Protection(CoP)は、感染症における病原体による感染や発症、重症化のリスク減少と相
関する免疫応答指標である。実験室で測定可能な免疫応答指標としては、T 細胞や B 細胞応答やサ
イトカイン・ケモカイン、病原体特異的 IgG や IgA、および中和抗体等が挙げられる。実際には病原
体に対する⾼い特異度・感度、多様な施設で測定が可能な簡便で再現性の⾼い免疫応答指標が求め
られる理由から、抗体価が主要な指標となる。感染や発症防御効果などに相関する免疫マーカーで
ある Correlate of Protection には、防御効果に因果関係や防御メカニズムがある mechanistic correlate of
protection (mCoP)と明確な防御メカニズムが想定されないサロゲートマーカーである non-mechanistic
correlate of protection (nCoP)に分類することが提唱されている。
注 2:中和抗体
中和抗体は⼀般的にウイルス粒⼦表⾯に結合することでその感染性を中和し、細胞への感染性を抑
制する機能をもつ抗体を⽰す。測定には感染性のウイルスを使⽤する。この研究では、祖先株から
変異が蓄積され、当時流⾏していたオミクロン BA.5 系統のウイルス株を使⽤することで、試験参加
者の⾎中に存在する当時の流⾏ウイルスに対する中和抗体の量を測定している。
注 3:新型コロナウイルス粒⼦におけるスパイクと核タンパク質の配置と機能
新型コロナウイルス粒⼦は平均 120 nm 程度の直径の細胞由来脂質膜をまとった球形の粒⼦である。
スパイク(S)が脂質膜を貫通して粒⼦表⾯に露出している。
核タンパク質(N)は、ウイルス RNA ゲノムと結合し、ヌクレオカプシドと呼ばれる構造を形成し
て、ウイルス粒⼦内部に取り込まれている。
新型コロナウイルスは S タンパク質を介して宿主細胞のレセプター(ACE2 等)と結合して細胞に
吸着することで感染する。この感染を防ぐ中和抗体の標的は主に S タンパク質を標的としていると
考えられている。
注 4:S 抗体と N 抗体測定の意義
国内の現⾏の新型コロナワクチン抗原や mRNA ワクチンがコードしている抗原は、S タンパク質の
みであり、ワクチンで誘導される液性免疫は S 抗体として検出される。⼀⽅で N 抗体は、ウイルス
粒⼦を使わない現⾏のワクチン接種では誘導されず、ウイルス感染によって特異的に誘導される液
性免疫の⼀つであるため、感染履歴の指標として国内で実施された⾎清疫学調査に利⽤されてきた。
また、N 抗体の標的の核タンパク質はウイルス粒⼦内部にあるためにウイルス粒⼦表⾯の中和抗体
の標的とはならず、中和抗体を回避するウイルスの変異は起こりにくいと考えられる。
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注 1:Correlate of Protection
Correlate of Protection(CoP)は、感染症における病原体による感染や発症、重症化のリスク減少と相
関する免疫応答指標である。実験室で測定可能な免疫応答指標としては、T 細胞や B 細胞応答やサ
イトカイン・ケモカイン、病原体特異的 IgG や IgA、および中和抗体等が挙げられる。実際には病原
体に対する⾼い特異度・感度、多様な施設で測定が可能な簡便で再現性の⾼い免疫応答指標が求め
られる理由から、抗体価が主要な指標となる。感染や発症防御効果などに相関する免疫マーカーで
ある Correlate of Protection には、防御効果に因果関係や防御メカニズムがある mechanistic correlate of
protection (mCoP)と明確な防御メカニズムが想定されないサロゲートマーカーである non-mechanistic
correlate of protection (nCoP)に分類することが提唱されている。
注 2:中和抗体
中和抗体は⼀般的にウイルス粒⼦表⾯に結合することでその感染性を中和し、細胞への感染性を抑
制する機能をもつ抗体を⽰す。測定には感染性のウイルスを使⽤する。この研究では、祖先株から
変異が蓄積され、当時流⾏していたオミクロン BA.5 系統のウイルス株を使⽤することで、試験参加
者の⾎中に存在する当時の流⾏ウイルスに対する中和抗体の量を測定している。
注 3:新型コロナウイルス粒⼦におけるスパイクと核タンパク質の配置と機能
新型コロナウイルス粒⼦は平均 120 nm 程度の直径の細胞由来脂質膜をまとった球形の粒⼦である。
スパイク(S)が脂質膜を貫通して粒⼦表⾯に露出している。
核タンパク質(N)は、ウイルス RNA ゲノムと結合し、ヌクレオカプシドと呼ばれる構造を形成し
て、ウイルス粒⼦内部に取り込まれている。
新型コロナウイルスは S タンパク質を介して宿主細胞のレセプター(ACE2 等)と結合して細胞に
吸着することで感染する。この感染を防ぐ中和抗体の標的は主に S タンパク質を標的としていると
考えられている。
注 4:S 抗体と N 抗体測定の意義
国内の現⾏の新型コロナワクチン抗原や mRNA ワクチンがコードしている抗原は、S タンパク質の
みであり、ワクチンで誘導される液性免疫は S 抗体として検出される。⼀⽅で N 抗体は、ウイルス
粒⼦を使わない現⾏のワクチン接種では誘導されず、ウイルス感染によって特異的に誘導される液
性免疫の⼀つであるため、感染履歴の指標として国内で実施された⾎清疫学調査に利⽤されてきた。
また、N 抗体の標的の核タンパク質はウイルス粒⼦内部にあるためにウイルス粒⼦表⾯の中和抗体
の標的とはならず、中和抗体を回避するウイルスの変異は起こりにくいと考えられる。
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