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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第7.2版 (56 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00332.html
出典情報 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第7.1版」の周知について(5/9付 事務連絡)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 7.2 版 ●5 薬物療法

3. 免疫抑制・調節薬
【デキサメタゾン】(ステロイド薬)
英国で行われた入院患者を対象とした大規模多施設無作為化オープンラベル試験では,デキ
サメタゾンの投与を受けた患者は,標準治療を受けた患者と比較して致死率が減少したことが
示された.この研究は 6,425 人の参加者を対象に行われ,デキサメタゾン群 2,104 人,対照
群 4,321 人が参加した.デキサメタゾン群の 21.6%,対照群の 24.6%が,試験登録後 28 日
以内に死亡した.予後改善効果は,無作為化時に侵襲的人工呼吸管理を必要とした患者で最大
であり,この集団の 29.0%が試験登録後 28 日以内に死亡したのに対し,対照群では 40.7%
であった.また登録時に酸素投与を必要としたデキサメタゾン投与群の 21.5%が登録後 28 日
以内に死亡したのに対し,
対照群では 25.0%であった.しかし,
登録時に酸素投与を要しなかっ
た集団では予後改善効果はみられなかった(RR 1.22;95% CI,0.93 ~ 1.61,P = 0.14).
〔投与方法(用法・用量)〕
デキサメタゾンとして 6 mg 1 日 1 回 10 日間まで(経口・経管・静注)
〔投与時の注意点〕
・40 kg 未満の小児等ではデキサメタゾン 0.15 mg/kg/ 日への減量を考慮する.
・肥満・過体重では用量につき個別に検討する.
・血糖値測定やリスクに応じた消化性潰瘍の予防も検討する.
・妊婦への使用は「5-4. 妊婦に対する薬物療法」参照.

【バリシチニブ】(ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤):2021.4.23 追加承認
COVID-19 と診断された入院患者 1,033 人を対象にレムデシビル(10 日以内)に加えて,
バリシチニブ(14 日以内)またはプラセボ(対照)を投与した RCT では,バリシチニブを投
与された患者の回復までの期間の中央値は 7 日,対照群では 8 日であり(回復率比,1.16;
95% CI,1.01 ~ 1.32;P = 0.03)
,15 日目の臨床状態の改善のオッズは 30%高かった(オッ
ズ比,1.3;95% CI,1.0 ~ 1.6)
.また,部分解析集団において登録時に高流量酸素または非
侵襲的人工呼吸を受けた患者の回復までの期間は,併用療法で 10 日,対照群で 18 日であっ
た(回復率比,1.51;95% CI,1.10 ~ 2.08)
.デキサメタゾンとバリシチニブの優位性の検
証は現在行われているところである.
入院患者 1,525 人(標準療法としてステロイド投与 79%,レムデシビル投与 19%)を対象
とした二重盲検試験(COV-BARRIER)において,主要評価項目の人工呼吸管理/死亡に至っ
た割合に差は認められなかったが,治療開始 28 日以内の死亡はバリシチニブ群で有意に低かっ
た(8.1 % vs 13.1 %).
〔投与方法(用法・用量)〕
バリシチニブとして,4 mg 1 日 1 回 最長 14 日間(経口)
〔投与時の注意点〕
・中等症Ⅱ~重症の患者に入院下で投与すること.
・レムデシビルと併用する(添付文書)
.2021 年 7 月,米国 FDA は緊急使用許可(EUA)の
条件を改訂し,レムデシビルを併用しない本薬剤の使用を認めた.
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