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千葉大学 プレスリリース 大規模血清疫学調査から新型コロナウイルス再感染防御と血中抗体価の関係を解明 (4 ページ)
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公開元URL | https://www.chiba-u.ac.jp/news/research-collab/post_550.html |
出典情報 | 千葉大学 プレスリリース(6/19)《千葉大学ほか》 |
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ベルの持続期間も延⻑されていました。このモデルに基づき、初感染からの経過⽇数別の再感染後の N
抗体価の上昇倍率を計算したところ、本研究の観察期間前後における N 抗体価上昇倍率の下限は 4 倍以
上と推定され、⾎清 N 抗体価 4 倍以上の上昇を本研究における再感染者と定義できました。
図1 N 抗体応答モデルによる再感染者の N 抗体の上昇倍率の推定
(左)N 抗体応答モデル。初感染者および再感染者⾎清における N 抗体価の診断後⽇数別データを基に、推定され
た N 抗体価の中央値および 95%信⽤区間(リボン)が⽰されている。⿊と灰⾊の点線はそれぞれ、陽性閾値(1.0
COI)と検出限界値(0.1 COI)を⽰している。
(右)再感染による N 抗体価の上昇倍率の推定。抗 N 抗体レベルの増加倍数は、再感染時の初感染後の推定 N 抗
体価と、再感染後の対応する⽇における抗体価の⽐から算出された。⽩い点線と実線は、それぞれ抗 N 抗体レベル
の 2 倍と 4 倍の増加を⽰している。⿊い線は観察期間の中央値(63 ⽇)を⽰している。
ハイブリッド免疫を保有する感染者の特徴
観察期間中に新たに発⽣した感染者における症状の有無を評価すると、ハイブリッド免疫を保有しない
感染者では、47%が症状を伴う COVID-19 として診断されました。⼀⽅、ハイブリッド免疫を保有する感
染者(すなわち再感染者)のうち症状を伴う COVID-19 と診断されたのは 6%に限定されました。このこ
とから、ハイブリッド免疫保有者は感染しても多くの者が無症候性となると考えられます。新型コロナ
ウイルス感染症では、無症候性感染者も感染⼒のあるウイルスを排出しており、ヒトからヒトへの感染
伝播に関与していることが知られており、流⾏制御という観点では、無症候性感染者も問題となります。
すなわち、ハイブリッド免疫保有者は、感染後に⾃⾝の発症を防御する免疫を持っている⼀⽅で、⾃覚な
く COVID-19 の感染流⾏拡⼤に関与している可能性が考えられます。そこで、本研究の対象者において
感染リスクと抗体価の関係性を再評価することにより、ハイブリッド免疫保有者において、発症だけで
なく感染そのものを防御する免疫の有無、および、その免疫の特徴を探索しました。
感染リスクと抗体価の関係性評価
まず、オミクロン BA.5 流⾏期の観察期間中における感染リスクを、2022 年 12 ⽉の初回検査時の⾎清 S
抗体および N 抗体価の組み合わせを⽤いて推定しました。N 抗体価と感染リスク減少の関連は、症候性
感染と無症候性感染のいずれにおいても、N 抗体価の増加に伴い感染リスクが顕著に低下していました
(図 2A)
。ワクチン未接種および感染歴のないコントロール群と⽐較して、新規感染の相対リスクが 90%
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抗体価の上昇倍率を計算したところ、本研究の観察期間前後における N 抗体価上昇倍率の下限は 4 倍以
上と推定され、⾎清 N 抗体価 4 倍以上の上昇を本研究における再感染者と定義できました。
図1 N 抗体応答モデルによる再感染者の N 抗体の上昇倍率の推定
(左)N 抗体応答モデル。初感染者および再感染者⾎清における N 抗体価の診断後⽇数別データを基に、推定され
た N 抗体価の中央値および 95%信⽤区間(リボン)が⽰されている。⿊と灰⾊の点線はそれぞれ、陽性閾値(1.0
COI)と検出限界値(0.1 COI)を⽰している。
(右)再感染による N 抗体価の上昇倍率の推定。抗 N 抗体レベルの増加倍数は、再感染時の初感染後の推定 N 抗
体価と、再感染後の対応する⽇における抗体価の⽐から算出された。⽩い点線と実線は、それぞれ抗 N 抗体レベル
の 2 倍と 4 倍の増加を⽰している。⿊い線は観察期間の中央値(63 ⽇)を⽰している。
ハイブリッド免疫を保有する感染者の特徴
観察期間中に新たに発⽣した感染者における症状の有無を評価すると、ハイブリッド免疫を保有しない
感染者では、47%が症状を伴う COVID-19 として診断されました。⼀⽅、ハイブリッド免疫を保有する感
染者(すなわち再感染者)のうち症状を伴う COVID-19 と診断されたのは 6%に限定されました。このこ
とから、ハイブリッド免疫保有者は感染しても多くの者が無症候性となると考えられます。新型コロナ
ウイルス感染症では、無症候性感染者も感染⼒のあるウイルスを排出しており、ヒトからヒトへの感染
伝播に関与していることが知られており、流⾏制御という観点では、無症候性感染者も問題となります。
すなわち、ハイブリッド免疫保有者は、感染後に⾃⾝の発症を防御する免疫を持っている⼀⽅で、⾃覚な
く COVID-19 の感染流⾏拡⼤に関与している可能性が考えられます。そこで、本研究の対象者において
感染リスクと抗体価の関係性を再評価することにより、ハイブリッド免疫保有者において、発症だけで
なく感染そのものを防御する免疫の有無、および、その免疫の特徴を探索しました。
感染リスクと抗体価の関係性評価
まず、オミクロン BA.5 流⾏期の観察期間中における感染リスクを、2022 年 12 ⽉の初回検査時の⾎清 S
抗体および N 抗体価の組み合わせを⽤いて推定しました。N 抗体価と感染リスク減少の関連は、症候性
感染と無症候性感染のいずれにおいても、N 抗体価の増加に伴い感染リスクが顕著に低下していました
(図 2A)
。ワクチン未接種および感染歴のないコントロール群と⽐較して、新規感染の相対リスクが 90%
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