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04資料1-2 9価 HPV ワクチンの定期接種化に係る技術的な課題についての議論のまとめ (2 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000192554_00024.html
出典情報 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会(第49回 10/4)《厚生労働省》
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2.ヒトパピローマウイルス感染症について
○ ヒトパピローマウイルス(Human papillomavirus: HPV)とは、パピローマウイルス
科のうち、ヒトを宿主とするウイルスであり、ヒト以外の動物に感染しない。200 種以
上の遺伝子型に分類され、粘膜型と皮膚型に分けられる。


粘膜型のうち、少なくとも 15 種の高リスク型 HPV(HPV16, 18, 31, 33, 35, 39, 45,
51, 52, 56, 58, 59, 68, 73, 82 型)が子宮頸がんの原因となる。HPV16, 18 型が海外
及び日本の約 70%の子宮頸がんに関わっている。また高リスク型 HPV は、少なくとも
90%の肛門がんと、40%の膣がん・外陰がん・陰茎がんに関わると推定されている。HPV6,
11 型は男性・女性の生殖器にできる良性のいぼ(尖圭コンジローマ)の原因となる。



子宮頸がんはウイルス感染が原因の疾患であり、HPV の子宮頸部での持続的な感染が、
子宮頸部浸潤がん(扁平上皮がん、腺がん)及びその前駆病変である子宮頸部上皮内腫
瘍(cervical intraepithelial neoplasia: CIN)と上皮内腺がん(adenocarcinoma in
situ: AIS)を引き起こす。全世界で年間約 57 万人が子宮頸がんに罹患し、約 31 万人
が死亡していると推計されている(2018 年)。



HPV は性行為を介して感染し、一生涯に 80-90%の女性が何らかの HPV に感染すると
推定されている。そのうち、CIN1 などの軽度病変は自然治癒することが多いが、一部の
女性で HPV が排除されずに持続感染すると、通常 5-10 年以内に CIN2/3 や AIS などの前
がん病変が生じる。さらに前がん病変患者の一部から、10 年以上の感染期間を経て、細
胞遺伝子に変異が蓄積することで、浸潤性の子宮頸がんに進行すると考えられている。



臨床症状として、
CIN/AIS 及び初期の子宮頸がんでは通常、ほとんど自覚症状がなく、
進行した子宮頸がんでは、無月経時や性行為の際の性器出血、臭いのある帯下、腰痛な
どが見られる。



子宮頸部上皮内腫瘍のうち、CIN1 では経過観察、CIN2 は基本的に経過観察だが一定
の条件があれば治療対象となる。CIN3 以上は、浸潤がんの除外診断を兼ねた子宮頸部円
錐切除術が行われる。子宮頸がんの治療は、手術療法と放射線療法が主体であり、化学
療法が組み合わされる。早期発見治療には、子宮頸部細胞診でのスクリーニングが有効
である。尖圭コンジローマの治療は、外科的切除や電気焼灼等の外科的治療法と、薬物
療法が行われる。



HPV ワクチンは、ワクチンに含まれる HPV 型の感染を予防することで、CIN1/2/3、
AIS、
子宮頸がん、外陰部上皮内腫瘍、膣上皮内腫瘍、肛門がん、肛門上皮内腫瘍、尖圭コン
ジローマ(4価、9価のみ)の発生を予防する。
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