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資料3-1 感染症定期報告感染症別文献一覧表[444KB] (4 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38901.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会(令和5年度第3回 3/22)《厚生労働省》
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ID

感染症(PT)

出典

概要

Corynebacterium silvaticum は最近特定されたグラム陽性病原細菌の一種であ
り、新種として指定される前は、C. pseudotuberculosis 又はC. ulcerans として同
定されていた。ドイツ、オーストリア、スイスのイノシシとノロジカ、ポルトガルの
家畜ブタから分離されており、この細菌の感染が引き起こす疾患は、ヤギとヒツ
ジにおいてC. pseudotuberculosis が引き起こす乾酪性リンパ節炎と類似してい
る。C. silvaticum は、ジフテリア毒素(DT)を産生できる系統発生的に近縁な毒
性種グループの一部である。C. silvaticum はDTを産生しない特徴があるが、ポ
ルトガルのPO100/5株とオーストリアの05-13株は毒素遺伝子の特徴よりDTを
産生することが示唆されている。家畜ブタからの分離と、ヒト上皮細胞における
細胞毒性が最近証明されたことは、C. silvaticum がヒトの健康に対する潜在的
な脅威となる人獣共通感染症であることを示唆している。本研究ではポルトガ
ルのC. silvaticum の遺伝的多様性とDT産生の可能性をさらに調査するため、
ポルトガル由来の8つの分離株の配列を決定し、38の公開株と比較した。配列
決定と解析の結果、ポルトガル由来株は単系統株で、ほぼ同一であり、独特の
コリネバクテリウ
9
PeerJ. 11(2023)e14895 クラスターを形成し、既知の36のコリネバクテリウム毒性因子/ニッチ因子のうち
ム感染
27を有することが示された。これらの分離株はすべてtox遺伝子のフレームシフ
トを欠いており、DTを産生することが示唆された。これらは2つの農場のブタから
分離されており、単一クローンの拡散を表している。系統解析によると、C.
silvaticum は2つのクレードに分岐している。クレード1は、ポルトガルの単系統
株とオーストリアの05-13株を代表とする、DT産生能力を持つことが示唆された
株で構成されていた。クレード2は、オーストリア、ドイツ、スイスの株を代表とす
る、フレームシフトしたtox遺伝子のためにDT産生能力のない株で構成されてい
た。10のゲノムクラスターが検出され、その中でドイツ由来の株が最も多様であ
り、ポルトガル由来株は排他的クラスターに属していた。野生動物と家畜におけ
る存在、ヒト上皮細胞に対する細胞毒性、おそらくはDT産生能力を有することに
より、C. silvaticum は人獣共通感染症及びジフテリアを引き起こす可能性があ
る。本研究で特定されたクラスター、クレード、ポルトガル由来株の排他的共通
遺伝子と排他的配列型に関する情報は、C. silvaticum の同定と疫学に適用す
ることができる。

10 サル痘

11 サル痘

Emerg Infect Dis.
29(2023)1872-1876

〇日本の2023年1月~3月における男性間性交渉者(MSM)の無症候性エム
ポックス有病率
エムポックス感染拡大初期の2023年1月~3月の期間で、過去3か月以内に性
交渉のあった18歳以上のMSMにおいて、被験者登録時にエムポックス症状なし
と申告した者1,346人について検体(肛門直腸の拭い液、初尿・うがいと洗口液
をプールしたもの)を採取し、エムポックスPCR検査を実施し、その後のエムポッ
クス発症状況の有無について評価を行った。1,346人のうち、PCR陰性と判定さ
れた被験者は1,341名であったが、この中には、検査実施後13~53日を経過し
て発症した者4名が認められた。またPCR陽性と判定された5名のうち発症した
被験者は2名(登録前の発症が試験開始後に判明した1例と非典型症状の1例)
であった、残り3名は1か月経過後も症状が現れない無症候性感染者であった。
なお、9名のエムポックス感染者のうち4名はHIV陽性で抗レトロウイルス療法を
受けていた。今回の評価により無症候性感染者数が過小評価されており、日本
でエムポックス感染拡大期初期には、MSMの集団内で無症候性感染者と症候
性感染者が類似する規模で存在した可能性が示唆された。このことからエム
ポックスの感染リスクが高い集団の検査へのアクセスを改善する必要があると
考える。

Transfusion.
63(2023)690-695

○エムポックス感染拡大時に英国で供血された血液に対するエムポックスウイ
ルスPCR検査
2022年5月、主に男性間性交渉者でエムポックス感染の世界的な大流行が発
生した。南イングランドでの流行期にあたる2022年8月に供血された血液につい
て、原因病原体であるエムポックスウイルス(MPXV)の陽性率を評価した。PCR
検査に使用した454本のミニプール(24検体で構成)は、南イングランドの10,896
件の供血から得られ、その21%はロンドンで供血されたものであった。検査の
結果、陽性のミニプールはなかった。供血者層は、MPXV感染リスクに関して英
国の人口全体を代表する層ではないものの、検査結果が一様に陰性であった
ことは、感染拡大期にウイルス血症及び潜在的なMPXV伝播リスクを有する供
血者が稀又は皆無であったことを確認する結果となった。

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