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参考資料4○先進医療実施医療機関からの報告について (4 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205617_00054.html
出典情報 先進医療会議(第118回 2/2)《厚生労働省》
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様式第5号

先進医療の内容 (概要)
先進医療の名称:難治性ウイルス眼感染疾患に対する包括的迅速 PCR 診断
適応症:ヘルペス性角膜内皮炎、ヘルペス性虹彩炎が疑われる、片眼性の前房炎症、豚脂
様角膜後面沈着物、眼圧上昇などの特徴を有する前眼部疾患。急性網膜壊死、サイトメガ
ロウイルス網膜炎、進行性網膜外層壊死が疑われる網膜壊死病巣を有する眼底病変。
内容:
(先進性)
ウイルス、特にヒトヘルペスウイルスは角膜内皮炎、ぶどう膜炎(虹彩炎、壊死性網膜
炎)を生じることが知られている。ヒトヘルペスウイルスは1型から8型まで8種類が存
在し、それぞれにより有効な抗ウイルス薬が異なる。これらの迅速な診断は適正な治療に
不可欠であり、そのために眼組織(房水、硝子体など)を用いて、正確かつ迅速な診断法
が必要になる。これらのヘルペス性眼感染症の一部は急激な経過を取り失明に至るケース
があり、ヘルペスウイルスによる壊死性網膜炎(急性網膜壊死)ではその半数以上が1年
後の矯正視力が 0.1 以下となる。
(Jpn J Ophthalmol. 2013;57:98-103.)そのため、迅速か
つ正確な診断が必要となる。一方、ヘルペスウイルスによる角膜内皮炎や虹彩炎は慢性の
経過を辿り、その約3割には緑内障を生じて長期的な投薬治療や手術加療が必要となる。
(Jpn J Ophthalmol 2002;46:556–562) 角膜内皮炎症も、その頻度については明らかではな
いが、多くの症例で最終的に角膜移植手術を必要とする。これら、ヘルペスウイルスによ
る角膜内皮炎や虹彩炎を診断するには、眼内液を用いたウイルス学的検査を行う以外に診
断の方法はない。しかし、これらの診断のために必要な眼局所から得られる検体(涙液、
前房水、硝子体、虹彩など)は微量(涙液、前房水は 0.1mL)であり、その微量な試料を
用いてヒトヘルペスウイルスの全てを包括的に検査する工夫が臨床的に必要なる。現在、
抗体率を測定する方法とポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法が行われているが、検査に時間
がかかる、従来の PCR 法は1種類のウイルス検査しかできないなどの欠点がある。また眼
科検体を用いたヒトヘルペスの検査法の中で、現在保険でおこなわれているものは、
「単純
ヘルペスウイルスキット(チェックメイト R ヘルペスアイ)
)があるが、これは単純ヘルペ
スだけの特異抗体を測定するものであり、ヒトヘルペスウイルス全てを網羅するものでは
なく、感度と特異度は本検査法よりも劣る。今回の診断技術は、多項目定性 PCR を用いて
微量な検体でも8種類全ての人ヘルペスウイルス DNA を定性的にスクリーニングし、更に
DNA 陽性のウイルスについては real-time PCR によりウイルス量を定量するものである。
検査は短時間(DNA 抽出から結果の判定までが 100-130 分)であること、微量検体でも8
種類すべてのヒトヘルペスウイルスの DNA を包括的に検出できる新規性があり、また臨床
的に有用であるこのような診断システムは新規のものであり他にない。
(概要)
ヘルペス性角膜内皮炎、ヘルペス性虹彩炎が疑われる片眼性の前眼部疾患。急性網膜壊
死、サイトメガロウイルス網膜炎、進行性網膜外層壊死が疑われる網膜壊死病巣を有する
眼底病変は、ヒトヘルペスウイルスが病因と疑われる。このような症例の前房水を前房穿
刺、あるいは硝子体液を手術時に採取して、これらの眼内液から DNA を抽出し、本診断法
により HSV-1, HSV-2, VZV, EBV, CMV, HHV-6, HHV-7, HHV-8 の DNA の同定と定量を
おこなう。この診断に基づいて適正な抗ウイルス治療をおこなう。当院眼科においては年
間約 100~150 例の患者が本検査の対象となる。
当該技術(難治性ウイルス眼感染疾患に対する包括的迅速 PCR 診断)は、必要なプライ
マーとプローブを作製して研究室にて用いている。プライマーとプローブは現時点ではキ
ット化できていないため、院内で調整する。

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