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総-7参考2[227KB] (6 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_60772.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 総会(第614回 8/6)《厚生労働省》
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マブ群に対してマルコフモデルを適用しておらず、レカネマブの効果について、臨床エビデンスに基
づいた長期推計が適正に行われていない。
また、アルツハイマー病を含む認知症は致死的な疾患であり、2015 年以降、日本人の死因の1位
である。公的分析は、科学的根拠なしに、レカネマブ群の生存期間、重度 AD 期間を調整している。
AD による死亡リスクのエビデンスは多数報告されており、公的分析では死亡リスクをモデルに反映
させるべきである。
さらに、公的分析では、介護者がより良い状態の患者とより長く過ごすことができる価値が著しく
軽視された分析結果となっている。「新たに構築したモデル」における介護者 QALY の増分は、
0.028×0.44 年=0.012 QALY のみで、① 重度 AD の介護者 QOL 値が設定されず、介護者 QOL の低下が
大きい重度 AD 期間の影響が全く反映されていない、② 軽度、中等度 AD の滞在期間への影響が考慮
されず、当該介護者 QOL への影響が全く反映されていない。

(長期有効性の分析手法について)
レカネマブの有効性については、36 ヵ月までの長期 OLE データが出ているにもかかわらず、
公的分析では 18 か月時の 5.3 か月の評価データのみで推計されており、長期推計していない。
301 試験 OLE 期のデータでは、投与継続により、群間差が非線形に拡大することが示されてい
る。
また、公的分析による投与中止後の有効性の設定では、レカネマブの投与終了後にその効果が
維持されるという設定は、レカネマブの治療効果を過大に推計するとして、全要因による中止後
の効果 HR=1、中等度以降の中止の効果 HR=1としている。日本の Expert Opinion では、投与
中止後の効果量や持続期間を示すエビデンスは得られていないが、すぐに効果がなくなること
はないとされ、また NICE guidance draft による指摘では、レカネマブによる治療を中止した
後、患者の状態が直ちに悪化することは極めて低い、治療を中止してもアミロイドの蓄積が突然
ベースラインレベルに戻ることはなく、効果減弱シナリオを設定するべきと記載されている。
ADNI コホートからは、301 試験と背景を揃えた症例の自然病態推移を投与0か月から抽出し
ているため、301 試験の実態に近く、先行研究において、J-ADNI と ADNI、すなわち、日本人と
米国人の AD の病態推移はほぼ一致していると報告されている。そのため、対象集団である ADNI
群の選定は妥当であり、長期推計に OLE データを採用することは適切である。また、レカネマブ
群でも公的分析が指摘するような 18 か月前後での対象集団の変化はなく、データにより分析モ
デルの平均投与期間までの有効性が継続することが確認されたため、OLE データを用いることは
適切である。301 試験の中止例を含めた評価方法と MMRM による欠測値を加味した解析手法によ
り、OLE 期までの投与中止後の有効性の設定は HR=0.704 で適正と考える。またその後の期間に
おいては効果減弱シナリオを新たに提案する。
以上を踏まえ、専門組織で議論し、レカネマブの有効性に関する推計、患者及び家族介護者の
QOL 値の設定、費用の推計方法及びモデルの再構築について、下記のとおり、公的分析の結果が
妥当であると考えられた。
・ 家族介護者の QOL 値を加える Additive approach では、一人暮らしの認知症患者が相当存
在することの臨床実態について十分に評価できないのではないか。

・ Additive approach は、レカネマブの効果を介護者の QOL 値だけではなく、その生存年にも

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