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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第 10.1 版 (13 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00111.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第 10.1 版(4/23)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 10.1 版 ●2 臨床像

図 2-3 MIS-C/PIMS * 診断のアルゴリズム
すべてを満たすか?
1. 21歳未満
2. 発熱 ( >38℃ )
3. 疫学的SARS-CoV-2関与(いずれか)
• PCRまたは抗原陽性
• 抗体陽性
• COVID-19症状先行
• 4週間以内の濃厚接触者
4. 2つ以上みたす
• 発疹(多形性,斑状丘疹,紫斑状,非水疱性)
• 消化器症状(下痢,腹痛,嘔吐)
• 手足の浮腫
• ロ腔内粘膜病変(口唇発赤・亀裂,イチゴ舌,咽頭発赤)
• 結膜炎(眼脂のない結膜充血)
• 頸部リンパ節腫脹
• 神経症状(意識障害,脳症,局所神経障害,メニンギスムス,乳頭浮腫)
5. 入院を要する重症度

Yes

他の疾患を除外したか?

No
Yes

Yes

原因不明のショック
を呈するか?

No

MIS-Cと他の発熱性発疹症の オーバーラップ
存在非MIS-Cの幅広い評価は必要

No
標準治療で観察
MIS-C診断のため
の評価を継続

血液検査項目

血算(分画)
血算(分画)
CRP
CRP
Procalcitonin
Procalcitonin
血沈
血沈
フィブリノーゲン
フィブリノーゲン
凝固機能(PT,APTT,D ダイマー)
凝固機能(PT,APTT,D ダイマー)
フェリチン
フェリチン
LDH
LDH
アルブミン
アルブミン
troponin/NT-proBNP
troponin/NT-proBNP
IL-6IL-6
(保険適用外)
(保険適用外)

画像評価
画像評価

心エコー(z
スコアを含む)
心エコー(z
スコアを含む)

⾎液検査項⽬

No

検査(右表)を行いMIS-Cの確定診断
以下をすべて満たすか?
1. CRP 5mg/dLまたは血沈40mm/hr以上
2. 1つ以上の異常
・リンパ球絶対数 く1,000/µL
・血小板数 く150,000/µL
・血清ナトリウム値 く135mmol/L
・好中球増多
・低アルブミン血症

Yes

MIS-C診断のための
検査(右表)を行う

心電図
心電図
X線
胸部胸部
X線
CT(必要時)
胸部胸部
CT(必要時)
腹部エコー
腹部エコー
腹部腹部
CT(必要時)
CT(必要時)

COVID-19
の の RT-PCR
COVID-19
RT-PCR
検査室診断
検査室診断 血清学的検査(抗体)
血清学的検査(抗体)
抗原検査
抗原検査

*疾患名について,米国では MIS-C と一般化しているのに対し,本疾患の発生初期に報告した英国などの研究グループ
では,paediatric inflammatory multisystem syndrome temporally associated with SARS-CoV-2 の略称で ‘PIMSTS’ あるいは ‘PIMS’ と呼んでいる.
出典:小児 COVID-19 関連多系統炎症性症候群(MIS-C/PIMS)診療コンセンサスステートメント 2021.9.16. 改訂

2. 臨床症状・検査所見

① 80%以上の症例で,嘔吐,下痢,腹痛など腹部症状を認めた.

② 臨床的にショックを呈する症例は全体の約 30%以下だが,検査異常は 80%以上に認めた.

③ 心臓超音波検査で左室駆出率(LVEF)は中央値 58% で,50%以下を呈した症例は約 30%あった.
④ 発熱,発疹(皮膚の発赤),眼症状(結膜充血)など川崎病の主要症状を5項目以上認めた症例
は 55 %,4項目認めた症例を含めると 69 %であった.

⑤ 冠動脈の拡張あるいは瘤は9%に認められた.

⑥ 急性期のリンパ球数は中央値 764/µL,血小板数 14.6 万 /µL と減少していた.

⑦ BNP または NT-proBNP の上昇を 80% 以上,血中トロポニンの上昇を約 30%に認めた.

⑧ 治療は免疫グロブリン 2 g/kg の点滴静注(IVIG)+アスピリン 30 mg/kg 内服が 97 %の症

例で行われ,ステロイドは 58 %の症例で使用された.初回治療後に追加治療が行われた症例が

29 %あり,内容は IVIG 再投与あるいはステロイド(プレドニゾロン経口またはメチルプレドニ
ゾロンパルス療法),少数でインフリキシマブやシクロスポリン A の投与が行われた.いずれの
治療も本疾患に対して保険適用外であるが,これらの治療によって病状は改善している.

⑨ ICU 管理,カテコラミン使用を必要とした症例はそれぞれ 14 %,11 %であった.

これらのことから,欧米に比べて,日本では MIS-C の発症率は低いが,SARS-CoV-2 感染者の

増加に伴って増加することが示された.死亡例はなく,川崎病と同様の治療で回復するが,やはり

冠動脈瘤を合併することがあり,慎重な経過観察を要する.その他の後遺症の有無については不明
である.

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