よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


資料1-2 MID-NET・NDBの行政利活用の調査実施状況について (8 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24331.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会(令和3年度 第3回 3/11)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。




顆粒球減少の発現頻度の比較
本剤と PTU の顆粒球減少の発現頻度を比較するために、PTU を対照とした性・年
齢調整オッズ比を、ロジスティック回帰モデルを用いて、表 1 と同様の Period ご
とに算出した(表 2)。Period 1 における本剤の顆粒球減少のオッズ比は、統計的
に有意ではないものの PTU と比較して高い傾向が認められた。Period 2 以降では
信頼区間も考慮すると、そのような高い傾向は認められなかった。
表 2.各 Period における PTU を対照とした本剤の顆粒球減少のオッズ比
対象 Period
Period 1
Period 2
Period 3
Period 4
Period 5




性・年齢調整オッズ比
1.75
1.23
1.43
1.09
1.01

(
(
(
(
(
(

95%信頼区間
0.93
3.27
0.55
2.73
0.50
4.07
0.38
3.14
0.45
2.27

)
)
)
)
)
)

結果を踏まえた考察
本剤処方患者において、全ての Period で検査が実施されていた場合であっても、
顆粒球減少は一定程度発現しており、その割合は検査なしの場合と比較して必ず
しも低い傾向が認められていないことから、定期的な血液検査の実施が顆粒球減
少の早期発見や重篤化の防止に寄与しているという明確な結果は得られなかっ
た。この背景として、定期的に検査を実施している患者は、検査を実施していない
患者と比較して、顆粒球減少の危険因子を有している等により、検査実施の必要性
が高かった集団である可能性が考えられた。一方、本剤の処方後 43~56 日目(Period
4)に顆粒球減少が発現した集団では、本剤の新規処方開始日から顆粒球減少の発
現日にかけて、好中球数が徐々に減少する傾向が認められた。個々の患者で必ずし
も同様の推移を示すわけではないと考えられるものの、本結果から、一部の患者に
おいては、定期的な血液検査の実施により顆粒球減少の発現傾向を早期に把握で
きる可能性が示唆された。



本剤による顆粒球減少の発現は、新規処方開始日から処方後 14 日目までの期間で
最も高く、この期間で発現する可能性は PTU よりも高い傾向が認められた。当該
結果は患者背景を厳密に調整できてはいないものの、本剤処方開始後の 2 週間程
度は、顆粒球減少を発現する可能性が特に高いことが示唆された。



なお、本調査では、無顆粒球症(顆粒球数が 500/μL 以下となった状態)を対象と
した評価はできていないこと、処方期間を処方開始から厳密に 2 週間ごとに区切
っているため、来院間隔が変更された患者については、別の Period で集計されて
いる可能性があること、他の潜在的な交絡因子(例:本剤の適応である甲状腺機能
亢進症の重症度や他の併用薬等)が結果に影響を与えている可能性があること等
の一定の限界があることに留意が必要である。

3

8/13