1

いずれにせよ、医療保険制度全体の議論が行われている中で、全体感を持った検討を

2

進め、高齢者の経済的負担に急激な変化が生じないような制度の在り方とすべきである。

3
4

【セーフティネット機能としての高額療養費制度の機能強化】

5

○

本専門委員会でも、患者の立場の方を中心に多くの方々から再三にわたり指摘があっ

6

たが、高額療養費制度は、特に療養期間が長期にわたる患者にとってなくてはならない

7

制度である。
こうした観点から、長期にわたって継続して医療費負担が嵩む長期療養者の方に配慮

8

し、多数回該当の限度額については現行水準を維持するべきである。

9
10

加えて、仮に多数回該当以外の限度額を見直した場合、限度額（例えば、現在の月

11

80,100 円＋医療費の１％）に到達しなくなり、その結果、長期療養が必要であるにもか

12

かわらず多数回該当から外れてしまう方が発生するため、そのような方の医療費負担が

13

過重なものとならないよう、新たに患者負担に「年間上限」を設けることも考えられ

14

る。このような趣旨を踏まえると、
「年間上限」の対象とするのは、例えば、年に１回

15

以上、現在の限度額に該当した方とすることなどが考えられる。

16

加えて、実務的な面でも精査が必要となるが、保険者におけるシステム面での対応が

17

制約条件にならないよう、患者本人からの申出を前提とした運用で開始することも含め

18

て、実現に向けた制度設計の詳細や課題を早急に整理すべきである。

19
20

○

また、事務局から提出された資料からも明らかになったように、例えば、年収２００

21

万円未満で「仕事と治療を両立しつつ、長期にわたり療養されているような方」の経済

22

的負担は、現行制度でも大変厳しい状況にある。
そのため、例えば、所得区分を細分化し、よりきめ細かい制度とする際には、そのよ

23

うな方の経済的負担に特に配慮することも検討すべきといった意見もあった。

24
25
26

【その他】

27

○

また、限度額に関わる意見からは離れるが、保険者や医療従事者からだけではなく、

28

当事者の方からのヒアリングにおいても、高額療養費が現物給付化されていることで費

29

用総額が見えにくくなっているといった意見があった。

- 4 -