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【資料No.1】2.4_非臨床試験の概括資料 (11 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26901.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会(令和4年度第3回 7/20)、医薬品第二部会(令和4年度第6回 7/20)(合同開催)《厚生労働省》
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S-217622

2.4.2.1.5

2.4 非臨床の概括評価

S-217622 フマル酸共結晶に対する感受性低下

S-217622 フマル酸共結晶に対する低感受性ウイルスについて情報を得るため,SARS-CoV-2
を VeroE6/TMPRSS2 細胞に感染させ,S-217622 フマル酸共結晶存在下で継代培養したところ,
3CL プロテアーゼをコードする non-structural protein 5 (nsp5) の酵素活性中心近くに位置するア
ミノ酸に置換が認められ,N 末端側から 48 番目のアスパラギン酸がグリシンに置換 (D48G),
49 番目のメチオニンがロイシンに置換 (M49L),52 番目のプロリンがセリンに置換 (P52S),
144番目のセリンがアラニンに置換 (S144A) したウイルスが分離された.また,S144A と
M49L/S144A の混合による M49(M/L)/S144A のアミノ酸置換を有するウイルスも分離された.
リバースジェネティクス法により作出した nsp5 D48G,M49L,P52S,S144A 及び M49L/S144A
のアミノ酸置換を有する組換えウイルスは,耐性ウイルス分離試験で得られたそれぞれのアミ
ノ酸置換を有する分離ウイルスと同様に,S-217622 フマル酸共結晶の感受性が 4.3 倍,17 倍,
3.7 倍,9.2 倍及び 100 倍低下したことから (2.6.2.2.1.6 項参照),nsp5 D48G,M49L,P52S,S144A
及び M49L/S144A のアミノ酸置換は,S-217622 フマル酸共結晶の感受性低下の責任変異である
と考えた.nsp5 D48G,M49L,P52S,S144A 及び M49L/S144A のアミノ酸置換を有するウイル
スは,VeroE6/TMPRSS2 細胞において野生型ウイルスと同等の増殖能を示し,レムデシビル,
PF-07321332,REGN-COV2 に対して交叉耐性を示さなかった (2.6.2.2.1.5 項参照).2022 年 5 月
27 日時点の Global Initiative on Sharing All Influenza Data (GISAID, https://www.gisaid.org/) の
SARS-CoV-2 アミノ酸配列データを用いて nsp5 D48G,M49L,P52S,S144A 及び M49L/S144A
のアミノ酸置換を有する配列の割合を解析したところ,D48G,M49L,P52S 及び S144A の割合
は極めて低く ( ≤ 0.001%),M49L/S144A のアミノ酸置換は検出されなかった.
2.4.2.2

副次的薬理試験

S-217622 フマル酸共結晶の各種受容体,イオンチャネル,トランスポーター及び酵素に対す
る作用,ヒトの初代培養細胞及び各種組織由来株化細胞に対する細胞毒性,並びに HepG2 細胞
(ヒト肝細胞癌細胞株) に対するミトコンドリア毒性を評価した.
各種受容体,イオンチャネル,トランスポーター及び酵素に対する作用を評価したところ,
アデノシントランスポーターによるアデノシン取り込み作用に対する 50%阻害濃度 (IC50) は
1.43 µmol/L であった.また,ホスホジエステラーゼ (PDE) 4A1A,PDE4B1,PDE4C1 及び PDE4D2
の酵素活性に対する IC50 は,それぞれ 63.2,69.1,75.7 及び 73.4 µmol/L であった.その他の受
容体,イオンチャネル,トランスポーター及び酵素に対して 100 µmol/L (53.2 µg/mL) の濃度ま
で影響はなかった.
S-217622 フマル酸共結晶のアデノシントランスポーターに対する IC50 (1.43 µmol/L) は,申請
用法用量 (375/125 mg) における非結合型最高血漿中濃度 (Cmax) (1.2 µmol/L;総薬物濃度
[28.1 µg/mL],分子量 [531.88] 及びヒト血漿中タンパク結合率 [97.7%] から算出) の 1.2 倍で
あった (2.5.3.1.1 項及び 2.6.4.4.1.1 項参照).アデノシントランスポーターの阻害は,血中アデノ
シン濃度の上昇に繋がる可能性があり,アデノシンの主な薬理作用として中枢神経系 (睡眠導
入の低下)
,心血管系 (血圧及び心拍数の減少),血小板凝集の阻害及び免疫系 (抗炎症効果) へ
の影響が報告されている [6].しかしながら,安全性薬理試験 (2.6.2.4 項参照) 並びにラット及
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