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薬-2参考3○令和6年度薬価改定の主な課題と議論の進め方について (8 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212451_00064.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会(第202回 6/21)《厚生労働省》
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また、薬価を下支えする制度として、最低薬価、不採算品再算定及び基礎的医薬品と
いった制度が導入されているが、適用要件などにより、対象となる医薬品が限定され
ているなどの課題が指摘されている。



具体的には、最低薬価が設定されていない剤形区分があることや、不採算品再算定に
ついては2年に一度の適用ではコスト増の薬価への反映に時間を要すること、基礎的
医薬品については薬価収載後長期間経過した品目に限られること 等が挙げられる。

(その他安定供給に配慮が必要な品目)


後発品以外においても、生物由来製品(血液製剤等)や輸液等については、製造方法
や原料の特殊性、製造工程が多段階であり大規模な設備を必要とすること等から、後
発品企業の参入が難しく、少数の企業のみで安定供給を担っている。



これらの製品は、上記のような特殊性により、製造の合理化が難しいこと等から、現
行の薬価を下支えする制度の活用等、安定供給を担保するための配慮が求められる。

1.1.3

サプライチェーン上の課題

(サプライチェーンの断絶リスク)


安定供給に係るもう一つの大きな要因として、サプライチェーン上にある様々なリス
クの顕在化が挙げられる。医薬品の製造開発過程においては、世界的にも水平分業が
進展しており、これは経済合理には合致する一方で、同時に、不安定な国際情勢の下
では、医薬品供給の観点からは、地政学上のリスクにもつながっている。



例えば、日本においては、後発品を中心に、その原薬や原材料の調達において、中国
や韓国といった国々に依存している度合いが高くなっているが、特に、後発品につい
ては、収益確保のため、より安価な原料を海外に依存しており、約半数は海外から輸
入した原薬を使用している 1 1 。また、バイオ医薬品についても、製造に高度な技術と工
程管理が必要であるため、製造工程を海外に依存している事例が多く、近年急速に輸
入が増加し大幅な輸入超過となっている。



このことは、これらの国々の事情による供給停止のリスクや、あるいは昨今見られる
ように、為替変動や物価高騰等に伴うリスクを高めることにつながっている。



抗菌薬の一つであるセファゾリンについては、 今や国内で原材料や原薬の製造が行わ
れておらず、原材料については、そのほぼ全てを中国に依存している状況にあり、令
和元年(2019 年)に中国の原材料を生産する工場での製造トラブルにより出荷が停止
され、これがセファゾリンの供給不安につながって、医療現場では手術を延期せざる
を得ない事態が発生したことは記憶に新しい。



さらに、日本国内の医薬品製造に係る規格基準や試験の根拠として使用される日本薬
局方に定められた規格等が、海外の薬局方と異なることにより、医薬品の安定供給に
影響している事例も報告されている。また、前述の少量生産により原薬の調達量が少

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後 発 品 の 約 半 数 は 輸 入 し た 原 薬 を 用 い て お り 、 そ の 主 要 な 調 達 先 は 、 韓 国 ( 21.7 % )、 中 国
(21.0 %)、 イ ン ド (12.0 % )、イ タ リ ア (12.0 %) と な って い る 。( 令 和3 年 (2021 年 )3 月 後 発
医薬品使用促進ロードマップに関する報告書(厚生労働省医政局経済課委託事業))

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