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資料2-2   ノルトリプチリン含有製剤におけるニトロソアミン類混入リスク評価に関する件(企業見解) (3 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33471.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(令和5年度第3回 6/7)《厚生労働省》
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4.N-ニトロソノルトリプチリンにおける発がん性のリスク
1) N-ニトロソノルトリプチリンの許容摂取量および発がん性のリスク
N-ニトロソノルトリプチリンそのものの発がん性に関する情報はなく、EMA及びHealth Canadaは、N-ニト
ロソノルトリプチリンの構造類似物質であるN-メチル‐N-ニトロソフェネチルアミン(以下、NMPEA)の上
部消化管全体に対する発がん性データTD50値を引用して許容摂取量の暫定値を提示しており、この値に基づ
き算出した許容限度値は以下の通りです。
製剤中のN-ニトロソノルトリプチリン許容限度値:0.053 ppm(原薬重量当たり)
・ N-ニトロソノルトリプチリンの許容摂取量:8 ng/day (EMA及びHealth Canada情報)
・ ノリトレンの一日最大投与量:150 mg/day
・ 算出式:8 ng/day×1/150 mg/day=0.05333 ppm

本剤用法及び用量は「はじめ1回量としてノルトリプチリン10~25mg相当量を1日3回経口投与する。又は
その1日量を2回に分けて経口投与する。その後、症状および副作用を観察しつつ、必要ある場合は漸次増量
する。通常最大量は1日量としてノルトリプチリン150mg相当量以内であり、これを2~3回に分けて経口投与
する。」です。1日使用量については、通常、150mgよりも低い場合も多いと想定されていますが、より高い
値を採用し150mgを服用し続けた場合を想定して算出しました。

日本うつ病学会治療ガイドライン Ⅱ.うつ病(DSM-5)/ 大うつ病性障害(2019年7 月 24 日改訂版)によ
ると、「再発性うつ病の患者に対しても抗うつ薬を1~3年間急性期と同用量で継続使用した場合の再発予防
効果が立証されている」とあります。10年以上服薬されている患者様がいらっしゃる可能性を否定すること
はできませんが、上記ガイドラインより多くの患者様においては投与期間は10年を超えないと仮定し、本剤
の使用期間について10年間と設定します。ICH M7 7.22及び7.3に記載のLTLの考え方に基づけば、許容限度は
上記で算出した値の約6.7倍(10 mg/day / 1.5 mg/day)となり、これに基づき算出した許容限度値は以下の通
りとなります。
製剤中のN-ニトロソノルトリプチリン許容限度値:0.356 ppm(原薬重量当たり)
・ 算出式:0.05333 ppm×10/1.5=0.35556 ppm

製剤中のN-ニトロソノルトリプチリンの含量については、本剤は長期間の服用が想定され、単一の製剤ロ
ットの使用は想定されないことから、製剤ロット間の含量のばらつきはあるものの、平均値である1.646 ppm
を含量として設定しました。N-ニトロソノルトリプチリン1.646 ppm(平均値)を含有する製剤150 mgを10年
間毎日服用したと仮定した場合の理論上の発がんリスクは、4.4×10-5と推定されました。これは、10年間の曝
露によりおよそ23,000人に1人が過剰にがんを発症する程度のリスクに相当します。なお、仮に一生涯70年間
服用した場合を想定すると、理論上の発がんリスクは、3.1×10-4 と推定され、70年間の曝露によりおよそ
3,200人に1人が過剰にがんを発症する程度のリスクに相当します。

使用期限内の製剤中のN-ニトロソノルトリプチリンの含量は0.625 ppm~3.446 ppmであり、EMA及びHealth
Canadaの提示するNMPEAのTD50値を引用した暫定許容摂取量(8ng/day)及び本剤の使用期間を10年間と設
定した場合の許容限度値0.356 ppmを上回っています。N-ニトロソノルトリプチリンの発生原因が特定できて