よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第 10.1 版 (11 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00111.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第 10.1 版(4/23)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 10.1 版 ●2 臨床像

3 小児例の特徴

COVID-19 の小児例は,これまで成人例に比較して軽症であるとされてきたが,その臨床的

特徴は徐々に変化しており,近年は死亡例も報告されている . 国内小児例の臨床的特徴の経時
的変化,小児の重症度,小児における死亡例,小児多系統炎症性症候群(MIS-C)
,COVID-19
流行下における小児の予防接種,について概説する .
【国内小児例の臨床的特徴の経時的変化】

日本小児科学会の調査対象となった 15 歳以下の国内小児 COVID-19 患者 10,007 例
(2020

年 2 月〜 2022 年 9 月)の初診時における臨床症状をオミクロン流行前(n=4,209)とオミ

クロン流行後(n=5,798)で比較した(オミクロン流行前 , オミクロン流行後).37.5℃以上
の発熱(46.5%, 86.3%),乾性咳嗽(25.1%, 29.1%)
,犬吠様咳嗽(0.02%, 0.4%)
,咽頭痛

(8.6%, 17.8%),喘鳴(1.3%, 2.1%),倦怠感(5.7%, 9.8%)
,筋肉痛(0.3%, 1.0%)
,関節

痛(0.8%, 1.6%),頭痛(6.6%, 15.0%)
,痙攣(0.7%, 9.0%)
,腹痛(2.6%, 5.1%)
,悪心・
嘔吐(4.6%, 16.4%)を認める割合がいずれもオミクロン流行後に有意に増加した.逆に,味

覚障害(3.6%, 0.4%),嗅覚障害(3.1%, 0.2%)を認める割合はオミクロン流行後に有意に減
少した.

一方で,呼吸困難の合併率(1.7%, 2.0%)に関しては,変異株の違いによる変化はほとんど

認めなかった.重症度の指標としては,抗ウイルス薬(レムデシビル)
(0.5%, 1.6%)
,酸素

投与(1.9%, 2.7%)を要した割合はオミクロン流行後に有意に増加したが,ICU 入室(0.6%,
0.7%)
,挿管下人工呼吸(0.2%, 0.3%)
,ECMO(0.05%, 0%)を要した割合に変化を認めな

かった.また,0 〜 20 歳未満の患者の 4.0% に発症後 1 カ月を越えても何らかの症状が残存
していた .

【小児の重症度 】

小児は軽症のことが多いとされているが,2 歳未満と基礎疾患のある小児患者には重症化リス

クのあることが報告されている.

日本集中治療医学会小児集中治療委員会による新型コロナウイルス関連小児重症・中等症例

の発生把握関連情報によると,いわゆる第 7 波・第 8 波(2022 年夏と秋の感染拡大)に報告
された 424 例の主な入院理由は,痙攣(25.9 %),SARS-CoV-2 による肺炎(18.9 %),急

性脳症(17.9 %)であった.小児重症・中等症例の年齢層は,新生児(1.7 %),乳児(13.7 %),
未就学児(51.4 %),小学生(23.6 %),中学生(5.2 %)であった.
【小児における死亡例】

国立感染症研究所の報告によると,国内においては,2022 年 1 月~ 9 月の間に COVID-19

発症後の 20 歳未満の死亡例が 62 例確認された.その年齢は,0 歳 9 例(14.5 %)
,1 ~ 4
歳 19 例(31 %),5 ~ 11 歳 25 例(40 %)
,12 ~ 19 歳 9 例(14.5 %)であり,5 歳未満

が約半数を占めていた.さらに,62 例のうち実地疫学調査が実施できた症例は 57 例であり,
このうち,明らかな内因性死亡とされた 50 例のうち,半数以上の 29 例(58 %)は基礎疾患
のない生来健康な小児であった.死亡に至る主な経緯は,中枢神経系の異常 19 例(38 %:急

性脳症など)
,循環器系の異常 9 例(18%:急性心筋炎,
不整脈など)

呼吸器系の異常 4 例(8 %:
肺炎,細菌性肺炎など),その他 9 例(18%:多臓器不全など)
,原因不明 9 例(18 %)であっ

た.50 例の新型コロナワクチンの接種状況は,死亡時点で接種対象外年齢の者が 24 例(48
11