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■令和8年度社会保障制度(診療報酬)の改定に係る要望書 (3 ページ)

公開元URL https://www.dietitian.or.jp/news/information/2025/538.html
出典情報 令和8年度社会保障制度(診療報酬)の改定に係る要望書(7/2)《日本栄養士会》
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2 入院時食事療養費の引上げと嚥下調整食の特別食加算適用
入院時食事療養費のさらなる引上げ、嚥下調整食の特別食加算適用を要望しま
す。
(1)入院時食事療養費の引上げ
これまで約 30 年間、さまざまな理由で増額が困難であった食事療養費は、直近 2 年間で
1 食あたり 50 円引上げられ、給食運営の大きな一助となっています。しかし、それを上回
る物価上昇が続き、食材料費・人件費などが高騰している現状では、病院給食の運営は極
めて厳しい状況にあります。令和 5 年度の調査では、入院時食事療養費による収入と実際
の支出(食材料費・人件費等)の差額は患者 1 人 1 日あたり−594 円であることが明らかと
なり 2-1)、深刻な赤字構造が示されています。
近年の診療報酬改定では、入院患者に対する栄養介入について新たな評価が設けられま
した。しかし、入院患者の高齢化などに伴い、手間のかかる食事提供や栄養補助食品の使
用も増加傾向にあり、これらの対応には給食業務の負担や食材費等のコストが増大する実
情があります。そのため、物価上昇や入院患者の高齢化にかかる基礎的なコストの増加は、
栄養管理の質向上はもとより、その維持さえも困難になるおそれがあります。
このような状況のため、給食受託会社の撤退によって食事提供が困難となる医療機関も
発生しています。物価上昇や入院患者の高齢化にかかる基礎的なコストの増加に伴う給食
管理体制の不安定化は医療の質や病院経営に直接的な影響を及ぼしかねません。さらに、
ひいては医療機関の経営悪化は地域医療体制の維持にも悪影響を及ぼす恐れがあるため、
喫緊の課題として対応が求められます。
「給食管理の安定なくして、入院患者の栄養管理の質向上なし。給食管理の安定なくし
て、地域医療体制の継続なし。
」との認識のもと、医療の根底を支える食事療養費について、
実情に見合った評価とさらなる充実が図られるよう、適切な措置をお願い申し上げます。
(2)嚥下調整食の特別食加算適用
誤嚥性肺炎は在院日数の長期化や 2-2)、医療費の増加要因となることから 2-2,2-3)、早期の栄
養介入や適切な食形態による予防的対応が極めて重要とされています 2-4)。現在、慢性期病
院では入院患者の約 35%、回復期リハビリテーション病院では約 20%、一般病院でも約
10%が嚥下調整食を必要としており 2-5)、すでに多くの医療機関で嚥下調整食の導入・提供
が進められています。
嚥下調整食の提供には、単なる調理対応のみならず、管理栄養士による専門的な指示や
多職種との連携が不可欠です。摂食嚥下機能が低下した患者では、個別の栄養アセスメン
ト、食形態の調整、必要に応じた補助食品の選定など、きめ細かな支援が求められていま
す 2-6)。こうした対応には高度な専門性と相応の労力を要する一方、調理の人員や時間のみ
ならずコスト面での負担も大きく 2-7,2-8)、これらの嚥下調整食の提供にかかる実務負担が診
療報酬上で十分に評価されていない現状があります。

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