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資 料4-1 令和3年度第5回安全技術調査会の審議結果について (7 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23740.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会血液事業部会 運営委員会(第4回 2/9)《厚生労働省》
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令和3年度第5回安全技術調査会

参考資料1-1

輸血後の感染事例とその対応について
日本赤十字社血液事業本部
1.はじめに
輸血により患者に HBV を伝播させる血液は、その血液の献血者の感染状態によって大き
く二つに分けることができる。1)ウインドウ期にある血液。感染後最も早く(平均 21 日)
陽性となる検査マーカーは、個別検体核酸増幅検査(個別 NAT)であり、日赤はこれで感
染初期の血液を排除している。個別 NAT は極めて高感度(95%LOD;4.3IU/mL)である
が、これで捉えられない HBV 濃度の血液でも感染が起きる。日本では 2020 年までにこれ
が 5 例を数える。個別 NAT の次に陽性となるマーカーは HBs 抗原検査で、感染から平均
36 日かかる。2)HBs 抗原陰性の HBV 低濃度キャリア(オカルト HBV 感染者、OBI)
。思
春期以後に HBV に感染し、それが治癒した状態であるが、今日 HBV は一度感染すると生
涯肝細胞に潜んでおり、完全に除去されることはないと考えられている。それが時々、特に
高齢者や免疫能の低下した個人において、末梢血中に HBV が漏れ出すことがあり、その時
の献血が輸血感染のもととなることがある。また、長期の経過中に HBs 抗原を失った慢性
感染者もこの群に含まれる。このような血液は感染既往マーカーである HBc 抗体陽性で特
徴づけられる。これらの血液の HBV 濃度は、個別 NAT でも捉えられないほど低い場合が
あるが、HBc 抗体陽性をもって排除することができる。
HBV に感染すると、HBc 抗体に後れて HBs 抗体(中和抗体)も産生され、これが肝炎
治癒のマーカーとなる。HBc 抗体は低力価になってもほぼ一生検出できるのに対し、HBs
抗体価は加齢とともに下がる傾向があり、しばしば陰転化する。ただまれではあるが、HBc
抗体が先に陰性になり HBs 抗体だけが残る場合もある。さらに、HBc 抗体や HBs 抗体な
ど一切の血清学的マーカーが消失する場合もありうる。通常、HBc 抗体は 1.0 以上を陽性、
HBs 抗体は 10mIU/mL 以上を陽性と定義している。HBV 低濃度キャリアの判定は NAT 陽
性と HBc 抗体陽性の二つで行い、HBs 抗体は通常考慮しない。
2.遡及調査について
日本赤十字社では、複数回献血者の HBV NAT 陽転時において、
「血液製剤等に係る遡
及調査ガイドライン」の一部改正について」
(令和2年3月 31 日薬生発 0331 第 28 号厚
生労働省医薬・生活衛生局長通知)
(以下「遡及調査ガイドライン」という。
)に従い、過
去の献血血液から製造された血液による感染にかかる受血者の調査を行って評価・分析を
実施してきた。当ガイドラインにおいては、過去のいつまでの献血血液にリスクがあるか
を、HBV の血中の増殖速度や HBc 抗体の有無に基づいて定め、遡及期間として明記して
ある。HBc 抗体が陰性で HBV NAT のみが陽転した場合は急性 HBV 感染と考え、過去
72 日以内の前回献血、及びその献血から 42 日以内の献血について遡及調査することにな
っている。72 日という期間は、血清学的ウインドウ期 36 日を基本とし、安全のためその
二倍の数字を設けたものであり、42 日という期間は、NAT ウインドウ期 21 日を基本と

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