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千葉大学 プレスリリース 大規模血清疫学調査から新型コロナウイルス再感染防御と血中抗体価の関係を解明 (5 ページ)

公開元URL https://www.chiba-u.ac.jp/news/research-collab/post_550.html
出典情報 千葉大学 プレスリリース(6/19)《千葉大学ほか》
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低下する N 抗体価の閾値は、症候性感染で 1.0 COI 以上、無症状感染で 17.2 COI でした。無症状感染を
防ぐために N 抗体価が 17.2 COI を超える期間は、初感染後約 120 ⽇、再感染後約 500 ⽇と推定され、症
候性感染を防ぐための 1.0 COI の閾値を満たす期間(初感染後約 600 ⽇)よりも顕著に短いことが⽰され
ました(図 1)
。⼀⽅、⾼い S 抗体価も症候性の感染リスク低下とは関連していましたが、無症状感染リ
スク減少との関連は限定的でした(図 2A)

次に、調査時に流⾏していたオミクロン BA.5 系統に対する中和抗体価を⽤いて感染リスクを推定するた
め、新規感染者および⾮感染者から 7–9%に当たる 340 名をハイブリッド免疫の保有と新規感染の有無で
層化無作為抽出し、初回検査時の各⾎清の中和抗体価を測定しました。オミクロン BA.5 中和抗体価と N
抗体価を⽤いて感染リスクを推定すると、N 抗体価は、S 抗体価を⽤いた推定と同様に、症候性感染およ
び無症候性感染のいずれにおいても N 抗体価の増加と感染リスクの低下が関連していました(図 2B)

⼀⽅、BA.5 中和抗体価は、無症候性感染では S 抗体価と同様に、感染リスク低下との関連は弱いかほと
んど認められませんでした(図 2B)
。対照的に、症候性感染では BA.5 中和抗体価の増加に伴い感染リス
クが明確に低下し、N 抗体価と BA.5 中和抗体価が共に⾼い場合に顕著な感染リスク低下が推定されまし
た(図 2B)


図 2 抗体価を⽤いた感染リスク減少の推定
(A)⾎清 S 抗体価と N 抗体価を⽤いた症候性感染と無症状感染リスクとの相関の推定。
(B)⾎清オミクロン BA.5 中和抗体価と N 抗体価を⽤いた症候性感染と無症状感染リスクとの相関の推定。
推定値の中央値および 95%信⽤区間(リボン)が⽰されている。

以上のことから、オミクロン BA.5 流⾏期において、⾼い⾎清 N 抗体価が再感染リスクの低下と相関して
いることを明らかにしました。⼀⽅、ワクチンや感染によって誘導された⾎清 S 抗体価および⾎清 BA.5
中和抗体価は、特に無症候性感染防御との相関が弱いことが⽰されました。このことは、⾎清 S 抗体価、
⾎清中和抗体価に加えて⾼い⾎清 N 抗体価が誘導されているハイブリッド免疫保有者では発症のみなら
ず感染も防御できていることを⽰しています。⾎清 N 抗体がウイルス感染防御に関与する仕組みは未だ
不明ですが、⾎清 N 抗体価と相関するようなウイルス感染免疫応答に由来する粘膜抗体、T 細胞応答、

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