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資料3-2-② 鈴木先生提出資料 (11 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00348.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(第82回 4/27)《厚生労働省》
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【考察】
本調査では、我が国における新型コロナウイルス感染症の疾病負荷の把握と新型コロナワクチン接種に
よる抗体の保有状況を検討することを目的として、2021 年 12 月および 2022 年 2 月に 5 都府県(宮城、
東京、愛知、大阪、福岡)において実施された第 3 回・第 4 回の血清疫学調査の結果を示した。調査対
象者候補は、住民基本台帳から 20 歳以上の性別、年齢分布が各自治体の人口分布に一致するように
無作為抽出されたが、研究参加に同意した対象者は、予定対象者数である 3 万人の半分程度に留まっ
た。調査対象者の年齢分布は 20 歳以上の一般人口と比較して、40-60 代が多く 20 代と 70 代以上が
少なかった。また、調査対象者のワクチン接種率は 96%を超えており、日本全体における成人の接種率
と比較して高く、さらに医療関係の従事者および主婦・主夫が多い傾向にあるなど、一般人口に比べて
偏りのある集団となっていた可能性が考えられた。また、20 代-40 代の年齢層については、年代毎、地
域毎に参加者のワクチン接種率が異なっており、地域、年代により調査対象集団の偏りが異なっている
可能性も考えられた。
2021 年 12 月および 2022 年 2 月までに報告された累積感染者数は、その時点のワクチン接種者数と比
べると遥かに少なく、抗 S 抗体保有割合はワクチン接種率のみを反映しており、感染による抗体保有割
合は抗 N 抗体保有割合により評価可能と考えられた。一方で、一部の感染者では感染後の抗 N 抗体
が陽転しないことや、感染後時間経過とともに抗 N 抗体量が低下してくる可能性が指摘されており、抗 N
抗体保有者のみでは、全ての既感染者を検知することはできないと考えられている。実際に、本調査に
おいても自記式質問紙により得られた新型コロナウイルス感染症診断歴がある者の 2 割が調査時に抗
N 抗体陰性であり、抗 N 抗体のみでは全ての既感染者を検知することは困難であると考えられた。そこ
で、本調査では、新型コロナウイルス感染症診断歴を加味し、「抗 N 抗体陽性または診断歴あり」の者を
既感染者として算出した。その結果、本調査で判明した既感染者割合は、第 3 回調査では 2.50%、第 4
回調査では 4.27%であった。また、年齢別の既感染者割合は、60 代以上の高齢者に比べて 20-50 代で
高い傾向が見られたが、その傾向は第 4 回調査でさらに強くなっており、高齢者に比べて 20-50 代での
既感染者が多いことが示唆された。大変興味深いことに、ワクチン接種の有無により既感染者割合が大
きく異なっており、新型コロナウイルス感染症の疾病負荷はワクチン未接種者において大きいことが示唆
された。さらに、ワクチン未接種者においては、年代毎の既感染者割合の違いが不明瞭になっており、ワ
クチン未接種者における感染流行のパターンはワクチン接種者と異なる可能性も示唆された。ただし、ワ
クチン未接種の調査対象者数が限られており、得られた既感染割合の信頼区間も広く、未接種者にお
ける感染流行パターンについて結論を得ることは困難であると考えられた。また、ワクチン接種率の高い
集団の調査となった本調査で判明した既感染割合を、一般人口に外挿すると既感染割合を過小評価す
る危険性があると考えられた。また、本調査では、ワクチン接種前の感染とワクチン接触後の感染を区別
しておらず、観察されたワクチン接種者と未接種者における既感染割合の違いは必ずしもワクチンの効
果によるものではないことに注意が必要である。
職業別の既感染者割合については、無職の者を含み全体として第 3 回調査から第 4 回調査で既感染
割合が高くなる傾向があったが、特に第 4 回調査では保育関係者の既感染割合の上昇が目立った。ま
た、感染者への接触歴別の既感染者割合については、同一世帯内に感染者がいた者の既感染者割合
は第 3 回と第 4 回のいずれの調査においても極めて高かったが、調査間での差がなかった。一方、同
一世帯外の感染者との接触があった者の既感染割合については、第 3 回から第 4 回の調査にかけて
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