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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第7.2版 (42 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00332.html
出典情報 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第7.1版」の周知について(5/9付 事務連絡)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 7.2 版 ●4 重症度分類とマネジメント

5)血液浄化療法
多臓器不全が進行する前の初期段階において,過剰な炎症反応を抑制することが期待できる急性
血液浄化療法(炎症性サイトカインなど各種メディエーターの吸着除去特性があるヘモフィルター
を使用した CRRT や PMX-DHP など)を考慮すべき症例もあると考えられ,国内でも臨床研究が
行われている.
日本透析医会・日本透析医学会・日本腎臓学会合同委員会のまとめでは,2022 年 3 月 18 日現在,
全国で累積 5,471 人の透析患者が感染者(うち ECMO 使用 21 人,呼吸機器使用 244 人,酸素投
与 1,367 人)となり,うち死亡が 519 人と報告されている.
感染対策に留意した 血液浄化療法の施行が必要である.なお,日本環境感染学会からの『医療機
関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド・第3版』において,透析に用いた廃液につ
いては HBV, HCV, HIV の場合と同様に取り扱ってもよいと記載されている.

6)血栓症対策
• 重症感染症および呼吸不全は,深部静脈血栓症の中等度リスク因子である.
• さらに,COVID-19 患者においては,サイトカインストームや血管内皮障害などにより線溶亢
進および線溶抑制が合併していると推定される.
• 肥満,不動,D ダイマーが正常上限の3~4倍以上を超えるような場合には,ヘパリン(低分子
ヘパリンは適応外使用)などによる抗凝固療法が推奨される.
・未分画ヘパリンの予防投与量は確立していないが,低用量(10,000 単位 / 日程度)が用いられ
る.適宜,APTT や血小板数を測定する.
【参考】ワクチン接種後に生じる血小板減少症を伴う血栓症
(TTS: thrombosis with thrombocytopenia syndrome)
新型コロナワクチン,特にアデノウイルスベクター SARS-CoV-2 ワクチン(アストラゼネカ
製,ヤンセン製)の接種後(4 ~ 28 日),きわめて稀(10 万人接種あたり 1 ~ 11 名)に重篤な
血栓症の発生が報告されている.女性に多く(約 80 %),脳静脈や内臓静脈などに血栓が生じる
ことが特徴である.血液検査では血小板減少,D ダイマー高値,抗血小板第4因子抗体(ELISA)
陽性(国内未承認)を認める.このため,血小板減少症を伴う血栓症(TTS)と記載されること
が多いが,本症の医学的な名称は統一されていない.自己免疫性ヘパリン起因性血小板減少症と
の類似が指摘されている.一方,免疫グロブリン大量静注(適応外使用)の有効性が期待される.
抗凝固薬として,ヘパリン類は使用を避けることが望ましく,アルガトロバン,直接作用型経口
抗凝固薬(適応外使用)などの使用が想定される.
〈参考〉
・日本静脈学会ほか.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における静脈血栓塞栓症予防および抗凝固療法の診療指針 Ver.3,
2021.10.5.
・日本脳卒中学会・日本血栓止血学会.COVID-19 ワクチン接種後の血小板減少症を伴う血栓症の診断と治療の手引き・第 3 版,
2021.10.

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