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資料1-2 早期導入を要望する医療機器等に関する要望書【No.2022-1】 (33 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34023.html
出典情報 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会(第36回 7/7)《厚生労働省》
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(別添様式1)
る 61), 62)。また、GRAFIELD-AF は 63)、35 カ国から心房細動以外の脳卒中リスクを1つ以上有する
17,162 人の非弁膜症性心房細動患者を平均2年間追跡調査し、エンドポイントを死亡、脳卒中/全身
性塞栓症、大出血としたとき、心不全死が最も多く、次いで突然死・目撃のない死亡が 7.5%であっ
たと報告している。JROAD でみても、心不全入院患者数は、273,970 人で、そのうち 21,931(8%)が
心不全入院中の死亡数であったと報告し、心房細動と心不全が高度に合併しており 57)、不整脈が心
不全患者の予後規定因子になりうることを示唆している。これらの事実から、早期診断による不整
脈治療を行うことにより、心不全のステージ治療を行うことが重要である。
JROAD(2021 年度報告)によると 64)、不整脈治療のうち PM、ICD、CRT、CRT-D 植え込み件数、カ
テーテルアブレーション件数は、それぞれ 59,578、5,501、1,622、3,698、103,288 件であり、不整脈
の罹患率の頻度の高さを裏付けている。基礎性疾患として虚血性心疾患と非虚血性心疾患を含んだ
研究では、虚血性心疾患に比して非虚血性心疾患で頻拍回避性生存率は高く、アブレーション後の
頻拍誘発性が予後予測因子であった。不整脈非薬物ガイドライン(2018 年版)では、心筋梗塞や心筋
症などの器質的心疾患を伴う持続性心室頻拍に対しては、植込み型除細動器治療が突然予防のため
の最も確実な治療とされている一方で、頻回の頻拍発作や除細動器による直流通電治療が患者の
QoL や長期予後を悪化させることも報告されている 65-70)。血行動態が破綻する心室頻拍や心室細動
の場合、例え除細動器が作動しても患者は失神する可能性が高く、逆に意識のあるうちに直流電流
療が行われると恐怖心や不安感を抱かせることになる。また、直流電流治療自体が心機能を悪化さ
せることも明らかになっている 68), 70)。このように致死的不整脈に対して除細動器は有効治療ではあ
るが、患者の QoL に影響を与えている。
上述の通り、日本には心房細動(AF)と診断された患者が 100 万人いると推定されるが、今後ま
すます増加すると考えられる。米国 Framingham 研究では心房細動の生命予後が非常に悪いことが
報告されており 71)、その大きな原因としては、脳梗塞をはじめとする血栓塞栓による死亡が挙げら
れ、同時に心不全などの心血管死も挙げられている。AF が原因で起こる心原性脳梗塞は、血栓も大
きく、他の脳梗塞よりも広範囲の脳がダメージを受けることが多く、重症化しやすく、命にかかわ
るだけでなく、重い後遺症が残る可能性が高いため、予防が重要である。AF が診断されず管理され
ていない場合、脳卒中リスクが 5 倍増加するとも報告されている 72)。
このように不整脈には治療が不要とされる症状と致死性の高い症状があることと、基礎心疾患か
ら誘発される場合やその治療によって誘発される場合もある。更に、基礎疾患の増悪因子、将来的
な予後予測・規定因子となっている場合も存在している。諸外国及び本邦での疫学的な報告、臨床
研究から不整脈の早期の兆候を診断し、無症状であっても適切な管理、必要な早期治療によって、
症状の増悪を予防することによって、基礎疾患への影響を最小限にとどめることが重要であり、そ
のための簡便な不整脈診断医療機器は、本邦における心疾患及び脳血管系死亡率を改善させ、治療
加療のための入院等の医療費削減にも繋がると考える。
【出典】
57) Inoue H, et al. Int J Cardiol 2009;137:102-107
58)厚生労働省人口動態調査 2019
59)急性・慢性心不全診療ガイドライン 2017

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