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資料3-2-② 鈴木先生提出資料 (12 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00348.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(第82回 4/27)《厚生労働省》
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全体の既感染者割合の増加よりも高い割合で増加しており、家庭外における感染機会の増加を反映し
ている可能性が考えられた。今後、各時期における感染拡大の背景の相違を理解する詳細な調査が重
要と考えられた。
本調査では、ワクチン接種者の抗 S 抗体価について定量的な評価を行った。ワクチン 2 回接種者の抗
S 抗体価は、未接種者の抗 N 抗体陽性者の抗 S 抗体価よりも高く、ワクチンで誘導される抗 S 抗体は感
染で誘導される抗 S 抗体よりも量が多いと考えられた。また、ワクチン接種者の抗 N 抗体陽性者は、ワク
チン接種者の中でも高い抗 S 抗体価を示したが、ブースターワクチン接種者の抗 S 抗体価は、感染歴
のあるワクチン接種者と同等まで高くなると考えられた。また、ワクチン 2 回接種者の抗 S 抗体価は年齢
が高くなるに従って低下する傾向が見られたが、抗 S 抗体価はワクチン 2 回目接種からの経過時間に
従って低下する傾向が見られており、高齢者における低抗体価が年齢に起因する低免疫応答の結果で
あるのか、優先接種の対象であった高齢者の方が若齢者よりも、2 回目ワクチン接種からの時間が経過
していることに起因するのかについては明らかではない。ただし、いずれの年齢層においてもブースター
ワクチン接種者の抗 S 抗体価はワクチン 2 回接種者よりも極めて高く、特に年齢が高くなるほど、ワクチ
ン2回接種者とワクチン3回接種者の抗 S 抗体価の差が大きくなる傾向が見られ、年齢が高くなればなる
ほどブースターワクチン接種による抗体増強効果の恩恵が大きいことが示唆された。一方、心臓病や糖
尿病、免疫抑制薬投与などの基礎疾患を持つ者についてもブースターワクチン接種により抗 S 抗体価
の上昇はあるものの、ブースターワクチン接種者においても、基礎疾患を有する者は、基礎疾患を持た
ない者に比べて抗 S 抗体価が低い傾向が見られた。今後、高齢者や基礎疾患を有する者についてブー
スターワクチン接種者の抗 S 抗体価を経時的に評価していき、今後の追加接種の必要性などについて
評価していく必要があると考えられた。
本調査は、新形コロナワクチン導入後に日本で実施された初めての大規模な血清疫学調査である。調
査対象者のほとんどがワクチン接種者であり、抗 S 抗体保有割合も極めて高かったことから、日本の一般
人口においても、ワクチンを接種した者における抗 S 抗体の保有割合は高いことが示唆される。一方で、
既感染の指標として使用されるワクチンでは誘導されない抗 N 抗体保有割合は、疾病負荷が大きいと考
えられたワクチン未接種者においても第 4 回調査時点で 10%程度であり、調査時点では日本の多くの人
口はワクチンのみにより免疫を付与されている状況であると考えられた。今後も継続的に既感染者割合と
ワクチンにより誘導された抗 S 抗体価を評価していくことにより、本感染症の流行動態とワクチンによる免
疫の状態を継続的に評価していくことが重要と考えられた。
【制限】
本調査では 20 歳以上を対象としており、20 歳未満の集団の情報は得られていない。また、調査実施時
期の各自治体における V-sys データから得られているワクチン接種率に比べて、調査対象者のワクチン
接種率が高く、ワクチン接種者に偏った集団であった。本調査では、住民基本台帳からの自治体ごとに
性別、年齢分布が人口分布を反映する様に無作為抽出されたリストを作成し、調査対象者の偏りを最小
限にする工夫を行ったが、調査に自主的に協力する者を対象としており、健康志向の強い方やワクチン
を接種した者で、自身の抗体保有状況に興味を持つ者がより多く組み入れられた可能性があり、一般人
口に比べて偏りのある集団となり既感染割合が過小評価されている可能性がある。また、既感染者割合
は抗 N 抗体と自己申告による新型コロナウイルス感染症の診断歴で評価したが、記載内容の正確性は
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